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対談:社外役員から見る富士通

取締役会の諮問機関として設置されている「指名委員会」と、2015年4月に設置された「独立役員会議」の運営について、指名委員会、独立役員会議のメンバーである横田取締役、山室監査役の両氏に話を伺いました。

社外取締役(独立役員) 横田 淳 社外監査役(独立役員) 山室 惠 の写真

社外取締役(独立役員) 横田 淳

PROFILE

  • 1947年6月26日生
  • 1971年4月
    外務省入省
  • 1998年1月
    大臣官房審議官 兼 経済局
  • 2002年6月
    在香港日本国総領事館 総領事
  • 2004年4月
    在イスラエル日本国大使館 特命全権大使
  • 2009年5月
    在ベルギー日本国大使館 特命全権大使
  • 2012年10月
    特命全権大使 経済外交担当兼イラク復興
    支援等調整担当(2014年1月まで)
  • 2014年6月
    一般社団法人 日本経済団体連合会 経団連会長
    特別アドバイザー(現在に至る)
  • 2014年6月
    当社取締役(現在に至る)

社外監査役(独立役員) 山室 惠

PROFILE

  • 1948年3月8日生
  • 1974年4月
    東京地方裁判所判事補
  • 1984年4月
    東京地方裁判所判事
  • 1988年4月
    司法研修所教官
  • 1997年4月
    東京高等裁判所判事
  • 2004年7月
    弁護士登録
  • 2004年7月
    弁護士法人キャスト
    (現 弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所)
    参画(現在に至る)
  • 2004年10月
    東京大学大学院法学政治学研究科教授
    (2010年9月まで)
  • 2005年6月
    当社監査役(現在に至る)
  • 2010年10月
    日本大学大学院法務研究科教授(2013年3月まで)

Q1:指名委員会の役割、6月の社長交代に際しての社長候補者選出のプロセスをお聞かせください。

山室:
富士通の指名委員会は、取締役会の諮問機関として任意に設置された委員会、すなわちアドバイザリーコミッティーの位置づけであると理解しています。現在は、横田取締役、古河取締役(指名委員会委員長兼務)、山本代表取締役会長、私の4名が委員になっています。
2015年6月開催の株主総会で決議する取締役候補者の指名に向けて、当時の山本社長(現会長)から「そろそろ新しい社長への交代を考えたい」との意向を伺いました。当時は、横田取締役、古河取締役、間塚取締役相談役、私がメンバーだったのですが、この申し出を受けて委員会で議論し、山本社長からも候補者に関して意見を聞いた上で、選定を進めました。
横田:
私が社外取締役に選任されたのは2014年6月の株主総会ですが、「現在、富士通が直面する課題は何か?」「新しいリーダーにはどんな資質が求められるか?」といったことが、委員会において既に活発に議論され取りまとめられていました。
山室:
さらに外部人材コンサルタントの見解なども参考にし、資質などについて検討が重ねられました。それらの検討を踏まえて、委員会が最終的な候補者を選び、山本社長に候補者を提案して賛同を得、内示を受けた田中常務(当時)の内諾も得られたので、2015年1月の取締役会で委員会から答申を行いました。

Q2:候補者選びにあたって重要視した資質は、どのようなものだったのでしょうか。

横田:
特に重視したのは、業務におけるこれまでの実績、経営にあたっての今後の方向性や戦略の考え方、新たな変革をやりとげていくための胆力やリーダーシップなどでした。
それからもうひとつ、「グローバルな経験や感覚」も私たちが求めた重要な資質です。今後富士通が進めていくグローバルビジネスを先頭に立ってリードしていくために必要となるグローバルな経験や感覚というものを重要視しました。
山室:
実際には、候補者の方々全員を個別に委員会に招いて、富士通の現状に対する認識や今後の改革についてプレゼンテーションをしてもらい、質疑応答を行いました。その後も時間をかけて慎重に委員会で議論を重ねるというスタイルで進めました。

Q3:なぜ、現在の田中社長を候補者として選んだのでしょうか。その理由を教えてください。

横田:
理由を絞り込むことは難しく、あえて言うならば、「総合力」でしょう。私としては、田中社長のグローバルな実績や経験を高く評価しました。ずっと日本に住んで日本人とビジネスを行うよりも、海外に何年か住んで自分の持つ'ものさし'と違う人の中で揉まれることは非常に貴重な経験だと思います。
山室:
私としては、これからの富士通のビジネスにふさわしい、高い意欲と前向きな姿勢を持つ「尖った人材」にこだわったつもりです。もちろん、それでいてバランス感覚にも優れている人材です。田中社長について委員全員に共通した意見は、グローバルの実績と経験です。さらに、自ら手を挙げて当時の中国に駐在したという積極性を高く評価した委員もいました。

Q4:2015年4月に設置された「独立役員会議」について、その役割や期待などをお聞かせください。

山室:
今年の株主総会後、取締役会のメンバー構成は、業務執行取締役と非執行取締役が6名ずつの同数になりました。一方、社外役員による業務執行のモニターを強化するためには、社外役員が取締役会以外の場で、情報を共有し議論を行うことにより、富士通の業務に関する理解を深める仕組みが必要になります。独立役員会議の設置の狙いは、「攻めのガバナンス」の強化を図り、取締役会において中長期の収益性向上に関わるような議論をさらに活発化させることにあると理解しています。
横田:
私はこの1年間、社外取締役を務めてみて、富士通はコーポレート・ガバナンスに非常にまじめに取り組んでいる会社という印象を持ちました。それでもやはり、社内取締役と社外取締役の間には情報の非対称性などもあり、もっと社外取締役が自由に意見を述べる機会があっても良いのではないかと感じていました。ですから、独立役員会議の設置については「我が意を得たり」という思いで、今後、とても楽しみにしています。
山室:
業務執行取締役が中心となる議論は個々のビジネスの最適化に関心が向かいがちで、これまでの取締役会では「木を見て森を見ず」の傾向がなかったとはいえないように感じていました。独立役員会議の設置によって、社外取締役の意見に耳を傾けていただく機会も増え、富士通全体の最適化を目指す議論につながり、企業価値向上にも寄与するのではないかと思います。

Q5:最後にステークホルダーの皆様へのメッセージをお願いします。

山室:
富士通には、若手社員の方々にしても管理職の方々にしても優秀な人材がとても多いと感じています。加えて、強力なブランド力も備わっています。そんな力をひとつにまとめて同じ方向に向かわせていくのが経営であり、コーポレート・ガバナンスの役割ではないかと思います。今後はコーポレート・ガバナンスの仕組みを強化することにより、企業として大きな成長が期待できると感じています。
横田:
海外の知人に富士通の話をすると、社名を知っているだけでなく「良い会社だ」と言ってくれるので、海外における富士通の認知度の高さを実感しています。また、私は、外務省時代に通商交渉に多く携わりましたが、特に近年は相手国からコーポレート・ガバナンス強化が要求されるという経験をしました。今、まさに富士通という企業で、そのような役割を果たしていることを、私自身とても嬉しく思っています。富士通のコーポレート・ガバナンスがさらに円滑に機能していくように、これからも建設的な意見を述べていきたいと思っています。

ガバナンスセクション

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