PRESS RELEASE

2022年10月17日
富士通株式会社

高度なデータセキュリティを提供する「CaaS」のトラスト機能群により、業種を超えた安心安全なデータ流通を加速

当社は、高度なコンピューティング技術とソフトウェア技術を誰もが容易に利用できるサービス群「Fujitsu Computing as a Service注1」(以下、「CaaS」)の新たなサービス機能として、セキュアなデータ流通と活用を実現する当社のIDYX注2技術やCDL注3技術を搭載したトラスト機能群「Fujitsu Computing as a Service Data e-TRUST」(以下、「Data e-TRUST」)の日本国内での先行提供を10月13日に開始しました。今回第一弾として、化学業界で積極的にデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)を推進する長瀬産業株式会社(以下、長瀬産業)様注4に提供し、今後、お客様のDXに不可欠なサービス基盤としての利用シーンを拡大していくとともに、今年度中に一般提供を開始、順次グローバルにも展開予定です。

「Data e-TRUST」は、3つの主要機能であるセキュアでオンデマンドな分散データ流通の仕組みと、デジタルIDやeシール注5といった電子証明機能、ブロックチェーンを拡張した柔軟でスケーラブルな台帳機能によって高度なデータセキュリティを提供し、異なるシステムやサービス間でのデータ流通の真正性と安全性を保証します。これにより、デジタル取引における個人や企業に関わるあらゆる情報の認証と、安心安全で自由なデータ流通の両立を実現し、金融や製造、流通、医療分野などにおける様々な課題解決や業種を超えたDXを強力に推進します。

当社は、サステナブルな世界の実現を目指す「Fujitsu Uvance」のもと、コネクテッドな社会を支えるデジタルインフラである「Hybrid IT」の一環として、企業や個人間でのデータ流通と活用によって新サービス創出を目指す様々なお客様向けに、「Data e-TRUST」を活用した安心安全なデジタルエコシステムの構築を支援し、より利便性の高いデータ駆動型社会の実現に貢献していきます。

背景

グローバルサプライチェーンやスーパーシティ、ヘルスケア、環境対策など、近年では個人や企業、業界を超えてつながるコネクテッドなデジタル世界の実現が求められており、デジタル上でのデータを信頼できる形でつなげて、安心安全に流通、活用させるデジタルトラストの確立が重要になっています。

当社はこれまで、デジタル上でのデータ流通と活用に伴う真正性と安全性を管理することにより、個人や企業間でやり取りされるデータのトラストを担保する新技術の開発を進めてきました。今回当社は、「Fujitsu Uvance」の「Hybrid IT」を体現するクラウドサービス群「CaaS」のラインアップとして、当社のトラスト技術を搭載した「Data e-TRUST」の先行提供を日本で開始し、デジタルトラストの社会実装に向けた取り組みを加速させていきます。

「Data e-TRUST」の概要

「Data e-TRUST」は、当社の「CaaS」プラットフォーム上で、異なるサービス間や、個人や企業間の安心安全なデータ流通と活用を実現するAPI群を提供し、当社独自のIDYX技術、CDL技術により、流通するデータの発行元や所有権、真正性の証明と合わせて、データ取引の証跡を改ざん不能な形で管理できます。電子文書やデジタルコンテンツなどのデータに関わる、あらゆるオンライン取引にトラストを付与することで、お客様の業務課題や社会課題解決などを支援し、サステナブルな社会の実現に貢献します。

「Data e-TRUST」の特長は、以下の通りです。

  1. トラストなデータ流通と活用の場:
    個人や企業ごとに秘匿化された分散DB間で、連携したいデータの項目をきめ細かく制御するとともに、個人情報のやり取りに関しては、ユーザ本人による同意を取得した上でデータ送信を行うことにより、個人や企業をまたがるセキュアでオンデマンドな分散データ連携を実現します。さらに、個人や企業が、自らの多様なデータを自己管理したうえで複数の企業・サービスに渡すことで、きめ細かく流通先やプライバシーを制御でき、データのオーナーシップや情報開示のガバナンスを強化することが可能です。
  2. デジタル証明:
    活用するデータが正しい情報であり、かつ改ざんされていないことを保証するIDYX技術により、デジタル情報に対する様々な電子証明書の発行と活用を可能にし、デジタル取引でやり取りされる情報の真正性を担保できます。これにより、個人のスキルや経歴、企業の実績などのチェックによる認証プロセスの強化や、顧客情報の相互連携による契約手続きなどのワンストップ化、電子ドキュメントやデジタルコンテンツの著作権や所有権の管理といった、デジタル上での情報の正しさを担保したい様々な認証のシーンに対応できます。
  3. デジタル証跡:
    ブロックチェーンを拡張し、個人や企業をまたがった一連の取引履歴を柔軟かつスケーラブルに一元管理可能にするCDL技術により、個人や企業がやり取りする取引や活動の証跡を紐づけて改ざん不能な形で管理することができます。これにより、様々なデジタル取引履歴を、各事業活動の健全性や社会貢献のエビデンスとして活用可能になります。例えば、CO2排出量に関わるカーボンフットプリントや消費者行動データの連携など、サプライチェーンやバリューチェーンを高度に可視化し管理できます。

図:「Data e-TRUST」サービスの特長である3つの機能と利用イメージ図:「Data e-TRUST」サービスの特長である3つの機能と利用イメージ

「Data e-TRUST」のこれらの機能は、多様なサービスの要件と組み合わせて活用可能です。これにより、業種や業界を超えた様々なデータの流通と活用のエコシステムを拡大させ、お客様の業務プロセスの改革と新規ビジネスの創出を促進します。

長瀬産業様への導入例

当社は、第一弾として2022年10月より、化学業界で積極的にDXを推進する長瀬産業様向けに「Data e-TRUST」の先行提供を開始しました。サプライチェーンにおける煩雑で複雑な化学品ドキュメントの配付管理における業界課題を解決する新たなクラウドサービスとして長瀬産業様が提供する「DocuValue(ドキュバリュー)注6」に本サービスを適用し、利用企業様の配付情報の秘匿化管理と企業間でのセキュアな情報連携の仕組みを実現します。

今後も当社は、「Data e-TRUST」の機能拡充にあわせて、長瀬産業様のサービスの価値を継続的に向上させ、ビジネスパートナーとして長瀬産業様のDXとビジネスの拡大に貢献します。

長瀬産業株式会社 ICT企画部 本部長 今村 夏樹 様のコメント

「DocuValue」の開発コンセプトは、化学業界の多くの企業様にプラットフォームとしてお使いいただくことで、業界全体の生産性やレスポンシブル・ケアの向上に貢献するというものです。そのため、富士通株式会社のトラストサービス「Data e-TRUST」を採用し、サービスの運営元のナガセ情報開発株式会社注7であっても、ご契約企業の商流に関わる情報にアクセスできないよう取り扱うデータを秘匿化しました。これにより、多くの企業様に安心してお使いいただけるようになりました。「Data e-TRUST」は、自前で高度なシステムを開発する必要なく、データ流通における安全性を確保できるため、非常に画期的なサービスだと思います。

今後の展開

今後「Data e-TRUST」は、業種・業界を超えた企業や個人間でのデータ流通や活用による新サービス創出に向け、様々なお客様とのビジネス共創を実施していきます。さらに、当社のHPC、「デジタルアニーラ」、量子コンピューティングといった高度なコンピューティング技術やAIと「Data e-TRUST」の技術を組み合わせることでイノベーションを加速し、社会に信頼をもたらし世界をより持続可能にしていきます。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

注釈

  • 注1
    Fujitsu Computing as a Service(CaaS):
    誰でも簡単に当社の高いコンピューティング技術などを利用できるクラウドサービス群。従来の学術分野での活用にとどまらず広く一般の業種において、最先端研究の推進、企業競争力の強化などを支援する。2022年10月中に国内提供開始予定、2023年度に順次グローバル展開予定。
  • 注2
    IDYX:
    IDentitY eXchangeの略。複数の企業などに分散している個人のアイデンティティ(IDや属性情報など)を、安全に企業・個人間で流通する当社技術。https://pr.fujitsu.com/jp/news/2019/07/4.html
  • 注3
    CDL:
    Chain Data Lineageの略。データやモノの流通過程や加工処理を起源にまで遡り追跡できる当社技術。組織をまたがるデータやモノのエンドツーエンドでのトレーサビリティを保証し、業種業界を超えたデータ流通の信頼性を向上する。https://pr.fujitsu.com/jp/news/2018/09/20-1.html
  • 注4
    長瀬産業株式会社:
    本社 東京都千代田区、代表取締役社長 朝倉 研二。
  • 注5
    eシール:
    請求書や領収書など電子文書を発行した際に、データの発信元となる組織の正当性を保証する技術。
  • 注6
    DocuValue:
    長瀬産業様が開発した化学品ドキュメントの配付管理サービス。
  • 注7
    ナガセ情報開発株式会社:
    本社 東京都中央区、代表取締役社長 今村 夏樹。

関連リンク

当社のSDGsへの貢献について

2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)は、世界全体が2030年までに達成すべき共通の目標です。当社のパーパス(存在意義)である「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」は、SDGsへの貢献を約束するものです。

本件が貢献を目指す主なSDGs

本件に関するお問い合わせ




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