PRESS RELEASE
2018年1月30日
国立大学法人香川大学
富士通株式会社
離島や僻地における特別支援教育を遠隔支援する実証研究を開始
インクルーシブ教育に向けた教員・支援員の専門性向上を目指して
国立大学法人香川大学(所在地:香川県高松市、学長:筧善行、以下 香川大学)と富士通株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:田中達也、以下 富士通)は、障がいの有無にかかわらず誰もが共に学べるインクルーシブ教育の実現に向け、障がいがある子どもたちの教育に携わる小豆島地域の小学校の教員や支援員などを対象に、特別支援教育の専門性向上を目的とした実証研究を、2018年1月31日から3月31日まで行います。
本実証研究では、特別な支援を必要とする子どもたちの授業の様子を教室内に設置した全天球カメラで撮影し、専門家が遠隔からその様子を360度のVR映像で確認します。教員や支援員の子どもたちに対する指導の仕方などを、専門家が実際の現場に近い状況で共有することで、離島の教育現場へより的確なアドバイスが可能になります。
香川大学と富士通は、本実証研究を通じ、インクルーシブ教育の実現に有効なICT利活用モデルを検証していきます。なお、富士通は、本実証研究の成果を反映したICTサービスを開発し、あらゆる人々の活躍の推進などを目標として挙げる SDGs(Sustainable Developoment Goals:持続可能な開発目標)の達成に向けて貢献していきます。
背景
香川大学教育学部(学部長:毛利猛)でICTを利活用した教育と支援を実践している坂井研究室と宮崎研究室、および富士通は、従来よりインクルーシブ教育システムの構築に向けて、特別な支援が必要な子どもたちの学習や生活にICTを取り入れ、その有効性を確認してきました。
日本政府は、インクルーシブ教育を実現するうえで、すべての教員が特別支援教育に関する一定の専門性を有することを挙げています。教育の現場からは、その専門性を確保するために、教員や支援員に対する特別支援教育の専門家による指導のニーズが高まっていますが、離島や僻地の学校では、地理的な制約によりそうした支援が十分に受けられないという課題があります。今回、そのような課題を解決するため、香川大学と富士通は、ICTを活用して現場の教員や支援員などを専門家が遠隔から支援するシステムの実証研究を開始します。
実証研究概要
写真.専門家が授業の様子をVRで確認しているイメージ
- 目的
特別支援教育の専門家がICTを活用して離島や僻地の教員や支援員を遠隔から支援することで、専門性向上につなげる。
- 期間
2018年1月31日~2018年3月31日
- 対象者
小豆島地域において、特別な支援を必要とする子どもたちの教育に携わる教員、支援員など約40名
- 協力機関
香川県教育委員会、小豆島町教育委員会、小豆島町立苗羽小学校、ほか
- 内容
香川大学教育学部 坂井研究室・宮崎研究室と富士通は、小豆島などの離島・僻地にある学校からでも正確な現場の情報を提供でき、適切なアドバイスを受けられる遠隔支援システムを構築します。
本実証研究では、教室に高画質の全天球カメラを設置し、特別な支援を必要とする子どもたちの授業の様子を撮影します。その様子を遠隔にいる専門家がヘッドマウントディスプレイなどを装着して、実際の現場に近い状況で確認できるため、教員や支援員の教え方や子どもたちへの対応について的確なアドバイスが可能となります。専門家の教員や支援員への指導には、テレビ電話会議システムを使って画面越しに対面で行うことで、スムーズな意思疎通を実現します。また、授業ではタブレット端末に表示されたイラストを選ぶことで特別な支援が必要な子どもたちが自分の気持ちを簡単に伝えることができるアプリケーションを活用し、撮影した映像と照らし合わせることで、その時の子どもたちの気持ちの解釈や必要な支援など、専門家から教員へのより高度な指導が可能になります。
- システム構成
- ネットワークサービス「FUJITSU Managed Infrastructure Service FENICSⅡ ユニバーサルコネクト」
- テレビ電話会議システム
- 学びの場で安心して使える文教向けタブレット「FUJITSU Tablet ARROWS Tab」
- MRヘッドセット対応パソコン「LIFEBOOK(AHシリーズ)」
- 子どもたちの感情表出を支援するアプリケーション「FUJITSU 文教ソリューション k-12 コミュニケーション支援 きもち日記」
- 全天球カメラ、バイノーラルマイク、など
図.実証研究の流れ
今後の展開について
香川大学と富士通は、全国の教育機関などに対して、今回の遠隔支援の有効性について成果を広く公開する予定です。
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
関連リンク
- インクルーシブ教育に向けたICT利活用の2回目の実証を新たに小学校で開始(2016年9月30日プレスリリース)
- 特別支援教育でのICT利活用の共同研究「ともに学ぶプロジェクト」を開始(2016年1月7日プレスリリース)
- 特別支援教育の子どもたちが「ともに学べる」環境の実現へ向けて(2016年2月10日富士通ジャーナル)
本件に関するお問い合わせ
香川大学
教育学部 坂井研究室
087-832-1551
受付時間: 9時~17時(土曜日・日曜日・祝日・年末年始を除く)
富士通コンタクトライン(総合窓口)
0120-933-200
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