PRESS RELEASE
2016年9月30日
国立大学法人香川大学
富士通株式会社
インクルーシブ教育に向けたICT利活用の2回目の実証を新たに小学校で開始
障がいの有無に関わらず共に学べる環境の実現に向けた産学共同研究「ともに学ぶプロジェクト」で検証
国立大学法人香川大学(所在地:香川県高松市、学長:長尾省吾、以下 香川大学)と富士通株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:田中達也、以下 富士通)は、児童生徒が障がいの有無にかかわらず、共に学べるインクルーシブ教育システムの構築に向けたICT利活用の共同研究「ともに学ぶプロジェクト」において、今回新たに小学校を加え、特別支援学校と合わせた計6校にて、2016年9月30日から2017年3月31日まで実証を行います。
本プロジェクトでは、富士通がこれまで教育分野ビジネスで培ったノウハウからICT環境を構築し、協力校の教育現場にて、発達障がいや知的障がい、肢体不自由などの特別な支援を必要とする児童生徒の学習や学校生活で活用します。香川大学はICT利活用にあたっての教員へのアドバイスや効果検証を行っていきます。
香川大学と富士通は、2016年1月から行った1回目の実証と合わせて結果を検証し、インクルーシブ教育に向けたICT利活用モデルやソフトウェアを開発していきます。また、富士通は、本プロジェクトでの実証結果を、初等中等教育分野向けソリューション強化にも活用していきます。
背景
国内において、「障害者差別解消法」が2016年4月1日に施行されたのを受け、文部科学省は教育の平等を実現するため、障がいの有無に関わらず、全ての子どもが共に学ぶことができるインクルーシブ教育システムの構築を進めています。
従来より、児童生徒の感情表現やコミュニケーションにおいてICTを利活用した授業や支援を提案してきた香川大学教育学部(学部長:毛利猛)の坂井研究室、宮﨑研究室、および富士通は、2016年1月から3月に香川県内の特別支援学校4校において、特別な支援が必要な子どもたちの学習や学校生活におけるICT利活用の有効性について検証を実施し効果を認めてきました。
今回、新たに小学校を協力校に加えることで、通常の学級で共に学ぶ機会がある特別支援学級や通級指導の子どもたちも対象とした、より最適なインクルーシブ教育の環境づくりに向けた検証を行い、一人ひとりの障がいの状態や教育的ニーズに応じて提供される「合理的配慮」と、その基礎となる教育環境の整備である「基礎的環境整備」に有効なICT利活用モデルやソフトウェアを開発していきます。
前回の実証効果
2016年1月から3月に香川県内の特別支援学校4校にて行った同様の実証において、以下の効果が認められました。
- 上肢に障がいがあり書字に困難があった生徒において、授業参加時にタブレットのソフトウェアキーボードを活用することで書字の困難を解決し、大学進学の目標を新たに持つまでに学ぶ意欲が向上しました。
- 知的障がいがあり、ひらがなの書字が苦手な生徒において、色分けして書き順を支援するタブレットのペン入力の教材を活用したことで短期間で書字能力が大幅に向上しました。
- 発達障がいがあり、自分の気持ちを伝えることが苦手で何を聞かれても楽しいとしか表現できなかった生徒が、感情をタブレット上のアニメーションやゲージで選択するソフトウェアを活用することで、新たに悲しい・疲れたなどの感情とその度合を表現できるようになりました。
- 知的障がいがあり、昨日の出来事などを伝えることが難しかった生徒が、5W1Hをタブレット上の画像や絵カードから選択して伝えるソフトウェアを活用することで、日々の生活での出来事や学校行事を他の生徒の前で発表できるようになりました。
写真:2016年1月から3月に行われた実証での授業風景
今回の実証概要
- 実証期間
2016年9月30日~2017年3月31日(約6ヶ月)
- 協力校(6校)
香川県教育委員会ならびに小豆島町教育委員会の協力を得て、以下の小学校、特別支援学校において、発達障がいや知的障がい、肢体不自由など、特別な支援が必要な児童生徒の一人ひとりの状態に応じ、学習や学校生活をサポートするICT利活用を実践します。前回の実証から、新規に小学校1校と特別支援学校1校が加わり、計6校での実証を開始します。
- 小豆島町立苗羽小学校 (小学校) (所在地:小豆郡小豆島町、校長:川井文代)
- 香川県立高松養護学校 (肢体不自由特別支援学校) (所在地:高松市田村町、校長:猪熊優子)
- 香川県立香川中部養護学校 (知的障がい特別支援学校) (所在地:高松市田村町、校長:野瀬五鈴)
- 香川県立香川西部養護学校 (知的障がい特別支援学校) (所在地:観音寺市出作町、校長:穴吹 弘子)
- 香川県立善通寺養護学校 (病弱特別支援学校) (所在地:善通寺市仙遊町、校長:織田潤二)
- 香川大学教育学部附属特別支援学校 (知的障がい特別支援学校) (所在地:坂出市府中町、校長:惠羅修吉)
- 活用サービス
以下のソフトウェアをインストールした富士通のタブレット「FUJITSU Tablet ARROWS Tab」 シリーズを、特別な支援が必要な児童生徒が学習や学校生活の中で活用します。
- 発達障がいや知的障がいの子どもたちの気持ちの表出や出来事の表現・コミュニケーションを、5W1Hごとにキャラクターやアニメーションを選択していくことで伝えることができる、コミュニケーション支援ソフトウェア(研究開発中)
- 特別な支援を必要とする子どもたちの特性に配慮し、楽しく学習しながら運動機能の促進や知覚統合能力の向上にも役立つユーザーインターフェースと機能を備えた「FUJITSU 文教ソリューション K-12 特別支援 キッズタッチ」
今後について
香川大学と富士通は、共同研究終了後、教育機関、支援センター、保護者などに対して、ソフトウェアの活用事例、ICT利活用モデルの有効性などについて成果を幅広く公開する予定です。さらにコミュニケーション支援ソフトウェアについては、実証結果を踏まえて機能や操作性の改善を図り、製品化を目指します。
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
関連リンク
- 「FUJITSU 文教ソリューション K-12 特別支援 キッズタッチシリーズ」紹介サイト
- 「School Tablet」紹介サイト
- 特別支援教育でのICT利活用の共同研究「ともに学ぶプロジェクト」を開始(2016年1月7日プレスリリース)
本件に関するお問い合わせ
香川大学
教育学部 坂井研究室
087-832-1551
受付時間: 9時~17時(土曜日・日曜日・祝日・年末年始を除く)
富士通コンタクトライン(総合窓口)
0120-933-200
受付時間: 9時~17時30分(土曜日・日曜日・祝日・年末年始を除く)
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