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報告書
1997年度(第98期)報告書

株主のみなさまへ - 第98期事業報告書 -

取締役会長 関澤義 (右側)
代表取締役社長 秋草直之 (左側)

1997年度業績

ネットワーク化、マルチメディア化をはじめとするエレクトロニクス分野の急速な技術革新の進展は、ビジネス形態や人々の社会生活をも変容させつつあります。各種の情報・通信システムやソフトウェアの需要は全世界的に増大する方向にあり、IT(インフォメーション・テクノロジ)産業は中長期的にも最も期待される産業分野として、成長を続けています。

一方、世界の市場が一つになるグローバリゼーションの急速な展開により、当分野においても、企業間の競争はますます激化しており、技術革新の進展と相まって、製品全般にわたり厳しい競争が繰り広げられています。また、当期においては、我が国経済の停滞から国内需要が減少し、市況は極めて厳しい状況となりました。

このような状況の中で、当社はグループをあげて最先端のネットワークコンピューティング技術の開発を積極的に進めるとともに、お客様の経営課題を解決するための最適なシステムを提供するソリューションビジネスを強力に推進しました。
この結果、当期の当社単独売上高は、前年度に比べ3%増の3兆 2,290億円となりました。損益は、メモリICの価格下落、通信・パーソナルコンピュータの国内需要低下などの影響を受け、経常利益は前年度に比べ16%減の 801億円、当期利益は15%減の 509億円となりました。
また、連結売上高は、前年度に比べ11%増の4兆 9,853億円と過去最高を記録しました。地域別では国内は2%増でしたが、海外は31%増の1兆 7,570億円と大幅に伸長し、売上高に占める海外売上高の割合は前年度の30%から35%に上昇しました。連結営業利益も前年度に比べ6%増の 1,889億円となりましたが、アジア地域の通貨下落による為替差損および 100%子会社化したアムダール社ののれん代の償却負担などにより、連結当期利益は前年度に比べ88%減の55億円となりました。

今後のビジネス展開 - グローバルなソリューションビジネスの展開 -

当社は、グローバルサーバ、ミッドレンジサーバ、パーソナルコンピュータ、周辺機器、ソフトウエア・サービスに至るまで、ソリューションを提供するための競争力のある製品のラインアップを揃えています。現在、富士通グループのビジネスは売上高の65%が日本となっています。海外については、従来からアジア/オセアニアを中心に活動してきましたが、1990年のICL社への資本参加によりヨーロッパへと展開しました。IT産業における世界のリーディングカンパニーをめざし、今後はさらに最大のマーケットである米国でも、本格的にビジネスを展開していきます。このため、長年のパートナーとして共通の技術に基づいた製品を販売し、最近ではソフトウェア・サービス分野へのシフトを急速に進めつつあるアムダール社を、1997年9月に100 %子会社化しました。同社には、フォーチュントップ 100に入る有力なお客様が多数あり、そのカスタマーベースを基礎として、今後は富士通グループ全体とリソースを共有することにより、一層ビジネスを拡大していきます。

さらに、ワールドワイドにソリューションビジネスを展開するために、日本/アジアの富士通、米国のアムダール社、欧州のICL社をはじめとするグループ各社の経営資源を共有化し、シナジー効果を追求していきます。また、大規模かつ高度なシステムを作り上げてきた当社のシステム構築のノウハウ・実績をもとに、世界中で5万2千人という質の高い富士通グループのソフトウェア・サービスパワーを活かし、世界各国のお客様に良質で最適なトータルソリューションを提供していきます。

通信、電子デバイスを含め、コンピュータメーカーとしての総合力を活かす

ソリューションの提供にあたって、ネットワークの果たす役割はますます重要になります。当社は長年、光伝送システムや交換機を提供し、社会のネットワークインフラづくりに貢献してきました。特にネットワーク先進国の米国においては、高速光伝送システムの分野でリーダーであり、また、世界初の商用広帯域ISDNであるノースカロライナ州の情報スーパーハイウエイにATM交換機を提供するなどの実績があります。今後も世界各国の通信インフラを構築するため光伝送システム、交換機、移動体通信システムを提供していきます。同時に、これらの通信技術やネットワークマネジメントのノウハウをLANやWANの領域に展開し、ITとの融合をさらに進めて、他社に真似のできないソリューションを提供していきます。
トータルソリューションを提供するためのキーデバイスの開発においても、最先端のシステムLSIなどの研究開発に力をいれていくとともに、個人用の携帯情報端末や通信機器向けに、世界のトップシェアを誇るフラッシュメモリや化合物半導体などの強化に注力していきます。

「信頼と創造」のさらなる追求と「夢をかたちに」

当社は「信頼と創造」と「夢をかたちに」をモットーとしており、研究開発を重視し、独創的な技術やアイデアで「夢をかたちに」するチャレンジを続けていきます。また、マーケットのニーズをいち早くつかみ、最適なソリューションを提供することにより、お客様の信頼性の向上に努めていきます。

ROE10%をめざす

当社はマーケットのニーズを先取りして競争力のある製品を核としたソリューションを提供し、ビジネスをグローバルに展開することにより、成長性と収益性を追求していきます。また、経営の指標としてはROE(株主資本利益率)やフリーキャッシュフローといった「グローバルな経営指標」を掲げています。
1997年度の連結ROEは、DRAMの価格低下とグローバル化に向けたアムダール社の 100%子会社化に伴うのれん代の償却負担やリストラ費用などを計上したために一時的に低下しましたが、電子デバイス分野における高付加価値商品への事業転換の推進など、絶えず新しい視点に立った経営効率化の推進、成長分野への経営資源の集中を図り、中期計画としては、2000年度にROE10%を達成するという目標を掲げています。
この目標達成に向けた努力を続けることにより、成長性と収益性に優れた世界的なITカンパニーをめざしていきます。

なお、このたび関澤 義は取締役会長に就任し、秋草 直之が代表取締役社長に就任しました。今後とも社業の一層の発展に努めてまいりますので、株主のみなさまには、何とぞ一層のご支援を賜りますようよろしくお願い申しあげます。

取締役会長
関澤義

代表取締役社長
秋草直之