PRESS RELEASE

2024年11月15日
富士通株式会社

富士通、グローバルサプライヤー12社と、実データを活用したCO2排出量の企業間データ連携による脱炭素に向けた実践を開始

当社は、2040年までにバリューチェーン全体のCO2排出量(Scope3)をネットゼロ注1にすることを目標に掲げています。この目標達成に向けて2024年度からサプライヤーとのエンゲージメントを深化させ、実データを活用した製品カーボンフットプリント(Product Carbon Footprint, 以下PCF)のCO2排出量の企業間データ連携を実施し、自社が購入する原材料のCO2排出量の可視化と削減に向けた実践を本格的に開始しました。

本取り組みでは、CO2排出量削減の可視化や測定、最適化までを行い、企業のESG経営の実現を支援する当社の「ESG Management Platform」を活用し、アクトンテクノロジィ株式会社、加賀FEI株式会社、株式会社ネクスティ エレクトロニクス、シュナイダーエレクトリック、伯東株式会社、古河電気工業株式会社、マイタックホールディングスコーポレーション、ルーメンタム・ホールディングス・インクをはじめとするグローバルサプライヤー注212社と、グローバル標準にのっとった実データを活用したPCF算出とCO2排出量のデータ連携を実現しています。

当社は、PCF算定や企業間データ連携の国内外のルールメイキングにコアメンバーとして参画してきた経験およびその実践の知見から、各サプライヤーの脱炭素への取り組みの進度や業種特有の課題に精通しています。今回の実践では、グローバル標準である製品ベースのPCF算出注3およびデータ連携に加え、サプライヤーでの算出がより浸透している組織ベースのPCF算出注4およびデータ連携を、世界で初めて実データを用いて社会実装しました。また、企業間データ連携の推進に対する、サプライヤー側からの製品設計情報など、秘密情報の漏洩の懸念に対し「ESG Management Platform」は、アクセス権を限定したPCF算出や、PCFデータのみをAPI(Application Programming Interface)接続する秘匿性の高い非中央集権型のデータ管理モデルにより、サプライヤーと連携するデータの透明性および信頼性を担保します。

サプライチェーンの上流からサプライヤーのCO2排出量がつながることで、サプライヤーが実施した再エネ導入などCO2排出量削減施策の効果が可視化されます。これにより、サプライチェーン全体のCO2排出量の削減努力が価値として可視化され、削減シナリオの立案や施策の効果シミュレーションなどに反映できます。

当社は、CO2排出量削減努力などの非財務データと売り上げなどの財務データを組み合わせて分析し、製造業をはじめとするさまざまなお客さまの高度な経営の意思決定を支援し、サプライチェーン全体の脱炭素社会の実現に貢献していきます。

本取り組みについては、2024年11月16日に開催される国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)のジャパンパビリオンの総務省主催のICT×グリーンセミナーで報告を行い、日本企業の先進的な取り組みについても議論する予定です。

古河電気工業株式会社 執行役員 ファイテル製品事業部門長 小神野 毅様からのコメント 

富士通とのカーボンフットプリントデータ連携が成功したことを心よりうれしく思います。富士通にはデータ連携のご指導とPACTに準拠したソリューションをご提供いただき、通信用半導体レーザ製品のカーボンフットプリントを連携することで、バリューチェーン全体のGHG排出量削減に向けた新たな取り組みを進めることができました。今後も2050年のカーボンニュートラル実現と社会変革を見据え、持続可能な未来の実現に向けて、さらなるGHG排出量削減に貢献してまいります。

シュナイダーエレクトリック、Senior Vice President, Sustainable Development グザビエ・デノリー様からのコメント

当社は、これまでサプライチェーン全体のCO2排出量のネットゼロ達成に向け取り組んでおり、これらの課題に富士通と協調して取り組むことをうれしく思います。問題解決には、企業間のバリューチェーンの連携を促進するためグローバル標準を使うことが重要と考えています。

実践の背景

バリューチェーン全体のCO2排出量のネットゼロに向けては、原材料のCO2排出量削減努力を可視化する算定方法の確立と、企業間のデータ連携のルールメイキング、そして社会実装が課題となっています。

当社は、グローバルスタンダードに基づくCO2排出量の算出方法論やデータ連携について、ルールメイキングの段階からWorld Business Council for Sustainable Development (以下、WBCSD)注5など関係機関との議論に参画してきました。それを基に、2023年9月は、自社のサプライヤーの実データを企業間でつなげる検証を行い、2024年度には、当社の購入する原材料のCO2排出量の可視化と削減に向けた取り組みを、主要な施策として位置付けて取り組んでいます。

「ESG Management Platform」のPCFの算定方法とデータ連携

本取り組みで活用する「ESG Management Platform」でのPCF算定方法は、「PACT Methodology」注6を活用しており、国内の「GreenxDigital コンソーシアムCO2可視化フレームワーク(Edition 2.0.1)」注7にものっとっています。「ESG Management Platform」におけるデータ連携では、台湾のInstitute for Information Industry (III)注8のThe Digital Sustainability Cloud (DSC)と、豪州のEvalue8 Sustainability社注9の計2社のソリューションと、PACTが実施する相互接続テストに合格し、グローバル標準である仕様書「Pathfinder Framework(Version2.2.0)」の技術仕様注10に準拠したPACT準拠ソリューションとして認定されました。これにより、PACT準拠ソリューションを活用すると国を跨いだCO2排出量の企業間データ連携も可能になります。今後は、欧米、台湾、豪州を拠点とする企業とのデータ連携を円滑に実施できます。さらに、このデータ連携は、「GreenxDigital コンソーシアムデータ連携のための技術仕様 (Version 2.0)」にものっとっています。

図 PCFデータ連携のイメージ 図 PCFデータ連携のイメージ

今後の展望

当社は今後も、サプライチェーンにおけるCO2排出量の可視化や削減施策の実施に向けて、データやAIなどのテクノロジーを活用し自ら取り組むとともに、実践によって得たノウハウを「ESG Management Platform」を通してお客さまや社会に提供します。また、社会課題を起点とした事業モデル「Fujitsu Uvance」のもと、サステナブルなサプライチェーンおよび世界のカーボンニュートラル実現に貢献していきます。今後もWBCSDなどの業界団体と協力し、バリューチェーン全体のCO2排出量のネットゼロに向けたルールメイキングを通じて、グローバル標準の規格更新への対応やサプライヤー・エンゲージメントの強化に向けた取り組みを支援します。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

注釈

  • 注1
    ネットゼロ:
    残存排出量と中和量を同量にすること。当社は、目標年度を2040年度として、基準年度である2020年度のCO2排出量を90%以上削減し、残存排出量の10%以下は、大気中のCO2排出量を直接回収する技術の活用や、植林などによる吸収で除去・貯留を予定。
  • 注2
    グローバルサプライヤー:
    アクトンテクノロジィ株式会社(所在地 台湾新竹市、董事長 黃國修)
    加賀FEI株式会社(所在地 神奈川県横浜市、代表取締役社長 塚本 剛)
    株式会社ネクスティ エレクトロニクス(所在地 東京都港区、代表取締役社長 柿原 安博)
    シュナイダーエレクトリック(所在地 フランス リュエイユ マルメゾン、代表取締役社長 オリビエ・ブルム)
    伯東株式会社(所在地 東京都新宿区、代表取締役社長執行役員 宮下 環)
    古河電気工業株式会社(所在地 東京都千代田区、代表取締役社長 森平 英也)
    マイタックホールディングスコーポレーション(所在地 台湾桃園市、Chairman 苗豐強)
    ルーメンタム・ホールディングス・インク(アメリカ合衆国 カリフォルニア、President and Chief Executive Officer Alan Lowe)
  • 注3
    製品ベースのPCF算出:
    製品別に温室効果ガスのライフサイクルインベントリ分析に基づいたPCFの計算方法。グローバル標準において、PACTでの要件になっている。
  • 注4
    組織ベースのPCF算出:
    組織としてのScope1・2・3データを、納入先別に納品額などで配分する計算方法。JEITAが事務局を務めるGreenxDigital コンソーシアム見える化WGが取りまとめた「GreenxDigital コンソーシアムCO2可視化フレームワーク(Edition 2.0.1)」で、過渡期の計算方法として認められており、PACTのExtensionとして提案されている。
  • 注5
    World Business Council for Sustainable Development:
    持続可能な開発のための世界経済人会議ビジネス活動を通じて持続可能な社会を実現することを目的とした、グローバル企業約200社のCEOが率いる団体。富士通は理事を担う。
  • 注6
    「PACT Methodology」:
    CO2排出量データの計算および交換の方法論を示すガイダンス。WBCSD PACTが取りまとめている。従来のPathfinder Framework。
  • 注7
    「GreenxDigital コンソーシアムCO2可視化フレームワーク(Edition 2.0.1)」:
    GreenxDigital コンソーシアム見える化WGがまとめたPCF算定ルール
  • 注8
    Institute for Information Industry,III(資訊工業策進會:資策会):
    所在地 台湾台北市、DTRI副院長 王世智
  • 注9
    Evalue8 Sustainability社
    本社 豪州キャンベラ
  • 注10
    「Pathfinder Framework(Version2)」(現在のPACT Methodology):
    CO2排出量データの算出と交換の方法を示すガイダンス。PACTの方法論は、既存の枠組みと基準に基づいて構築されており、より正確で粒度が細かく、比較可能な排出データを作成することを目的として、ゆりかごから墓場までのPCFの算定、検証、交換に関するガイダンスを提供している。PACT方法論はこちら。方法論と技術仕様書のv 3.0は2025年第一四半期にリリース予定。

関連リンク

当社のSDGsへの貢献について

2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)は、世界全体が2030年までに達成すべき共通の目標です。当社のパーパス(存在意義)である「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」は、SDGsへの貢献を約束するものです。

本件が貢献を目指す主なSDGs

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