PRESS RELEASE

2023年9月13日
富士通株式会社

富士通、WBCSDのPACTプログラムで世界初の社会実装に成功

サプライチェーン全体のCO2排出量の可視化とデータ連携を通じてネットゼロを目指す

当社は、World Business Council for Sustainable Development(WBCSD:持続可能な開発のための世界経済人会議)注1主催のPartnership for Carbon Transparency(PACT:炭素の透明性のためのパートナーシップ)のメンバーとして、製品カーボンフットプリント(以下、PCF)情報の企業間データ連携の実現に向けた世界初の社会実装プログラム「PACT Implementation Program」注2に参画し、リアルなサプライチェーン全体のCO2排出量の見える化に成功しました。

本実装で当社は、当社のノートPCのサプライチェーンを実例に、データ連携の技術仕様書「Pathfinder Network」注3に基づいたPACTに準拠した当社のソリューション「Fujitsu Track and Trust」などを活用して実データを連携し、PCFのCO2排出量の算出を実現しました。また、サプライヤーの実データを用いたPCFのデータ連携を通じ、サプライヤー・エンゲージメントの向上やエコシステム構築といったリアルなサプライチェーンにおける課題抽出も実施しました。

今後も、本実装で得たデータ収集や連携ノウハウおよび、今回抽出したデータ連携の課題を活用して、富士通グループのマテリアリティに定めた必要不可欠な貢献分野の一つである地球環境問題の解決に向け、WBCSDを含めた業界団体と関連のステークホルダーとともにサプライチェーンの企業間データ連携や方法論の標準化策定に貢献していきます。今回の実装に限らずデータ連携や方法論の標準化により得たノウハウを、当社のグローバルソリューションである「Fujitsu Uvance」のESG経営プラットフォームサービスやデジタルサプライチェーンサービスとして、順次提供していきます。

なお、当社はPACTのLead Companyおよびソリューションプロバイダーとして、本実装における取り組みの改善点や課題について、2023年9月19日(米国時間)にニューヨークで開催されるClimate Week NYCの「Scope 3 Summit - From uncertainty to imPACT」注4で報告します。また、当社は、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が運営する「Green x Digital コンソーシアム」見える化WGの副主査として、国内の実証実験や日本企業の取り組みの先進性について紹介し、今後の取り組みについても議論する予定です。

World Business Council for Sustainable Development, Climate Transparency, Director, アンナ・スタンリー・ラディエール様のコメント

WBCSD, PACT

Leading Companyおよびソリューションプロバイダーの一社として、PACTの社会実装プログラムに参加し、サプライチェーンの排出量の透明性を創出するための富士通の強い意志、積極性に感銘を受けるとともに、その成功を喜ばしく思います。我々は、富士通の継続的なリーダーシップ、協力および支援に感謝するとともに、我々の取り組みを世界的にさらに拡大するため、緊密に連携することを期待します。

背景

カーボンニュートラル実現に向けては、自社だけではなく、サプライチェーン全体でのCO2排出量削減が世界共通の課題です。特に、取引先のCO2排出量(Scope3)削減のためには、自社製品の部材の調達先サプライヤーから、標準化された方法に基づく部材ごとのPCF算出と、そのPCFデータの共通フォーマットでの企業間データ連携が必要であり、全産業での標準化が長年の課題となっていました。WBCSDは、PCFの算出方法やデータ連携の技術仕様について2021年6月にPACTを立ち上げ、世界中の主要なイニシアチブや企業、ソリューションプロバイダーに参画を促し、当社も2022年11月よりPACTのメンバーとしてルールメイキングの議論に参画してきました。

当社の本実装の概要

当社は、日本企業の先陣として、「PACT Implementation Program」に参画しました。長瀬産業株式会社(以下、長瀬産業)注5、および株式会社ゼロボード(以下、ゼロボード)注6とともに、Tier0からTier3までのリアルなサプライチェーンを構成するレイヤー間でのCO2排出量のデータ交換とPCFの算出を実現しました。なお、長瀬産業とゼロボードは、2021年からJEITAが運営する「Green x Digital コンソーシアム」見える化WGの国内実証実験に当社と参画した企業です。

1. 概要:

  • 対象製品:当社ノートPC
  • サプライヤー階層:当社ノートPCの製造にかかわるリアルサプライチェーン上流のサプライヤー(Tier1、2、3)
  • データ連携項目:「Pathfinder Framework」注7に基づくPCFデータ
  • ソリューション:「Pathfinder Network」に基づくPACT準拠ソリューション「Fujitsu Track and Trust」、「Zeroboard」

2. 本実装での各社の役割:

  • 富士通(Tier0):本実装のLead Company、ステークホルダーとのリレーション構築および全体推進を担当。また、PACT準拠ソリューション「Fujitsu Track and Trust」を提供するプロバイダー。
  • 長瀬産業(Tier2):OA機器のサプライチェーンにおける化学系専門商社。協力企業の獲得とサプライチェーンからのデータ収集およびその連携を担当。
  • ゼロボード:PACT準拠ソリューション「Zeroboard」を提供するプロバイダー。長瀬産業のデータ連携として「Zeroboard」を活用。
  • ご協力企業:PC筐体の製造を行う株式会社国盛化学(Tier1)注8、樹脂材料を提供するLOTTE CHEMICAL CORPORATION(Tier3)注9と、SABICスペシャリティ事業部(Tier3)注10
図1 当社の本実装プログラムのイメージ 図1 当社の本実装プログラムのイメージ

今後の展望

当社は、PACTへの継続的な参加により、今後もルールメイキングへの貢献を通して、「Pathfinder Network」対応による実データ連携を可能とするソリューション開発やサプライヤー・エンゲージメントを通した取り組みを支援します。また、EU バッテリー規則注11やEU CSR指令注12などの法規制に対応するデジタルサプライチェーンサービスを、2023年度下期注13から順次提供する予定です。このサービスをグローバルでクロスインダストリーに展開することで、プロセス間で分断されたデータを統合するとともに、企業間をつないだデジタルサプライチェーンを構築して、サプライチェーン全体を最適化し、世界のカーボンニュートラル実現に貢献します。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

注釈

  • 注1
    World Business Council for Sustainable Development:
    ビジネス活動を通じて持続可能な社会を実現することを目的とした、グローバル企業約200社のCEOが率いる団体、富士通は理事を担う。
  • 注2
    「PACT Implementation Program」:
    企業とそのサプライヤーがバリューチェーン全体で標準化されたデータを共有し、実データに基づく炭素情報に基づく意思決定を可能にする世界初の取り組み。異なる業種のリアルなサプライヤーとPCFのデータ連携に取り組み、課題の抽出およびPACT準拠ソリューションの適応と実効性の確認を目的とする。
    ・期間:2023年4月~2023年9月
    ・プログラムオーナー:WBCSD PACT
    ・参加企業:Lead Company8社、PACT準拠ソリューション11社(9月時点)、サプライヤー約500社
  • 注3
    「Pathfinder Network」:
    ソリューションの相互運用性に基づいた、企業間での排出量データの機密かつ安全なデータ交換のための国際的な技術仕様書。本技術仕様書に適合したソリューションは、PACT準拠ソリューシンとして、PACTオンラインカタログに掲載される。
  • 注4
    「Scope 3 Summit - From uncertainty to imPACT」:
    毎年ニューヨークで開催される気候イベントの中で最大のClimate Week NYCにおいて、WBCSDのPACTが主催する「PACT Implementation Program」の社会実装の成果を報告するScope3のサミット。
  • 注5
    長瀬産業株式会社:
    本社 東京都千代田区、代表取締役社長 上島 宏之
  • 注6
    株式会社ゼロボード:
    本社 東京都港区、代表取締役 渡慶次 道隆
  • 注7
  • 注8
    株式会社国盛化学:
    本社 愛知県小牧市、代表取締役社長 塩谷 陽一
  • 注9
    LOTTE CHEMICAL CORPORATION:
    本社 韓国ソウル
  • 注10
    SABICスペシャリティ事業部 SHPPジャパン合同会社:
    本社 東京都千代田区、代表者 松林 卓弘
  • 注11
    EU バッテリー規則(Regulation on batteries and waste batteries):
    EUで販売される全ての電池(機器内臓、電気自動車(EV)用電池含む)の原材料調達から生産、再利用、リサイクルに至るライフサイクル全体を通して、持続可能性、安全性、情報管理などを含む包括的な要求を規定する新たな規則。
  • 注12
    EU CSR指令(Corporate Sustainability Reporting Directive):
    EUの企業のサステナビリティ情報開示の新たな指令。
  • 注13

    当社の決算期は3月末日です。

関連リンク

当社のSDGsへの貢献について

2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)は、世界全体が2030年までに達成すべき共通の目標です。当社のパーパス(存在意義)である「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」は、SDGsへの貢献を約束するものです。

本件が貢献を目指す主なSDGs

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