PRESS RELEASE

2021年12月2日
富士通株式会社

電子カルテシステムから医薬品に関する情報を直接閲覧可能とするクラウドサービスを提供開始

医療機関と製薬企業をデジタルで繋ぎ安全で質の高い医療と患者のQOL向上に貢献

当社は、医療従事者が、電子カルテシステムを通じて、医薬品に関する適正使用情報などの様々な情報を直接閲覧可能とするクラウドサービス(以下、薬剤情報提供サービス)を、12月2日より日本国内で提供開始します。

本サービスは、医薬品に関する添付文書などの基本文書や、主要な臨床成績などをまとめた専門性の高い文書などの医薬品に関する幅広い情報を当社のクラウド上に集約し、厚生労働省が定める、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに準拠したセキュリティの高いネットワークを介して、電子カルテシステム上からアクセス可能とします。

これにより、医療従事者は、診療現場で必要となる医薬品の情報を少ない負担で収集することが可能となり、安全で質の高い医療と患者のQOL(Quality of Life)向上につなげることができます。また、製薬企業は、MR注1や会員制サイトなどを通じて医療従事者に提供してきた情報を本サービスで一括して提供可能となり、情報提供の効率化を実現します。

なお、本サービスは、電子カルテシステムに連携する薬剤情報コンテンツの種類や連携方法、情報提供上のルールなどについて、製薬企業と多くの意見交換を重ね、実証実験を経て開発したものです。

当社は、薬剤情報提供サービスの提供を通じて、「GOOD HEALTH AND WELL-BEING(すべての人に健康と福祉を)」の実現に向け、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)の目標3などに掲げられている取り組みを推進していきます。

背景

現在、安全で質の高い医療サービスを提供するために必要な医薬品に関する情報は、インターネット上の医療従事者向け会員制サイトなどで公開されていますが、機微な診療情報を扱う電子カルテシステムにアクセスするパソコンやネットワークは専用環境であり、外部のインターネットに接続できないことがほとんどとなっています。そのため、医療従事者が診療時に医薬品に関する情報を参照するためには、電子カルテ以外の端末を医療機関内に用意して情報検索する必要があり、非常に非効率となっていました。

また、診療時以外では、製薬企業のMRや勉強会などを通じて、医療従事者は情報を得てきましたが、近年は、医療機関内におけるコンプライアンス強化や昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により、医療従事者と製薬企業の接点が大幅に制限されるようになっており、医療従事者が情報を入手することが難しくなっています。

上記の課題を解決するため、当社はこのたび、製薬企業から提供される医薬品に関する情報を当社クラウド上に集約し、医療従事者が、セキュアなネットワークを介して電子カルテシステム上で情報を閲覧することができる、薬剤情報提供サービスを提供開始します。

薬剤情報提供サービスの特長

  1. 電子カルテシステムの画面上で薬剤に関する情報の診療時間中の参照が可能
    厚生労働省のガイドラインに準拠したセキュリティの高いネットワーク経由で、処方オーダー画面など日常的に参照する電子カルテシステムの多くの画面から、医薬品の適正使用情報をはじめとする様々な情報を取得可能とします。これにより、医療従事者は、医薬品に関連する基本情報や専門性の高い情報、服薬指導箋注2などの情報を、それぞれの業務で使用する電子カルテ端末の各画面から容易に参照することが可能となり、正確な医薬品情報に基づく処方や医薬品の適正使用を支援します。

  2. 医療従事者の情報収集や製薬企業の情報提供の業務を効率化
    本サービスにより、医療従事者は、これまで製薬企業のMRや医療従事者向け会員制サイトなど、様々な手段を通じて入手していた情報を本サービスで一括して入手可能になるため、大幅な効率化が実現できます。また、製薬企業にとっても、当社クラウド上に医薬品に関する情報を集約し、タイムリーかつ複数の医療機関へ一括で提供することが可能になるとともに、医療従事者の閲覧ログから情報参照ニーズを分析し、医療従事者の求める情報を提供することができます。
図. 本サービスのイメージ 図. 本サービスのイメージ

実証実験の結果

当社が2病院の協力のもとで実施した本サービスに関する実証実験では、医師による1ヶ月間の情報閲覧件数が合計で4,683件となりました。このうち、診療が行われる主な時間帯の午前9時から午後5時までの閲覧件数は3,397件(全時間帯の72.5%)となり、診療時に医薬品に関する情報を参照したいニーズが高いことが確認できました。

このたび提供を開始する本サービスは、実証実験時より、参照可能な薬剤情報コンテンツの種類や、サービスを起動できる電子カルテシステムの画面の種類を増加しているため、より多くの医療従事者が使用可能です。

販売目標

当社は本サービスの展開を、電子カルテシステムを導入している大規模医療機関から始め、2026年3月末までに、600の医療機関への導入を目指します。

また、今後、地域の医療機関が患者の診療情報を共有し、地域完結型の医療提供体制を実現するために構築されてきた地域医療ネットワーク網にも本サービスを連携させ、2026年3月末までに、3,600の地域医療ネットワーク連携施設注3への導入を目指します。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

注釈

  • 注1
    MR:
    Medical Representativeの略称。医療従事者を訪問して、医薬品の適正使用のために情報を提供、収集、伝達することを主な業務とする者。
  • 注2
    服薬指導箋:
    服薬に際しての注意事項を記載している患者向けの資料。
  • 注3
    地域医療ネットワーク連携施設:
    電子カルテシステムを導入している病院と連携する地域内の病院や診療所などを指す。

関連リンク

当社のSDGsへの貢献について

2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)は、世界全体が2030年までに達成すべき共通の目標です。当社のパーパス(存在意義)である「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」は、SDGsへの貢献を約束するものです。

本件が貢献を目指す主なSDGs

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