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PRESS RELEASE

2015年11月12日
富士通株式会社

光ファイバー超多点温度センシング技術を活用した
火力発電所の設備異常検知システムの実証実験を実施

設備温度の精緻なリアルタイム測定により、異常検知の精度と効率性を改善

富士通株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:田中 達也、以下、富士通)は、東北電力株式会社様(本店:宮城県仙台市、以下、東北電力様)と共同で、株式会社富士通研究所(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長:佐相 秀幸、以下、富士通研究所)が開発した、1本の光ファイバーで1万箇所以上のリアルタイム温度測定が可能な光ファイバー超多点温度センシング技術(注1)による火力発電所の設備異常検知システムを開発しました。両社は、本システムの有効性を確認するため、東北電力秋田火力発電所で実証実験を実施し、本システムが従来のポイント式温度センサー(注2)による異常検知よりも、精緻でリアルタイムな検知が可能であることを実証しました。

富士通は今後、本システムを商品化し、発電所のみならず、化学プラントなどの様々な施設・設備へのビジネス展開を目指します。

背景

火力発電所の設備において安定稼働を維持していく上で、燃料配管(注3)やボイラー煙道(注4)など、様々な場所での温度変化を監視し、その結果から設備の状況を常に把握しておくことが早期に異常を検知する上での鍵となります。しかし、従来のポイント式温度センサーによる異常検知では、センサーごとに通信ケーブルが必要となることや、火力発電所特有の厳しい制約により、設置可能なセンサーの場所や数に制限がありました。

光ファイバーによる温度測定は、数km以上の光ファイバー上を10cm間隔で連続的に温度測定できるという特長があります。さらに、電気ではなく光を用いた温度測定技術であるため、防爆にかかわる制約を受けず、発電所関連の様々な設備に導入ができるメリットもあります。また導入コストも、ポイント式温度センサーを活用した場合より抑えることが可能です。このような光ファイバーの特長を活かした異常検知システムを開発すべく、富士通は東北電力様と共同で研究を進めてきました。

実証実験の内容

富士通は東北電力様と、2014年6月から2015年の3月にかけ、光ファイバー超多点温度センシング技術を用いて、東北電力秋田発電所の燃料配管と蒸気配管(注5)、ボイラー煙道の温度変化を継続的に測定しました。そして、東北電力様の発電関連設備の温度変化から設備異常を検知するノウハウをベースに測定結果を解析し、設備異常をより精緻にリアルタイム検知する実証実験を行いました。

光ファイバーの設置箇所
光ファイバーの設置箇所

実証実験の成果

蒸気配管の測定温度データを解析することにより、蒸気配管内の水蒸気の異常な液化や滞留の発生を検知することができました。さらに、蒸気配管と燃料配管の温度上昇・低下タイミングの比較から、それぞれの配管が正常な状態であるかどうかを把握することにも成功しました。

また、120℃に達する高温の排気ガスが排出され、継続的な振動にさらされるボイラー煙道においても、60日間連続での温度監視を実現し、高温・高振動環境下でも本技術を活用したリアルタイム温度監視を行い、設備の異常検知が可能であることも実証できました。

燃料配管および蒸気配管の温度測定結果グラフ
燃料配管および蒸気配管の温度測定結果グラフ

今後の展開・目標

今回の実証実験により、本システムの有効性を確認することができたため、富士通は今後、本システムをベースに、発電所のみならず、様々なプラント向けの設備管理ソリューションとして商用化することを目指します。

商標について

掲載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 光ファイバー超多点温度センシング技術:
2008年4月4日に富士通研究所が発表。今回この技術を、より一層過酷な環境下でも温度測定ができ、導入コストも低減できるように改良。
注2 ポイント式温度センサー:
半導体式温度センサーや熱電対式温度センサーなど。温度測定ポイントごとに電源や通信ケーブルと共に設置して使用することが主流。
注3 燃料配管:
火力発電所で燃料となる重油を搬送するための配管。
注4 ボイラー煙道:
ボイラーで燃焼した排気ガスをボイラー外に排出するためのダクト。
注5 蒸気配管:
燃料配管に巻きつけ、高温の水蒸気を送るための配管。燃料配管内の重油を、搬送に適した粘性に保つためのヒーターの役割を担う。

関連リンク

本件に関するお問い合わせ

富士通コンタクトライン
電話 0120-933-200
受付時間: 9時~17時30分(土曜日・日曜日・祝日・年末年始を除く)


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