PRESS RELEASE (技術)
2008-0071
2008年4月4日
株式会社富士通研究所
~温度分布の「見える化」で大規模なデータセンターの省エネ化に貢献~
株式会社富士通研究所(注1)は、効率的エネルギー運用による省エネ対策の一環として、光ファイバーを用いた温度測定手法をベースに、多数の発熱源があるデータセンターの温度分布を正確に、かつリアルタイムに測定できる温度測定技術を開発しました。
本技術により、1本の光ファイバーで1万箇所以上の温度を同時に測定することが可能となり、温度分布の「見える化」を実現します。本技術と空調制御システムを組み合わせることにより、室内の温度分布に対応したきめ細やかな空調設備の調節が可能となり、データセンターの省エネ化への貢献が期待されます。
温室効果ガス排出による地球温暖化問題を背景に、近年のエネルギー消費量増加の一因となっている空調を省エネ化することの重要性が認識されています。例えば、IT業界では、サーバの高性能化と、ITシステムの規模や稼働時間の拡大により、データセンターにおける排熱量は増加の一途をたどっています。エネルギーコストとCO2排出削減の両面で、こうしたデータセンターの空調効率を上げ、省エネ化を進めることが求められています。当社でも、お客様の環境負荷低減を支援するプロジェクト「Green Policy Innovation」(注2)の一環として、ITシステムの省エネ化に向けた研究開発を進めています。
従来は、定点の温度測定による室内一律の冷却が行なわれており、部分的、一時的に過度な冷却が行われていました。この問題を解消するためには、サーバなど熱発生源となる機器の省エネ設計だけでなく、室内の多点温度測定に基づく細やかな空調設備の調節が求められています。
図1 データセンターにおける温度測定のイメージ |
建屋内での従来の温度測定では、半導体式温度センサーや熱電対式温度センサー(注3)などを測定ポイントごとにひとつずつ使うことが主流です。
この方法ではセンサーごとに電源および通信ケーブルを配線する必要があるため、同時に多点にわたる温度測定を行う場合には、ケーブル類の敷設・管理が極めて煩雑となりコストもかかります。特に多数のサーバラックを収容する中規模~大規模のデータセンターにおいては、リアルタイムでの多点温度データの収集や、業務変化にともなうサーバラックの増減や機種更新への柔軟な対応が困難でした。
多点温度測定を可能とする技術として光ファイバーをセンサーとするラマン散乱光(注4)の強度観測手法があります。しかしながら、この手法は温度の位置分解能(注5)が不足するため、多数の発熱源がある場合の温度測定には不向きで、データセンターの正確な温度分布把握は困難でした。
光ファイバーに赤外線レーザーパルスを入射した際に発せられる微弱なラマン散乱光強度変化から、光ファイバー自身の温度を測る既存の測定手法をベースに、位置分解能を向上させ、大規模なデータセンター内の精細な温度分布把握に有用な技術を開発しました。技術のポイントは次の通りです。
本技術を活用した空調の制御システムや、排熱を有効利用する技術の開発などを進め、大規模なデータセンターにおける省エネを目指します。
以上
株式会社富士通研究所
基盤技術研究所 環境技術研究部
電話 : 046-250-8257 (直通)
E-mail : eco_mat@ml.labs.fujitsu.com
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