PRESS RELEASE
2015年6月1日
キング・アブドゥルアズィーズ大学
富士通株式会社
キング・アブドゥルアズィーズ大学、富士通のハイパフォーマンス・コンピューティングシステムを活用した新システムを稼働開始
キング・アブドゥルアズィーズ大学(所在地:サウジアラビア ジッダ、以下、KAU)と富士通株式会社(所在地:東京都港区、以下、富士通)は、本日KAUにおいて、富士通のハイパフォーマンス・コンピューティング(以下、HPC)を活用した新システムが稼働したことを発表しました。
KAUは、これにあわせて新たに研究機関を設置し、連携している多くの研究者や科学者を支援していきます。
新システムは、サウジアラビアで進められている気象学、気候モデリング、エンジニアリング、ナノテクノロジー、航空学、ゲノム研究、生命情報学、リアルタイム画像解析、海水の淡水化研究、産業別の数値シミュレーションなどの研究を強力に支援します。また、KAUは、新研究機関を通じて各研究を進めるとともに、世界中の他の研究機関や大学、政府機関、企業などと連携していきます。
本システムは、富士通の30年以上にわたるHPC開発で培った技術をベースに、「FUJITSU Server PRIMERGY (フジツウ サーバ プライマジー)」によるクラスタと、ストレージシステム「FUJITSU Storage ETERNUS(フジツウ ストレージ エターナス)」などで構成された、高性能、高信頼なシステムです。
富士通は、現地での保守やトレーニングも併せて提供することで、KAUと密接に協力しながら、研究活動へのHPCの適用と、システム運用をサポートしていきます。
今回、富士通は、KAUの気象学・環境学・乾燥地域農業学部やコンピュータ情報技術学部、ゲノム研究センターからの具体的な要件に対し、幅広い研究へのワンストップソリューションを実現しました。
サウジアラビア最大の大学であるKAUは、本システムを通じてサウジアラビア国内の学術研究機関や製造などの産業分野向けに、高度なモデリングやシミュレーション環境を提供していきます。
本システムを活用した研究の第一弾として、KAUは、砂嵐などサウジアラビア特有の気象モデリングや、海水の淡水化を目指すナノテクノロジー開発に向けた研究を開始します。
富士通は常駐サポートチームにHPC分野で博士号を有するメンバーを含むエンジニアや、プログラム最適化を行う技術者などを配置し、KAUの研究者にHPCの知見を広めるとともに、科学的知見に基づく支援や研究に必要な様々なアプリケーションの高速化などを行い、KAUの研究活動推進に協力していきます。
特にKAUの気候変動研究センターに対しては、気候変動分野とプログラム最適化に特化した技術者によるサポートを行い、システムの性能が最大限発揮され、気象気候研究の分野で高い成果を生み出すことを現地で支援していきます。
「Aziz(アズィーズ)」と呼ばれる新システムは、本日KAUで富士通の執行役員専務 河部本章(かべもと あきら)や250人以上の科学者、研究者および学生が出席して行われたオープニングにおいて、サウジアラビアのPrince Mishaal bin Majed bin Abdul Azizによって電源が入れられ、稼働を開始しました。
エンドースメント
キング・アブドゥルアズィーズ大学 Prof. Abdulfattah Mashat, VP of Developmentのコメント
「サウジアラビア最大の大学として、当大学は国内の公的機関や民間企業に世界標準の研究資源を提供しています。さらに、学内の16万人以上の学生のためのICTソリューションの開発にも注力しています。今回、富士通のHPCテクノロジーを導入したことにより、信頼性の高いソリューションの提供が可能となりました。今後、学生や教育関係者、研究者が、新たな研究機関およびシステムの提供するテクニカルサポートの活用を進めていくことが、当大学としての責務だと考えています。」
富士通 執行役員専務 河部本 章のコメント
「HPCテクノロジーに対する要求は高まっており、サウジアラビアとKAUは、HPCテクノロジーが航空宇宙、気象、ヘルスケア、エネルギー、環境、教育などの各産業やスマートシティの発展を促すことを期待しています。当社は、KAUと密接に連携してソリューションを開発し、高度なシミュレーションやモデリングを行うのに必要な高性能HPCシステムを、サウジアラビアへ提供することができました。」
新システムの概要
本システムの理論ピーク性能は、230テラフロップス(注1)です。今回の大規模HPCシステムは、496台のPCサーバ「PRIMERGY CX250」と4台の「PRIMERGY CX270」で構成されるクラスタシステムで、プロセッサとしてIntel E5-2695v2 (2.4GHz 12コア)、Intel Xeon Phi Coprocessor 5110P (1053GHz 60コア)、NVIDIA Tesla K20 (706MHz 2496 CUDAコア)を備えています。このほか周辺システムとして、43台のPCサーバ「PRIMERGY RX300」に加え、55台の「ETERNUS DX200」と高性能スケーラブルファイルシステムFEFS(注2)により構築される2ペタバイト(以下、PB)のテンポラリストレージ領域や、「ETERNUS CS8400 V6」およびテープストレージ・システムによる6PBのアーカイブストレージを備えます。
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
注釈
- 注1 テラフロップス:
- Tera FLoating-point Operations Per Secondの略。Teraは1兆(10の12乗)のことで、毎秒1兆回の実数演算ができることを表す。コンピュータの演算速度の単位。
- 注2 FEFS :
- 「Fujitsu Exabyte File System」の頭文字に由来。最大10万ノードまで共有可能な高速並列分散ファイルシステム。
関連リンク
- キング・アブドゥルアズィーズ大学、富士通のハイパフォーマンス・コンピューティングシステムとサービス・ソリューションを導入 (2014年9月22日 プレスリリース)
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