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[ PRESS RELEASE ](技術)
2003-0224
2003年12月15日
富士通株式会社

超微細ピッチはんだバンプを形成、接続する技術を実用化

〜世界初! 35micromピッチはんだバンプの形成、接続を実現〜

当社はこのほど、はんだバンプ(注1)を35micromピッチ(バンプ中心部間の距離)で形成する超微細ピッチはんだバンプ形成技術と、それを正確に接続する高精度フリップチップ接続(注2)技術を開発しました。

本技術は、現在の一般的なフリップチップ接続に比べて接続密度を約50倍に向上し、LSIやLSIパッケージの小型化を実現します。

【開発の背景】

携帯電話やデジタルカメラなどのさまざまな機器の小型化、高機能化にともない、LSIやLSIパッケージの小型化を実現するバンプ・ピッチの微細化、および高精度接続技術への要求が高まっています。

LSIやLSIパッケージの実装面積の縮小に適した接続方法として採用されているフリップチップ接続では、はんだバンプを溶融させて接続しますが、その際、はんだバンプ間でのショートを避けるため、現在は一般的に200micromから250micromほどのバンプ・ピッチになっています。LSIやLSIパッケージのさらなる小型化を図るには、バンプ・ピッチの微細化と、はんだバンプ間のショートを避けられる高精度な接続技術が不可欠です。

【開発した技術】

今回、35micromピッチではんだバンプを形成できる超微細ピッチはんだバンプ形成技術と、それを正確に接続する高精度フリップチップ接続技術を世界で初めて開発しました。その特長は以下の通りです。

  1. 超微細ピッチはんだバンプ形成技術

    本技術では、めっき法(注3)を用いてはんだバンプを形成しています。バンプ・ピッチの微細化を実現するには、はんだバンプを形成するためのフォトレジスト・パターンを微細化するのに加え、バンプを高くし、なおかつ均一に形成する必要があります。しかし従来は、バンプ・ピッチが微細になればなるほど、フォトレジストの開口部にめっき液が十分に行き渡らず、均一なバンプ形成ができませんでした。

    本技術では、フォトレジスト材料の改良、フォトレジスト・パターニング時の露光・現像パラメータの最適化、およびめっき時に用いる電流の精密なコントロールにより、超微細ピッチで高さのあるバンプを均一に形成することが可能になりました。なお、当社では、グリーン調達の一環として、鉛フリーのはんだバンプを採用しています。

  2. 高精度フリップチップ接続技術

    従来のフリップチップ接続では、バンプに一定の荷重をかけながら加温することで、バンプを溶融、圧接していましたが、超微細ピッチはんだバンプの場合、隣接するバンプ同士が接触し、ショートが多発してしまいました。加えて、接続面を確実に接続させるために、バンプを機械的に平坦化する特殊な工程を用い、高さのばらつきを完全になくす必要がありました。

    本技術では、フリップチップ接続時の温度、荷重の精密制御を行うことで、バンプの平坦化工程を経ることなく、高精度でフリップチップ接続することが可能になりました。 これにより、接続面全面に超微細ピッチはんだバンプを形成したLSIをフリップチップ接続する際も、ショートを回避して確実に接続できます。

なお、当社は、本技術を利用し、接続面全面に16万個のはんだバンプを形成した検出信号処理用CMOSデバイス4個をX線検出用デバイスにフリップチップ接続したChip-on-Chip MCM(注4)を、韓国Value Added Technologies(VATECH)(注5)様に供給しています。VATECH様では、このChip-on-Chip MCMの歯科用X線イメージセンサーへの組込み、および動作に成功しています。

このChip-on-Chip MCMは、株式会社富士通研究所の協力を得て、富士通インテグレーテッドマイクロテクノロジ株式会社にて試作しています。

【今後の展開】

モバイル機器をはじめとする機器のさらなる小型化、高機能化に対応するために、本技術を適用して小型化を図ったLSI、およびLSIパッケージの開発を推進します。

また、従来までのはんだバンプのピッチでは代替できなかったスタッドバンプ(注6)や金バンプ(注7)を、本技術を適用して代替することを検討しています。

めっき法を用いた、はんだバンプ形成プロセス

以上

用語説明

(注1)
バンプ:半導体チップの素子面に、蒸着法、めっき法、または印刷法により形成された突起電極。
(注2)
フリップチップ接続:バンプを形成したチップを、基板(Chip-on-Chip MCMの場合は、異なるチップ)に裏返して接続する技術。
(注3)
めっき法:はんだバンプの一般的形成方法。スパッタ法でシード層を付け、フォトレジストを塗布、フォトリソグラフィ工程でバンプ部のみを開口させる。その後、ウェハをめっき液の中に浸漬し、はんだを析出させる方法(図参照)
(注4)
Chip-on-Chip MCM(Multi-Chip Module):複数のチップを一つのパッケージに搭載するMCMのうち、下段のチップ(Mother chip)の上に、上段のチップ(Daughter chip)をフリップチップ接続したもの。
(注5)
Value Added Technologies(VATECH):本社 韓国水上市 (7511、Seokwoori、Dongtanmyun、Hwaseongsi、Kyunggido、 445-811、South Korea)、CEO兼President Chang Joon Ro。1992年創業の医療用、および歯科用X線イメージング・システムやTFT-LCDのテストシステムの開発、製造会社。
(注6)
スタッドバンプ:主にSiP (System-in-Package)に用いられる。金線でボールを作り、先端部を切断して形成したバンプ。周辺部のみに配置される。
(注7)
金バンプ:主に液晶ディスプレイドライバLSIやTAB-BGA(Tape Automated Bonding)に用いられる。金めっき法により形成されたバンプ。周辺部のみに配置される。

関連リンク

  • 関連資料:ご参考写真 (PDF: 85KB)
    高解像度画像データを表示[写真1] 35micromピッチ・バンプ (JPEG: 105KB)
    高解像度画像データを表示[写真2] 35micromピッチ・バンプ実装 (JPEG: 168KB)
    高解像度画像データを表示[写真3] 歯科用X線イメージセンサー(外観) (JPEG: 114KB)
    高解像度画像データを表示[ご参考] 220micromピッチ・バンプ (JPEG: 66KB)
    高解像度画像データを表示[ご参考] 220micromピッチ・バンプ実装 (JPEG: 60KB)
    高解像度画像データを表示[ご参考] Chip-on-Chip MCM(X線検出用デバイス[上部]と、検出信号処理用CMOSデバイス[下部に4ケ]) (JPEG: 42KB)

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