株式会社日立製作所、富士通株式会社、 日本電気株式会社は、生命保険会社及び損害保険会社10社の協力のもと、平成10年度通商産業省補正予算事業「産業・社会情報化基盤整備事業」 (*1)の一環であるEASI (*2)プロジェクトにおいて、電子保険取引システムのインフラとなる『保険取引基盤』(ソフトウェア)の開発を進めてきましたが、このたび、『保険取引基盤』の開発完了に伴い、本プロジェクトで決めたモニター(消費者・代理店・保険会社)を対象に、7月下旬より順次実地検証を開始しました。
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- 情報処理振興事業協会(IPA)が財団法人日本情報処理開発協会(JIPDEC)に委託、推進
- *2 :
- EASI : The Electronic Transaction System for Insurance
金融、流通を始め、あらゆる分野で電子商取引の普及のためにインターネットを活用したビジネスが積極的に展開されています。保険業界では、電子保険取引システムの開発を保険各社が個別に進めていましたが、システム投資コストがかさみ、結果として商品価格などの面で消費者の要求に応えることが難しくなることが予想されています。さらに、商品体系の複雑化に伴う商品改定や、新商品追加に伴うシステムメンテナンスが複雑になるため、インターネットを活用した電子保険取引の標準基盤が求められています。
今回開発した『保険取引基盤』は、インターネットを活用して、消費者、代理店、保険会社等、日本の商習慣にあわせた電子保険取引を実現する仕組みです。
これは、消費者や代理店のパソコン等から、インターネットを通じ、希望にあった生命保険や損害保険の保険料の試算、保険加入手続きなどを実現する電子保険取引システムのインフラになるものです。本基盤では、システム開発の効率化や利用者の利便性の向上を図るために、XML (*3)技術を活用しています。電子保険取引システムを構築する際に利用する電文フォーマットを定めた「保険業務プロトコル」や取引に必要な保険業務の「データ項目」をXML技術で新たに策定しました。これにより、従来のVANやHTMLベースのシステムに比べ、保険商品の追加・変更時に発生するデータ構造の変更・追加に対するシステムの柔軟性が高くなるとともに、システム開発コストの軽減、システムの汎用性や拡張性の確保、販売手法の多様化などが可能となり、保険会社、代理店、消費者にとって大きなメリットがあります。特に消費者はインターネットを利用することで時間や場所にとらわれず保険サービスを受けることが可能となり、商品選択等の幅が広がります。
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- *3 :
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XML( Extensible Markup Language) : インターネット上で文書やデータを交換、配布する際の記述言語で、HTML(Hyper Text Markup Language)の後継として、今後の標準となると考えられる。
実地検証では、保険料試算業務などを行い実運用に向け課題を洗い出します。8月末のプロジェクト終了後は、実地検証の結果を踏まえ、『保険取引基盤』をベースとした電子保険取引システムの製品化を3社で検討します。また、損害保険会社5社は保険商品の開発に伴うデータ項目の変更や追加への対応・維持方式についてすでに協議を開始しています。なお、本プロジェクトで策定した保険業務プロトコルや保険業務データ項目部品については、今後その仕様を公開する予定です。
[添付資料]
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