当社はこのほど、株式会社富士通研究所(本社:神奈川県川崎市,社長:佐藤 繁)と共同で、車載端末やモバイル情報端末等に最適なグラフィックスディスプレイコントローラLSI「MB86290A」を開発し、1月24日よりサンプル出荷を開始いたします。
カーナビゲーションシステムなどの車載端末市場は、道路交通情報システム(VICS)や高度道路情報システム(ITS)の展開に伴い急速に成長しており、1998年140万台から2000年には200万台の出荷が見込まれております。
車載端末において、画像情報を表示するグラフィックスLSIには、複雑で高度な情報をリアルタイムに表示することが求められています。
新製品は、これまでのグラフィックスLSI開発を通じて蓄積した技術を駆使し、組み込み用として業界最高速の描画性能(100メガ ピクセル*/秒)と、高品質描画機能を実現いたしました。
これにより、従来、組み込み用LSIで表現できなかった詳細かつ高品質なグラフィックス画像を、高速で鮮明に表示することができます。
高品質描画機能により、3次元表示における歪みを補正し、曲線や多角形をリアルに表示するなど、高品質3次元グラィックス表示処理を実現いたします。
CPUインタフェース搭載により、各種組み込み用CPUと接続できます。また、0.25ミクロンプロセスを採用したことにより、消費電力を1Wにおさえられたため、放熱板、冷却器を用いずにプラスチックパッケージへ搭載できます。 *ピクセル:画素
また、本製品の評価とソフトウェア開発を行う、リファレンスボード(MB86290EB01)とグラフィックスドライバソフトウェアを、2月初旬より提供いたします。
当社は、今後もマルチメディア処理を担うグラフィックスLSIにおいて、車載端末向けは勿論、デジタルAV・ネットワーク/通信・情報機器向けにも、積極的に展開してまいります。
車載端末向けグラフィックスLSIにおいては、2001年には、シェア60%獲得を目指しております。
【サンプル価格】 |
5,000円 |
【サンプル出荷時期】 |
平成12年1月24日 |
【販売目標】 |
10万個/月 |
【主な仕様】 |
テクノロジ |
:0.25ミクロン CMOSプロセス |
動作周波数 |
:100MHz(最大値,外部供給クロック14.32MHz) |
動作電圧 |
:内部回路部;2.5±0.2V, I/O部;3.3±0.3V の2電源 |
消費電力 |
:1W(100MHz、Vdd=2.5±0.2V) |
パッケージ |
:プラスチック HQFP-240(リードピッチ:0.5ミリメートル) |
【主な特長】 |
・表示機能 |
:100メガピクセル/秒 (100MHz内部動作時) |
・インターフェイス内蔵 |
:外部回路なしで、各種業界標準32ビットCPUに対応 |
・対応表示解像度 |
:1024×768 ピクセル(最大) |
・表示カラー |
:8ビット/ピクセル(カラーパレット表示時)
16ビット/ピクセル(RGB表示時)
各5ビットの直接カラーを使用 |
・画像表示 |
:最大4階層まで、画面の重ね合わせが可能。下2階層を左右分割可能 |
・アナログRGB信号出力 |
:3チャンネルのD/Aコンバータを内蔵 |
・S(G)DRAMグラフィックスメモリ |
:32メガバイトまで接続可能 |
・表示機能
- 2D:ポイント,ライン,トライアングル,ポリゴン,BLT(*1),パターン描画
- 3D:ポイント,ライン,トライアングル,Zバッファ法による隠面消去(*2)
|
・特殊効果 |
:アンチエリアシング(*3),太線・破線処理,
アルファブレンディング(*4),グーロシェーディング(*5),
テクスチャマッピング(バイリニアフィルタリング*6),
パースペクティブコレクト(*7),タイリング(*8) |
・リファレンスボードを提供 |
【用語説明】
- (*1):BLock Transferの略。矩形のパターンデータを転送表示する処理
- (*2):メモリ(Zバッファ)領域に各ピクセルの奥行きの情報を書き込み、新規ポリゴン
表示時にZバッファと比較し、手前になるピクセル表示処理
- (*3):線の境界を表示前のピクセルカラーとブレンドすることにより、斜め線のギザギザ
を滑らかに見せる処理
- (*4):2つの画像の色を混ぜ合わせることによって、透過効果を表現する処理
- (*5):3Dをなめらかに表示するために、任意の三角形内の各ピクセルの色補間処理
応じて色をブレンドして表示する処理方法
- (*6):テクスチャマッピング処理時、テクスチャピクセルの近傍4点を指定点からの
距離に応じて色をブレンドして表示する処理方法
- (*7):テクスチャマッピング時に、3次元の射影による歪みを補正する処理方法
- (*8):表示したいピクセルのカラーを指定座標に対応するタイルパターンから読み出して表示する方法
以 上
|