[ PRESS RELEASE ] fujitsu-lofo
1999-0120
平成11年6月7日
株式会社富士通研究所
富士通株式会社

テラビット波長多重伝送用の中核光コンポーネントを開発

〜 170波多重伝送システムの実現に目処 〜

このほど、株式会社富士通研究所(本社:川崎市中原区、社長:佐藤繁)と富士通株式会社は、将来の高速インターネットを支えるテラビット光波長多重伝送システムの中核コンポーネントである波長多重光ファイバ増幅器と波長可変光送信機を、開発いたしました。
これにより、170波を多重した1.7 テラビット/秒のデータ伝送が可能な光伝送システムの実現に目処が立ちました。

[開発の背景]

インターネットの普及は、全世界的な規模で企業のビジネス形態や人々の生活にまで大きな変化をもたらしつつあります。今後、さらにインターネットユーザは増加し、データ通信は爆発的に増大すると予測されています。この需要に応えるために、大容量で高速なデータ伝送システムの開発が望まれています。

波長多重(WDM)は、1本の光ファイバに波長の異なる複数の光を重ねて伝送する技術で、波長の数に比例して伝送データの大容量化が可能となります。富士通は既に、10ギガビット/秒の信号を32波多重する光伝送システム『FLASHWAVE 320G』を商用化していますが、今回は、さらなるシステムの大容量化のために、伝送可能な波長数を大幅にかつ経済的に増やすための中核コンポーネントを開発いたしました。

[開発概要]

(1) 波長多重光ファイバ増幅器(詳細は添付資料1)
既存の1550nm帯光ファイバ増幅器と新規開発の1580nm帯光ファイバ増幅器とを並列に組み合わせることにより、50GHz(0.4nm)の波長間隔で、1550nm帯に80波、1580nm帯に90波、合わせて170波の多波長信号を同時に増幅する広帯域特性を実現しました(下図)。この光ファイバ増幅器は、通信需要に合わせて少ない波長数から170波までスムーズな容量増加に 対応することを、特長としております。

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図 波長多重光ファイバ増幅器の構成

(2) 波長可変光送信機(詳細は添付資料2)
約4nm波長可変域を持つ光送信機を開発いたしました。これにより、一つの送信ユニットでITU(国際電気通信連合)で標準化された波長グリッドの8波(50GHz間隔の場合)を送信可能です。従来、170波の波長多重システムを構築する場合、170種の送信ユニットが必要でしたが、これにより22種のユニットで対応できることになり、大きな効率化・経済化が期待できます。

[SUPERCOMM'99で展示]

6月8日から米国アトランタで開催されるSUPERCOMM'99の展示会において、富士通の通信部門の米国法人である富士通ネットワークコミュニケーションズ(社長:時政啓、本社:テキサス州)のブースにおいて、これらの開発技術を展示いたします。特に、波長可変光送信機は早期製品適用を考えており、富士通の波長多重伝送システムである10ギガビット/秒の信号を32波多重化した『FLASHWAVE 320Gシステム』に搭載し、動展示を行います。
現在、富士通は北米SONET市場において大きなシェアを得ておりますが、今後WDMシステムの導入が本格化する地域網において、開発した波長多重光ファイバ増幅器と波長可変光送信機を適用して、大容量で経済的なテラビット光ネットワークを提供していく予定です。
プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、富士通お客様総合センターにお問い合わせください。