PRESS RELEASE
2019年7月31日
富士通株式会社
NTTドコモへ、5G商用サービス向けの基地局制御装置および無線装置を納入開始
装置の特徴
今回納入を開始した5G基地局制御装置は、単一のハードウェアに異なる無線方式を実装するSDR技術(注4)を用いた当社独自のソフトウェアの機能拡張によって5Gを実現しています。そのため、既存の3G/LTE/LTE-Advanced方式の基地局制御装置を活用し、最小限のハードウェア変更のみで、迅速かつ低コストに5Gのネットワークを展開することが可能です。
また、5G無線装置は、従来では、無線装置の外部に設けていたアンテナ装置を内蔵することでビームフォーミング(注5)を実装し、効率的なネットワーク構築を実現します。本無線装置のラインナップとして、5G周波数である3.7GHz帯、4.5GHz帯、28GHz帯に対応した3種を揃えています。
さらに、本基地局制御装置と無線装置間の通信を担うフロントホール(注6)のインタフェースには、オープンインタフェースであるO-RAN Alliance(注7)で策定された世界標準のO-RANフロントホールインタフェース仕様を採用しています。これにより、本仕様に準拠する他ベンダーの基地局制御装置や無線装置との接続が可能となります。加えて、本基地局制御装置と無線装置で採用している無線のインタフェースは、3GPP Rel-15仕様書(注8)に準拠しており、5Gサービスのスムーズな開始を可能とします。
図. 5Gのネットワークを実現する装置構成
今後の展望
当社は、O-RANフロントホールインタフェース仕様に準拠した基地局制御装置と無線装置の開発をNTTドコモと共同で進めてきました。NTTドコモとのパートナーシップをさらに強化し、5Gサービスの開始や展開を支援するとともに、フロントホールのオープン化によるエコシステムの活性化やさらなる技術革新をグローバルに推進していきます。
また、当社は今後、ローカル5Gの提案も含めてスマート工場、遠隔医療、自動運転といった様々な産業分野における5Gの適用により、お客様のデジタルトランスフォーメーションと新たなサービスの創出を支えていきます。
NTTドコモ株式会社 取締役常務執行役員 中村 寛氏のコメント
NTTドコモは、RANのオープン化を実現するために、O-RAN Allianceをリードし仕様作成に貢献しております。オープンインタフェースに準拠した基地局装置を活用することにより、5G時代のB2B2Xビジネスなど様々なユースケースに対応する5Gネットワークを柔軟かつ効率的に構築していきます。今回の富士通様の基地局制御装置と無線装置は、この構築にご貢献頂けるものと期待しています。引き続き5Gネットワークの展開・拡大を図り、様々な業界のパートナーの皆様とともに5Gのサービス・市場の創造を加速していきます。
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
注釈
- 注1 第5世代移動通信方式(5G):
- 3GPP 5th Generation方式の略称。当社を含む世界の主要な移動体通信関連会社などが加盟し、全世界での移動体通信の標準規格を策定するパートナーシッププロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、新たに規定される第5世代の移動体通信の標準規格。5Gの標準規格は、既存のLTE/LTE-Advanced方式に対して高速化、大容量化、低遅延かつ高信頼化などの実現が合意されており、2017年12月にその標準仕様の初版策定が完了。
- 注2 基地局制御装置:
- 5Gの無線アクセスネットワークにおけるデータ処理ならびに無線装置を制御する。
- 注3 無線装置:
- スマートフォンやタブレットなどの端末に無線を接続して、5Gの無線アクセスネットワークを構成する。
- 注4 SDR技術:
- Software Defined Radioの略。ハードウェア上で動作するソフトウェアにより無線機能の実装や変更を柔軟に行うことができる技術。
- 注5 ビームフォーミング:
- アンテナパネル上のアンテナ素子が発する信号の位相(角度)を制御することで電波を特定の方向に集中させる技術。
- 注6 フロントホール:
- 基地局を構成する制御装置と無線装置を結ぶネットワーク。
- 注7 O-RAN Alliance:
- 5Gをはじめとするオープンかつ拡張可能な次世代の無線アクセスネットワーク実現を目指し、標準化を推進する業界団体。
- 注8 3GPP Rel-15仕様書:
- 3GPPで規定されたNSA(Non-Stand Alone) 5G向け仕様書。5Gの基地局は、LTE/LTE-Advance方式の基地局と連携して5Gの通信を提供することなどが示されている。
関連リンク
- 「NTTドコモ様と5G商用サービスの開始をめざした基地局制御装置のハードウェア提供に合意」(2018年2月26日プレスリリース)
- 「O-RANフロントホール開発とマルチベンダーRANの推進へ」(2019年2月22日プレスリリース)
本件に関するお問い合わせ
ネットワークプロダクト事業本部
モバイルネットワーク事業部
044-280-9820
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