PRESS RELEASE (システムプラットフォーム)
2018年9月6日
富士通株式会社
サーバシステムのTCO削減を実現する「液浸冷却システム」を販売開始
背景
大量のデータを処理するIoTやAI(人工知能)といった新技術が普及を続ける中、そのシステム基盤となるサーバはさらなる高性能化が求められています。一方で、高速処理で発生するサーバの発熱量の増大に伴い、その冷却にかかる電力や設備スペースの増加が問題となっており、仕組みの改善が急務となっています。
本製品の特長
- 高効率な冷却技術による大幅な低消費電力化と省スペース化
サーバを高い伝熱特性と絶縁性を持つ液体に浸すことで、サーバ全体を偏りなく効率良く冷却することができます。また、サーバが発する熱が室内に排出されないため、サーバルームなどの空調設備を必要としないほか、サーバに内蔵する冷却ファンも不要とすることで、PUE(注3)値1.07という高い電力効率を実現します。これらにより、空冷システムに比べて冷却設備を含めたサーバシステム全体の消費電力を約40%削減するとともに、設置スペースあたりのサーバ集積密度を約2倍にすることができ、TCO削減に貢献します。
- 容易なメンテナンスを実現
当社が独自開発した密閉性の高い液浸槽により、冷却液の揮発を最小限に防ぐことができます。また、冷媒として使用する冷却液は不燃性かつ人体にも無害で、品質が劣化せず定期交換が不要なため、メンテナンスも容易です。
- 設置からアフターサポートまでワンストップで提供
液浸槽やCDU(注4)の設置から配管工事、サーバの運用保守作業、設備のメンテナンスなどのアフターサポートまで、当社がワンストップで提供します。また、本製品は当社が提供するPCサーバ「Fujitsu Server PRIMERGY(以下、PRIMERGY)」シリーズのオプションとして提供(注5)するため、今後の最新モデルを液浸システムに組み込むことができます。
「液浸冷却システム」の液浸槽
サーバを取り外し、冷却液から引き上げる様子
先行事例について
本製品はインド工科大学 デリー校様の生命情報科学や生物学向け計算センターのPCクラスタに採用されており、低消費電力による運用コストの削減や、研究室に隣接して設置可能な高い静音性、高効率の冷却による高い演算処理性能の維持を実現できることが評価されています。
今後について
冷却液に浸されたサーバは外気に触れることがないため、従来はサーバの設置に適さなかった、高温多湿な地域や空気中に油分や塵埃が含まれる製造現場、塩害の恐れがある臨海地帯など様々な環境に設置することが可能になります。
当社は今後、液浸冷却技術を活用してこれまでにない場所での高性能サーバシステム構築を実現することで、お客様のさらなるビジネス革新を支援していきます。
液浸冷却システムの主な製品仕様
液浸槽 | 外形寸法 | 奥行き 850mm × 幅 1,330 mm × 高さ 880mm (突起部含まず) |
質量 | 最大1,250 kg (冷却液およびサーバなどのICT機器を含む) | |
サーバ浸漬可能台数 | 最大48台(「PRIMERGY CX2550 M4」浸漬時) | |
CDU | 外形寸法 | 奥行き 950mm × 幅 660 mm × 高さ 1,390mm |
質量 | 最大410 kg (運転時) | |
設置環境 | 環境温度 5~45℃, 環境湿度 8~85%RH (結露なきこと) など |
希望小売価格、および提供開始時期
商品名 | 希望小売価格(税別) | 提供開始時期 |
---|---|---|
FUJITSU Server PRIMERGY 液浸冷却システム |
2,000万円より | 2018年11月末より |
※サーバなどのICT機器本体の価格を除いたもの
販売目標
2020年度末までに100システム
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
注釈
- 注1 サーバシステムの消費電力を約40%削減:
- マルチノードサーバ「PRIMERGY CX2560 M4」96台で構成したサーバシステムにおいて、空冷式の空調設備やサーバ内の冷却ファンの消費電力を同構成の液浸冷却方式と比較検証したもの。なお、削減効果は設置環境によって異なるため、お客様環境での消費電力削減値を保証するものではありません。
- 注2 設置スペースあたりのサーバ集積密度を約2倍:
- マルチノードサーバ「PRIMERGY CX2560 M4」80台で構成したサーバシステムにおいて、空冷式でラック4台が必要だったのに対し、液浸冷却方式では液浸槽2台に集約可能であることを検証したもの。なお、改善効果は設置環境によって異なるため、お客様環境でのサーバ集積密度を保証するものではありません。
- 注3 PUE:
- Power Usage Effectiveness。ICT機器の消費電力と冷却設備などの付帯設備の消費電力の合計を、ICT機器の消費電力で割った値で、データセンターやサーバルームのICT機器の電力使用効率を示す指標。「PUE=1.0」はすべての電力がICT機器に使われ、冷却設備などで電力を消費しないことを意味する。なお、本稿でのPUEは当社設備での実測値であり、設置環境によって値が異なるため、お客様環境でのPUE値を保証するものではありません。
- 注4 CDU:
- Coolant Distribution Unitの略。備えられたポンプでサーバ浸漬用の冷却液を循環させ、熱交換器により冷却水への熱移動を行う装置。
- 注5 「PRIMERGY」シリーズのオプションとして提供:
- 現行の「PRIMERGY CX 2550 M4」、「PRIMERGY CX 2560 M4」、「PRIMERGY CX 2570 M4」、「PRIMERGY RX 2530 M4」を含む、今後提供する2ソケットのマルチノードサーバおよび1Uラック型サーバが対象。
関連リンク
- PCサーバ「FUJITSU Server PRIMERGY」
- 「FUJITSU Server PRIMERGY 液浸冷却システム」紹介ページ
- 日本自動車研究所様に液浸冷却システムを用いたPCクラスタを導入(2017年10月23日 プレスリリース)
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