PRESS RELEASE (サービス)
2016年2月4日
富士通株式会社
Deep Learning適用で「データキュレーションサービス」を強化
国内最大級のコスメ情報サイト「Hapicana」で顔画像を活用した新サービスを開発
当社は、ビッグデータの分析サービス「FUJITSU Intelligent Data Service データキュレーションサービス」(以下、データキュレーションサービス)に、新たな分析手法としてDeep Learningを適用し、2月4日より提供します。
本サービスは、新ビジネスの創出や業務改革に向けて、自社で保有する画像や音声などのデータを有効活用したいお客様向けに、専門スキルを持つキュレーター(データサイエンティスト)が、これまで培った技術・ノウハウと当社のビッグデータ専用の分析基盤などを用いてお客様のデータを分析し、Deep Learningを導入した場合の効果を検証するサービスです。本サービスの活用により、自社で分析を行うのに比べ初期投資を抑えながら短期間で検証できます。
また、当社は、株式会社クーシー様(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:田中心作)と連携し、同社の運営する国内最大級のコスメ・美容情報サイト「Hapicana(ハピカナ)」(注1)の新サービス開発に向けた共同プロジェクトを開始しました。顔画像データ5万点にDeep Learningを適用し顔を構成する各パーツの特徴を検出・学習することで、新たなレコメンドサービスの開発につなげていきます。
背景
昨今、人工知能(AI)の研究が進む中、膨大なデータを機械(コンピュータ)が学習し人の判断や知識創造を助ける機械学習(注2)が注目されており、その手法の一つであるDeep Learningは、脳の神経細胞を模したニューラルネットワークの最新技術として、画像・音声認識などの分野で取り組まれています。
当社も、AI技術を「Human Centric AI Zinrai」として体系化し、機械学習の研究に取り組んでおり、株式会社富士通研究所(注3)が開発したDeep Learningによる手書き文字認識技術では、2015年9月に、中国語の手書き文字認識率において、人間の認識率相当(注4)を上回る96.7%を達成しました。
このような状況の中、企業においては、保有する画像や音声などのデータの新たな活用に向け、Deep Learningへの注目が高まっています。
しかしながら、Deep Learningの適用には、目的に沿った適切な分析のためのデータ処理技術や高度な専門知識、膨大なデータを計算するためのICTリソースが必須であり、導入コストが高く効果検証が難しいという課題があります。
当社は、2012年から提供している「データキュレーションサービス」を強化し、新たにDeep Learningを適用した分析サービスを提供します。
Deep Learningを活用した「データキュレーションサービス」の概要
当社のキュレーターが、お客様の保有する画像・音声などのデータを預かり、お客様の目的に合わせた効果検証のフレームワークを適用します。Deep Learningを用いて約2か月でデータ分析モデルの作成と評価を行い、結果をレポートします。お客様は結果をもとに、具体的なデータに基づいた新ビジネスの創出や業務改革を検討することが可能となります。
さらに、本サービスで作成したデータ分析モデルをビジネスに活用したいお客様には、分析モデルの提供や活用のためのコンサルティング、システム構築なども行っていきます。
これまでの「データキュレーションサービス」で行っていた、機器のログや顧客・商品情報など発生した情報の分析による予測モデルの提供に加え、今回、画像や音声などのデータにDeep Learningを適用した学習・認識モデルを提供することで、ヒトの五感に対応したより精度の高いサービス開発や業務改革を支援していきます。
図1 Deep Learningを用いた「データキュレーションサービス」イメージ
「Hapicana」の新サービス開発プロジェクト
図2 「Hapicana」トップページ
「Hapicana」は、コスメ・美容関連の2,000ブランドの商品40万点以上の価格比較、クチコミ、関連記事を掲載している、国内最大級の情報サイトです。
当社は、「Hapicana」を運営するクーシー様と連携し、Deep Learningを活用した新サービス開発のプロジェクトを、2016年1月より開始しました。
本プロジェクトでは、当社のキュレーターが5万点の顔画像データに対し、Deep Learningを用いた学習を80万回行った結果、輪郭、目、鼻、唇など顔を構成する各パーツのかたちや肌の色など、顔に関する特徴から8種類の顔型を作成しました。
両社は、本結果をもとにさらなる検証・評価を行い、「Hapicana」を訪れたユーザーの顔の特徴に合ったメイクのアドバイスやおすすめアイテムの紹介など、ユーザーがよりサイトを楽しむための様々なサービスの開発につなげていきます。
図3 Deep Learningを活用した「Hapicana」の顔分類モデル
今後、以下のような活用を想定しています。
- 工場において製品の画像をもとに品質検査を行い、完成品の精度を高める。(製造)
- レントゲン画像などの臨床検査データから目視では難しい病巣を認識し、早期発見につなげる。(医療)
- 電車内の乗客の人数・顔の向きを認識し、車内の広告を変化させる。(広告)
- 一流選手に共通する特徴を映像から抽出し、自分の体の動かし方とのギャップを教える。(スポーツ)
当社は、ビッグデータの収集・蓄積・分析や、知恵を融合し新たな価値を創出することで、お客様のサービス創造や新製品開発に貢献するコンバージェンスサービスを推進し、多数のお客様のビジネス革新を支援しています。
これまで蓄積してきたデータ活用に関するサービス・ソリューションに、Deep LearningをはじめとしたAI技術を加えることで、データを活用したお客様の新ビジネスの創出や業務改革の実現に貢献していきます。
図4 当社の考えるDeep Learning活用の広がり
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
注釈
- 注1 Hapicana:
- 株式会社クーシーが運営する、コスメ・化粧品に関するユーザーからの口コミや価格比較、ランキングなど美容やメイクに関する国内最大級の情報サイト。
- 注2 機械学習:
- 機械(コンピュータ)に様々なことを学習させるための方法論であり、あるタスクに対して人間が手順を事細かにプログラムするのではなく、ビッグデータからコンピュータ自身がどうすべきかを学習していくためのアルゴリズム。
- 注3 株式会社富士通研究所:
- 本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長:佐相 秀幸。
- 注4 手書き文字(中国語)で人間の認識率相当:
- 文書画像処理分野の国際会議(ICDAR 2013)主催の手書き文字(中国)認識コンテストで提唱された認識率。
関連リンク
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