PRESS RELEASE (サービス)
2015年9月24日
富士通株式会社
スパコン技術の活用により、ビッグデータ分析を30倍高速化
超大規模データの高速分析により、ビッグデータの分析結果をいち早くビジネスに反映
当社は、ビッグデータの分析サービス「FUJITSU Intelligent Data Service データキュレーションサービス」(以下、データキュレーションサービス)の分析基盤において、スーパーコンピュータの開発・提供を通じて培ったハイパフォーマンスコンピューティング(以下、HPC)技術を用いることで、テラバイト以上の超大規模データの分析処理時間を従来比30倍に高速化(注1)しました。「データキュレーションサービス」を9月24日より本基盤に移行し、活用を開始します。この高速処理技術を搭載した分析基盤を用いることで、例えば従来1週間かかっていた、数千個の属性データを持つ数百万人分の顧客データといった超大規模データに対する分析を数時間に短縮できます。
これにより、ビッグデータ活用が実用・商用フェーズに入り、より膨大なデータの分析を必要とされるお客様においても、分析結果をビジネスへいち早く反映することが可能になります。
[関連リンク] データキュレーションサービス紹介サイト
図1. 超大規模データの分析処理時間比較
背景
近年、企業によるビッグデータ分析の活用レベルは、検証フェーズから実用・商用フェーズに移行しつつあります。これに伴い、分析対象とするデータのボリューム・バラエティはともに飛躍的に増大しています。例えば、数千万から数億人規模の顧客を対象とする大規模分析(注2)の場合、ハイスペックなサーバを用いたとしても膨大な時間が必要となります。
そのため、多くの分析プロジェクトでは、一部のデータを抽出して分析を行うなどの対処を行なっています。しかし、1 to 1マーケティングや工場プラント異常検知などは、膨大なデータ全体を分析対象とする必要があるため、分析基盤を高速化させることが課題でした。
図2. 「データキュレーションサービス」のデータ量の変化
技術概要
今回、「データキュレーションサービス」用に、自社データセンター内にビッグデータ分析専用のHPCクラスタ(注3)を構築しました。このHPCクラスタは、複数のPCサーバ「FUJITSU Server PRIMERGY(プライマジー)」を高速なインターコネクトで接続したもので、専用の並列処理ライブラリを適用することにより、1,000コアを越えるCPUの並列処理が可能となります。ハードウェアとソフトウェア両面の強化により、従来と比較し約30倍の超大規模データ高速処理を可能としました。
また、既存の豊富なオープンソースソフトウェア(RやPythonで書かれたアプリケーション、Hadoop、Spark、DeepLearning系フレームワークなど)の大きな変更なしに運用が可能な高い汎用性を有しています。
効果
「データキュレーションサービス」において、この高速処理技術を用いた分析基盤を活用することで、例えば従来1週間かかっていた、数千個の属性データを持つ数百万人分の顧客データといった超大規模データに対する分析を数時間に短縮できます。また、従来は困難だった以下のような超大規模データの分析もビジネスに適用していくことが可能になります。
- 企業の全商品カテゴリ(数万カテゴリ)、全顧客(数千万ユーザー)に対するセグメンテーションやマーケティング施策の検討
- 複数のIoT機器から送信される、数千から数万種類のセンシングデータを束ねた分析
- 日本の全人口(1.27億人)に対する超大規模な疾病予測
「データキュレーションサービス」について
当社は、お客様のデータを、当社のキュレーター(データサイエンティスト)が分析し標準8週間でデータ活用のモデルを作成するサービス「データキュレーションサービス」を、2012年4月より提供しています。
本サービスにより、ビッグデータ分析を始める際の設備投資やデータサイエンティストの準備などのコストを抑えつつ、本格的なデータ活用の可能性を検証することができます。また、データキュレーションサービスは、データそのものに着目し、業種・業態に制限されないため、多様なお客様の様々な課題に対してサービスを提供可能です。
図3. 「データキュレーションサービス」の事例
販売価格、および提供時期
サービス名 | 販売価格(税込) | 提供時期 |
---|---|---|
FUJITSU Intelligent Data Service データキュレーションサービス |
個別見積 | 9月24日より新基盤で稼動 |
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
注釈
- 注1 超大規模データの分析処理時間を従来比30倍に高速化:
- 実測値での速度比較。当社調べ。
- 注2 大規模分析:
- セグメント分析での特徴量(ヒント)の次元変換処理における、全データに対する行列演算処理などを想定。
- 注3 ビッグデータ分析専用のHPCクラスタ:
- 構築には、株式会社富士通研究所(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長:佐相秀幸)も協力。
関連リンク
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