PRESS RELEASE (ネットワーク)
2014年5月9日
富士通株式会社
SDNによる広域ネットワーク向け仮想化製品を提供
「FUJITSU Intelligent Networking and Computing Architecture」に基づく第二弾製品
当社は、SDN(注1)により、ICT基盤全体をネットワークワイドに最適化するアーキテクチャー「FUJITSU Intelligent Networking and Computing Architecture(フジツウ インテリジェント ネットワーキング アンド コンピューティング アーキテクチャー)」に基づく製品の第二弾として、広域ネットワーク向け仮想化製品「FUJITSU Network Virtuora NC(フジツウ ネットワーク バーチュオーラ エヌシー)(以下「Virtuora NC」)、「FUJITSU Network Virtuora SN-V(フジツウ ネットワーク バーチュオーラ エスエヌブイ)(以下「Virtuora SN-V」)」を新規提供するとともに、「FUJITSU Network ProactnesⅡ QM(フジツウ ネットワーク プロアクトネスツー キューエム)(以下、「ProactnesⅡ QM」)」を機能強化し、5月9日より販売開始します。
広域ネットワークの構造は、広帯域な光伝送や無線アクセスの階層、エンドツーエンドを繋ぐパケット通信階層など多種の階層を組み合わせた作りになっています。今回販売開始する製品は、こうした多種の階層のうち、パケット通信階層に対応したネットワーク仮想化製品であり、今後、順次領域を拡大していきます。
これらの製品により、集中管理型の仮想ネットワークを構築し、従来のネットワーク環境では困難であった、様々なサービスに対応した最適な通信環境の構築を容易にし、新たなサービスの創造に貢献します。さらに、サービスごとの通信経路の可視化や、既存のIP通信機器に対する制御・管理機能を提供し、大幅なOPEX/ CAPEX(注2)削減を実現します。また、ネットワーク品質管理ソフトウェア「ProactnesⅡ QM」において、仮想ネットワーク対応機能を強化したことで、サービスを利用するエンドユーザーの体感品質(QoE:Quality of Experience)の継続的な向上を実現します。
今回提供する製品は、5月15日(木曜日)、16日(金曜日)に東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催する「富士通フォーラム2014」でご覧いただけます。
背景
近年、クラウドの普及とスマートデバイス利用の急激な拡大から、広域ネットワークを活用するサービスの多様化が進み、ネットワークを流れる通信データの特性も多様かつ複雑なものとなっています。こうした状況から広域ネットワーク事業者では、サービスごとに異なる要件に対し、最適な通信環境の提供を求められることとなり、従来の固定のネットワーク設計では運用ができない課題に直面しています。
今回、当社は、SDNにおけるネットワーク仮想化技術により、サービスごとに最適な通信環境を実現する製品を提供します。これらにより、広域ネットワークの課題を解決し、新たなサービスの創造や普及拡大、ネットワーク事業コストの削減を推進していきます。
今回の製品発表の位置づけ
新製品の概要
当社は、昨年、「FUJITSU Intelligent Networking and Computing Architecture」に基づく製品の第一弾としてデータセンター向けネットワーク仮想化製品を提供しています(注3)。今回、第二弾として、広域ネットワークのパケット通信階層向けに以下の仮想化製品を提供いたします。
- 広域仮想ネットワーク運用制御・管理ソフトウェア「Virtuora NC」の新規提供
「Virtuora NC」は、ネットワークの構成情報を集中管理し、サービスごとに最適な通信環境となる仮想ネットワークの構築(最適な経路設計、経路情報の通信機器への設定)を一元的に行う集中管理型ソフトウェアです。「Virtuora NC」により、広域ネットワーク事業者は、複雑な仮想ネットワークの運用を高品質かつ効率的に行うことができます。
「Virtuora NC」は、当社独自の経路設計エンジンによって、中継ノードの段数や確保可能な帯域幅など、多面的な情報に基づく最適な経路を瞬時に決定し、広域ネットワークにおけるファイアーウォールやロードバランサなどの機能を選択し自動でつなぐサービスチェーニング(注4)機能を提供します。さらに、サービスごとの通信経路情報を分かりやすい画面で可視化することにより、高い専門知識が必要な仮想ネットワークの運用を簡素化しOPEX削減を支援します。
また、広域ネットワークにおける、集中管理型のネットワーク仮想化ノード(「Virtuora SN-V」など)と自律分散型のIP通信機器(ルータなど)の双方に対し、仮想ネットワークの運用制御・管理を行います。
- ネットワーク仮想化ノードソフトウェア「Virtuora SN-V」の新規提供
「Virtuora SN-V」は、「Virtuora NC」が設定した情報に基づき、仮想ネットワーク制御およびユーザーデータ転送処理を行うソフトウェアです。汎用IAサーバで動作するので、広域ネットワーク事業者はネットワーク構築に従来必要だった専用通信機器の利用を減らすことで、CAPEXを削減することができます。
「Virtuora SN-V」は、ソフトウェア処理において当社独自の実行制御技術を採用しており、高速データ通信処理を実現しました。また、「Virtuora NC」による制御に加え、自律的な経路障害監視、および障害検出時の即時切替え機能を備えているほか、「Virtuora SN-V」の制御インターフェースとして、標準プロトコルOpenFlow1.3(注5)をサポートしています。
- ネットワーク品質管理ソフトウェア「ProactnesⅡ QM」を機能強化
「ProactnesⅡ QM」は、通信データの動きを分析し、品質劣化の即時検出と問題箇所の正確な特定を行うソフトウェアです。今回、品質劣化情報を「Virtuora NC」へ即時通知するインターフェースとネットワーク仮想化方式であるNVGRE(注6)プロトコル、Q-in-Q(注7)プロトコルに対応し、高速データキャプチャーの機能強化を図り、「Virtuora NC」と連携しました。これにより、従来のネットワークと同様に、広域仮想ネットワークにおけるエンドユーザーの体感品質の向上を実現します。
広域ネットワークの構造と新製品の位置づけ
今後の展開
当社は、様々な通信要件に対応するネットワーク設計機能をネットワーク仮想化技術により、迅速かつ柔軟に実現し、最適な通信環境をタイムリーに提供することで広域ネットワークの課題を解決し、新たなサービスの創造および利用拡大の実現に貢献してまいります。また、広帯域な光伝送や無線アクセスの階層などに向けて、順次、製品の提供領域を拡大していきます。
販売価格、および出荷開始時期
製品名 | 販売価格(税別) | 出荷開始時期 |
---|---|---|
FUJITSU Network Virtuora NC | 1300万円より | 2014年6月 |
FUJITSU Network Virtuora SN-V | 100万円より | 2014年9月 |
FUJITSU Network ProactnesⅡ QM | 377万円より | 2014年6月 |
販売目標
2016年度末までに売上120億円(当社の決算期は3月末日です)
商標について
記載されている商品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
注釈
- 注1 SDN:
- Software Defined Networking。ソフトウェアにより、構成や機能を定義・制御することが可能なネットワークを構築する技術全般のこと。
- 注2 OPEX /CAPEX:
- OPEX(Operating Expense)は運用コスト、CAPEX(Capital Expenditure)は機器投資のこと。
- 注3 データセンター向けネットワーク仮想化製品を提供しています:
- 2013年5月8日プレスリリース
- 注4 サービスチェーニング:
- ネットワークに複数存在する機能(ネットワークアドレス変換、ファイアーウォール、ロードバランサ、不正侵入監視、セッション制御、コンテンツ配信など)を、サービスごとに選択して利用すること。
- 注5 標準プロトコルOpenFlow1.3:
- 米国Open Networking Foundation(ONF)が仕様を標準化する通信制御プロトコル。
- 注6 NVGRE:
- Network Virtualization using Generic Routing Encapsulation。仮想ネットワークを構築するためのトンネリングプロトコルの一つ。VLANを拡張するため、L2フレームをL3パケットでカプセル化するオーバーレイ・ネットワーク技術。
- 注7 Q-in-Q:
- IEEE802.1q トンネリング標準仕様の呼称。仮想ネットワークを構築するためのトンネリングプロトコルの一つ。広域イーサネットサービスを実現する拡張タグVLAN技術。
関連リンク
- SDNの考え方に基づき、ICT基盤全体をネットワークワイドに最適化する新アーキテクチャーを確立(2013年5月8日 プレスリリース)
- FUJITSU Network Virtuora 製品サイト
- FUJITSU Network ProactnesⅡQM
本件に関するお問い合わせ
富士通コンタクトライン
0120-933-200
受付時間: 9時~17時30分(土曜日・日曜日・祝日・年末年始を除く)
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