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PRESS RELEASE (システムプラットフォーム)

2009年8月7日
富士通株式会社

理化学研究所様の新スーパーコンピュータシステムが稼動

PCサーバ「PRIMERGY RX200 S5」1,024台で構築、PCクラスタシステムで実行性能日本1位を達成

当社は、このほど、独立行政法人理化学研究所(本所:埼玉県和光市、理事長:野依良治、以下、理研)様の新スーパーコンピュータシステムの構築を完了し、本システムは8月より稼働を開始しました。

本システムで実施したLINPACK(注1)(リンパック)ベンチマークによる性能測定では、97.94テラフロップス(注2)(以下、TFLOPS)の実行性能を達成しました。この結果は、最新のTOP500リスト(注3) (2009年6月発表)と比較した場合、PCクラスタシステムの実行性能としては日本1位となるものです。

新スーパーコンピュータシステムの概要


超並列PCクラスタ

新システム(名称RICC : RIKEN Integrated Cluster of Clusters)は、3つの異なる用途の計算サーバシステム(超並列PCクラスタ、大容量メモリ計算機、多目的PCクラスタ)と共通のフロントエンドシステム、磁気ディスク装置、テープ装置によって構成される複合システムです。

超並列PCクラスタには、当社のPCサーバ「PRIMERGY RX200 S5」1,024台(2,048CPU、8,192コア)が採用されています。

また、システム環境には、システム管理機能、高速ファイルシステム、プログラミング開発環境を統合した当社のHPCミドルウェア「Parallelnavi(パラレルナビ)」に加えて、大規模並列ジョブを複数のクラスタ全体で統合的に管理できるHPCジョブ管理ツール「メタジョブスケジューラ」が採用されています。


測定結果

1,024ノードの超並列PCクラスタ(「PRIMERGY RX200 S5」)を中心とし、LINPACKベンチマーク性能測定において以下の結果を達成しました。

この結果は、現在稼働中のPCクラスタシステムとしては実行性能で日本1位となります。

  測定結果 TOP500リスト
(2009年6月との比較)
TOP500中の
PCクラスタ性能ランキング
実行性能 97.94 TFLOPS 世界34位 日本1位

高性能を達成した背景

新システムの測定結果は、当社の高性能なハードウェアと、HPCミドルウェア「Parallelnavi」およびプログラムチューニングなどのシステム構築技術が結びつくことにより実現したものです。

特に「Parallelnavi」に含まれる数学ライブラリはLINPACKの処理性能を大きく左右するもので、今回の測定結果においても大きく貢献しました。この数学ライブラリは富士通研究所の研究成果を基にしたもので、世界で最高レベルの性能を実現しています。

高性能なハードウェアに加えて、最先端の研究成果を取り入れたミドルウェアやお客様の要望に柔軟に対応するシステムインテグレーションを包括的に提供できる体制は、当社の大きな強みとなっています。

HPCジョブ管理ツール「メタジョブスケジューラ」について

「メタジョブスケジューラ」は、理研様の前システムRSCC(RIKEN Super Combined Cluster)の開発・運用において、理研様と当社、富士通研究所のコラボレーションを通して開発された高機能スケジューラです。

以下の機能により、計算センター利用者の多種多様なジョブのスケジューリングで生じる無駄を解消し、ジョブの待ち時間を短縮することでシステム稼働率を最大化します。

  • マルチレイヤー・スケジューリング機能 : コア、CPU、サーバ、クラスタなどレイヤーの異なる計算リソースに対するきめ細かなスケジューリング機能
  • フェアシェア機能 : 利用者ごとに割り振られたランクや過去の実行履歴を参照することで、利用者相互で公平なジョブ・スケジューリングを行う機能
  • バックフィル機能 : 空いている資源を有効に利用するために、待機ジョブの順序を入れ替える機能

独立行政法人理化学研究所 情報基盤センター長 姫野 龍太郎様からのコメント

前システムでその革新性を高く評価されたRSCCをさらに発展させ、今回RICCとして導入、運用を開始します。このシステムは理研の研究者に、

  1. 次世代スーパーコンピュータで性能を発揮するプログラム開発のプラットフォームとして必要な、数千以上の並列を日常的に試すことができること
  2. 次世代DNAシーケンサーや、加速器、X-FEL(X線自由電子レーザー)など、最先端の研究実験で必要となる大量の実験データ処理
  3. MDGRAPE-3(注4)やGPGPU(注5)などのアクセラレーターを使った新たな計算ソフトウェアの開発に使ってもらうこと

を狙っています。

今回、「インテル® Xeon® プロセッサー 5500番台」を、大型クラスタとして日本で最初に導入、運用に供することができました。その性能の良さに驚くと共に、導入のスムーズさで富士通には感謝しています。

商標について

インテル、Intel、Intel ロゴ、Xeon、Core は、米国およびその他の国における Intel Corporation の商標です。

その他、記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

  注1 LINPACK:
コンピュータの性能計測プログラム。LINPACKベンチマークはスーパーコンピュータの性能比較プロジェクト「TOP500」の標準ベンチマークとして採用されている。
  注2 テラフロップス(TFLOPS):
1テラフロップスは毎秒1兆回の浮動小数点演算速度。
  注3 TOP500:
世界のスーパーコンピュータ性能ランキング。
  注4 MDGRAPE-3:
理研様で開発した、分子動力学シミュレーションに特化した専用計算機で、本システムの多目的PCクラスタの一部に搭載される。
  注5 GPGPU:
General Purpose computing on Graphic Processing Unitの略。本来、画像処理に用いられる専用プロセッサを、画像処理以外の一般計算用途に応用する技術のこと。

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