PRESS RELEASE (システムプラットフォーム)
2008-0245
2008年12月8日
富士通株式会社
~ 「次世代インテル® Xeon® プロセッサー(開発コード名:Nehalem)」を搭載する
PCサーバ「PRIMERGY」で大規模並列PCクラスタを構築 ~
当社はこのほど、独立行政法人理化学研究所(本所:埼玉県和光市、理事長:野依良治、以下、理研)様より、理論ピーク性能が現行システムの約9倍の108テラフロップス(TFLOPS)(注1)を誇る新スーパーコンピュータシステムを受注しました。
この新スーパーコンピュータシステムは、3つの計算サーバシステムからなる複合システムであり、その中核となる大規模並列PCクラスタシステムは、「次世代インテル® Xeon® プロセッサー(開発コード名:Nehalem)」を搭載する当社のPCサーバ「PRIMERGY」の次期モデル1,024台によって構成されます。
新スーパーコンピュータシステムは、2009年度第2四半期の本格稼働を予定しています。
[関連リンク]富士通のHPC 紹介サイト
理研様は、日本で唯一の自然科学の総合研究所として、物理学、工学、化学、脳科学、ライフサイエンスなどの幅広い分野で研究を進めており、これらの科学技術研究・開発の発展を支援することを目的として、常にその時代における最高水準の最新鋭計算機システムを導入しています。
現行システムは、それまで部門単位で利用されていたPCクラスタを、LinuxやGrid、Webなどの最新技術を駆使することで、大型計算機センターシステムとしての運用を可能にし、次世代の計算機センターのモデルとして国内外の注目を集めました。そして、このほど、研究・開発のさらなる発展を目的として、スーパーコンピュータシステムの刷新を決定されました。
新システムは、現行システムの発展型として、今後ますます計算需要が増大していくライフサイエンス分野や物理学研究分野での利用にも耐えうる計算性能と、さらなる利便性、運用の効率化を目的として導入されるものです。
新システムは、3つの異なる用途の計算サーバシステム(大規模並列計算、大容量メモリ計算、多目的計算)と共通のフロントエンドシステム、磁気ディスク装置、テープ装置によって構成される複合システムです。中核となる大規模並列計算用PCクラスタには、当社のPCサーバ「PRIMERGY」次期モデル1,024台(2,048CPU、8,192コア)が採用されました。
システムの操作環境は、当社のHPCミドルウェア「Parallelnavi(パラレルナビ)」によって統合され、利用者はそれぞれの計算サーバシステムの違いを意識することなく、1システムイメージで使うことが可能です。
また、インターネット環境からの利用も想定したセキュリティの高い計算環境を提供します。
新スーパーコンピュータシステムの中核となる大規模並列PCクラスタシステムは、「次世代インテル® Xeon® プロセッサー」を搭載するPCサーバ「PRIMERGY」の次期モデルにより構成されます。「次世代インテル® Xeon® プロセッサー」には、プロセッサ間およびプロセッサとI/O間の高速データ転送を実現するインテル®QuickPath Interconnectが実装されており、これにより非常に高い演算処理性能を実現します。また、当社のPCサーバ「PRIMERGY」で構築する大規模並列PCクラスタシステムの性能(1TFLOPS)あたりの消費電力は、現行システムの約7分の1となる予定です。
「Parallelnavi」シリーズは、科学技術計算に適したプログラム開発からジョブ(プログラムの処理単位)の実行、運用管理まで、スーパーコンピュータに必要な基盤ソフトウェアを全て網羅し、高い運用性を実現します。主な特長は以下の通りです。
さらに、複合システムのデータ運用性を高めるため、各計算サーバシステムから磁気ディスク装置への同時大量アクセスに対してもファイルデータの一貫性・整合性を保証しながら、理論性能で従来システムの約8倍となる毎秒12.8ギガバイトの転送速度を実現します。
現在運用している「理研スーパー・コンバインド・クラスタ」は、そのものが研究開発でしたが、富士通の関係者の方々と共にチャレンジする積極的な取組が第三者からの高い評価にも繋がったと大変感謝しています。
今回のシステムは、現システムの設計コンセプトを拡張・発展させて、今後、益々増大すると予測されるライフサイエンス分野からの需要や高エネルギー物理学実験からのデータ増大等に対応して行きます。富士通のハードウェア・ソフトウェア両方の高い信頼性と関係者の方々の継続的なご協力にも期待し、情報基盤センターとして今後の科学技術の発展と人材育成等に貢献し続けたいと考えています。
理研様はこれまで、スーパーコンピュータシステムを活用して、さまざまな自然科学分野で数多くの研究成果を上げてきました。2008年4月には、現スーパーコンピュータシステムを使って、ノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎氏が基礎づけを行った概念である「対称性の自発的破れ」に関連する研究も実施し、研究の進展に貢献する成果を上げたことを発表されています。
素粒子の世界の真空エネルギーをコンピュータで計算(独立行政法人理化学研究所プレスリリース)
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