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[ PRESS RELEASE ] 2001-0270
平成13年12月12日
株式会社富士通研究所
富士通株式会社

鉛フリーの微細はんだバンプを従来比1/2の低コストで形成

AP Bump


株式会社富士通研究所(社長 : 藤崎道雄、本社 : 川崎市)と富士通株式会社は、高密度の微細はんだバンプを、半導体ウェハ一括で形成し、バンプの製造コストを従来の1/2以下に低減できる技術『AP Bump』(Advanced Printing Bump)を開発いたしました。
開発した技術を用いると、実装コストが高く、コンシューマ製品になかなか利用できなかった高機能の多端子LSIチップを携帯電話等の小型機器に適用でき、機器の一層の小型軽量化と高機能化が図れると期待できます。
また、バンプの原材料には、鉛フリーのはんだペースト(*1)を用いることができ、環境にも配慮した新技術です。
なお、本技術は、既にサンプル供給を開始しており、2002年1月より量産展開を予定しています。

[開発の背景]

大型サーバ等で使われる多端子LSIチップの実装には、配線遅延を少なくするため、チップ全面にはんだバンプを用いるフリップチップ(*2)実装が使われています。最近のLSIの高集積化とともに、チップの電極端子数は増加し、逆に端子間隔(ピッチ)は200μmくらいまで狭くなってきており、微細バンプを低コストで形成する技術が必要になっています。
はんだバンプの形成技術としては、蒸着法やめっき法があります。蒸着法は大型設備が必要で、ランニングコストが高いため、安価なパッケージ実装用には向きません。一方、めっき法は、プロセスコストは安価ですが、対応可能なはんだ組成に制約があるという欠点があります。
近年、バンプの製造コストが安いはんだペースト印刷法が注目されています。しかし、ペースト印刷法は、ペーストの粘着性が原因となって、供給できるペーストの量に限界があります。このため、200μm以下の狭ピッチのバンプを形成する場合、必要とする高さのバンプが得られないという欠点が明らかとなっています。
LSIチップの端子ピッチは、数年後には120μm以下になると見込まれており、端子の狭ピッチ化とバンプの鉛フリー化に対応でき、しかも低コストな技術の開発が望まれています。

【開発した技術】

今回開発した『AP Bump』は、感光性のフィルム(*3)とはんだペーストとを用いてバンプを形成する技術です(図1)。その特徴は、以下の通りです。

  1. 感光性フィルムを用いることで、フィルムに均一サイズの開口部を設けることができ、充填するペースト量を一定にできるので、高さの揃ったバンプを形成できます。また、従来法で困難な狭ピッチのバンプを安定して形成することが可能であり、現状120μmピッチまで対応可能です。2002年には100μmピッチの開発を予定しています。

  2. 更に従来法に比べてサイズの大きいバンプを形成でき、接合部の信頼性をより一層向上できます。バンプサイズの一例として、220μmピッチにバンプ形成する場合、バンプのサイズは従来法で困難であった高さ130μmのものが形成できます。そして、最終的には150μmの高さのバンプを形成できるよう開発を進める予定です。

  3. はんだペーストを用いるので、鉛フリー化にも容易に対応できます。

  4. ウェハ一括でバンプを形成できることから、バンプの大幅な低コスト化が見込まれます。
この多端子LSIチップへの低コストのバンプ形成技術の開発によって、電子機器の小型軽量化が進展するとともに、機器の一層の高性能化が期待できます。

【用語解説または注釈】

*1 : はんだペースト
はんだ粉末とロジン、溶剤、活性剤、増粘剤などフラックス成分とを混合したペースト状のはんだ材料のことです。
*2 : フリップチップ
LSIチップを裏返して回路基板に接合する実装方法です。この時、チップもしくは基板の電極端子に、はんだバンプが設けられており、チップはバンプを介して基板に接合されます。
*3 : 感光性のフィルム
正式名称は、感光性ドライフィルムレジストです。露光/現像プロセスによってマスク形状の孔を形成できます。
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開発したバンプ形成方法開発したバンプ形成方法
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以 上

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