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[ PRESS RELEASE ] 平成13年8月2日
富士通株式会社
ブロードバンド・インターネットを支える富士通No.040
プロダクト


世界初!!
0.35ミクロン強誘電体技術を用いた多目的ICカード用LSIチップを発売


多目的ICカード用LSIチップLSIチップの拡大写真
多目的ICカード用LSIチップ
LSIチップの拡大写真

当社はこのほど、究極のメモリデバイスとして注目されている不揮発性強誘電体ランダムアクセスメモリ(FRAM*1)に、世界で初めて0.35ミクロン(μm)の微細加工技術を適用し、それを量産化することに成功いたしました。
さらに、この0.35ミクロンFRAM技術を採用することにより、32ビットCPUと512キロビット(64キロバイト)FRAMを混載した多目的ICカード用LSIチップ「MB94R202」を開発しました。当社は、この多目的ICカード用LSIチップを2001年8月2日より発売いたします。

近年、ICカードは、IDカード、金融カード、交通機関用などに使用されはじめています。今後は、複数の機能を搭載して電子商取引などにも活用される多目的ICカードが普及し、ICカードの市場は2005年には80億枚に達すると予想されております。
現在、ICカード向けのデータ保存用メモリには主にEEPROMが使用されていますが、当社が採用しているFRAMは、EEPROMに比べて、書込み速度約1万倍、書込み消費電力約1/400、書換え回数10万倍という優れた特長をもっています。
さらに、FRAMとCPUを混載することにより、インターネット等を通じた電子商取引に要求される情報の暗号化や公開鍵による個人認証に対しても安全なシステムを実現できます。

多目的ICカード用LSIチップ「MB94R202」は、32ビットRISCプロセッサを搭載し、マルチアプリケーション管理が行えるOSを搭載できます。64キロバイトの大容量FRAMを混載することにより、複数のアプリケーションの実行と大容量のデータ保存ができます。通信インタフェースとして接触・非接触の両方を搭載したコンビカード用LSIであり、Reader/WriterとのISO規格準拠のプロトコル通信が行えます。認証機能のための暗号回路として楕円曲線暗号(*2)、DES(*3)、RSA(*4)などを搭載することにより、高いセキュリティレベルを実現しています。FRAMの特徴である高速、低消費電力、高頻度書換回数を活かす最適設計がされており、複数のアプリケーションを高速かつ低消費電力で実行することが可能となっています。
このように、今回開発した多目的ICカード用LSIチップ「MB94R202」は多くの優れた特長を有しており、まさにブロードバンド・インターネットの時代の多目的ICカードに最適なLSIです。
当社は、今後もブロードバンド・インターネットの時代に要求される機能を実現する製品を開発し、いち早く提供してまいります。

【0.35ミクロン強誘電体技術について】
当社は、1999年10月より0.5ミクロン技術を用いてFRAMデバイスの量産を開始し、現在までに3,000万個以上のFRAM製品を出荷して参りました。そして、このほど世界に先駆けて0.35ミクロンのFRAMデバイスプロセス技術を完成させ量産を開始いたしました。本技術では、0.35ミクロンの微細加工技術を用いることにより、FRAMメモリの集積度を高め、書換速度、消費電力、書換回数の向上も実現しております。
0.35ミクロン強誘電体技術を実現するために、PZT(*5)結晶および電極を高性能化するとともに、PZTのプロセス劣化を抑制する特殊な保護膜を開発するなどプロセス技術に工夫をこらしました。さらに、FRAMを量産するためには、強誘電体プロセスの製造装置の安定性が重要です。当社では、FRAMのキープロセスであるPZTのスパッタ装置、およびエッチング装置を装置メーカと共同開発し、0.5ミクロンFRAMの量産を開始しました。今回の0.35ミクロンFRAMでもこれらの装置をさらにブラッシュアップすることにより安定な量産を実現しました。
また、当社の0.5ミクロン と0.35ミクロンのFRAMデバイスプロセスは、通常のCMOSロジックプロセスにPZTキャパシタの形成プロセスのみを追加することにより構築されています。したがって、容易に且つ低コストでFRAMとCMOSロジックとの混載が可能になり、既存の設計資産をそのまま継承することが可能です。このように、当社FRAM技術は、お客様のニーズに幅広くお応えできるようなプロセス開発を心がけております。

【出荷時期】
サンプル出荷 : 平成13年8月2日より
量産 : 平成14年1月より

【サンプル価格】
1,200円(税別)

【販売目標】
月産150万個(2002年度上期)

【主な仕様】
32ビットRISC CPU
96Kバイト マスクROM(プログラムメモリ)
4KバイトSRAM(ワークメモリ)
64KバイトFRAM(データメモリ)
接触 : ISO7816、T=0,1
非接触 : ISO14443-TypeB、T=CL
DES、楕円曲線暗号(ECC)、RSA
OS : Java OSを使用予定

【用語説明】
*1 : FRAM(Ferroelectric Random Access Memory)
強誘電体材料を利用した電源を切ってもデータが消えない不揮発性メモリ。低消費電力で、高速書込み、高頻度書き換えが行える。
*2 : 楕円曲線暗号
1985年にKoblitz、Millerらが発明した、公開鍵暗号方式。RSA方式に比べ、短い鍵の長さで同等の安全性を実現でき、高速処理が可能。
*3 : DES(Data Encryption Standard)
1970年代に米国IBM社が開発した、共通鍵暗号方式。米国政府連邦処理標準に登録、米国規格協会にも採用されており、幅広く利用されている暗号方式。
*4 : RSA(Rivest Shamir Adleman)
1977年に発明者Rivest、Shamir、Adlemanらの頭文字を取って名づけた、公開鍵暗号方式。非対称暗号アルゴリズムを使うが、処理速度が遅い為高速なコ・プロセッサーを搭載して対応。
*5 : PZT(Pb(Zr,Ti)O3)
FRAM用の強誘電体薄膜キャパシタ材料(チタン酸ジルコン酸鉛)。

【商標について】
FRAMはラムトロン社の登録商標です。
Javaはサンマイクロシステムズ社の登録商標です。
その他の製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以 上

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