2024年2月26日
富士通株式会社
複数の交通手段を組み合わせた移動を高精度に再現する複合型行動選択モデル技術を開発
Fujitsu Research Portalでソーシャルデジタルツイン™技術を
順次公開
当社はこのたび、複数の交通手段を組み合わせた移動において、料金設定などの変更によって人々の移動がどのように変化するかを予測し、その効果を評価できる複合型行動選択モデル技術を開発しました。
本技術により、都市全体の環境負荷を抑えつつ利便性や経済性を損なわない移動を、自家用車や公共交通、徒歩などの複数の交通手段の組み合わせを考慮し実現するマルチモダリティ施策の検討と効果予測が可能になります。
また、当社は2024年1月19日より、様々な都市でのシェアードモビリティの導入効果を検証できるデジタルリハーサル技術をFujitsu Research Portal(注1)にて公開し、今後、今回開発した複合型行動選択モデル技術をはじめとする、AIを含むICT技術に最新の行動経済学の知見を取り入れたソーシャルデジタルツイン™技術について順次公開していきます。
複合型行動選択モデル技術の概要
人々の移動は、単一の交通手段のみならず、複数の交通手段を考慮する必要がありますが、その組み合わせのパターンは膨大で学習データを得ることが困難な課題がありました。当社は既に単一交通手段を想定した移動をシミュレーションするデジタルリハーサル技術を開発済みですが、今回開発した、複数の交通手段を考慮したデジタルリハーサルを可能にする複合型行動選択モデル技術は、以下の2つの特長を備えています。
・特長1: | 交通手段の組み合わせパターン全てではなく、組み合わせに含まれている主要な移動手段のみに着目することで組み合わせ数によらず学習が必要な要素を一定数にする |
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・特長2: | 主要な移動手段に対して移動者の優先度を示す選好度関数を定義して学習することで、乗換などの詳細な移動履歴データが無くても、主要な移動手段のみの利用履歴データを用いてモデルの学習が可能 |
複合型行動選択モデル技術の効果
本技術を用い、通勤者の実データ1.5万人分を利用して評価を行ったところ、郊外から都心へ通勤する人の交通手段選択を95%の確率で高精度にシミュレーション上で再現できることを確認しました。さらに本技術を用いたデジタルリハーサルで郊外の駐車場料金を下げるインセンティブを導入すると、人々が最寄り駅までのみ車を利用し、その先は公共交通を利用する通勤形態に変容し、公共交通の利用率が9%増えCO2排出量を12%削減する施策の導出にも成功しました。
今後の展開
デジタルリハーサル技術を用いたモビリティのユースケースとして、これまで特定エリアを車が走行する際に課金をすることでエリア内の渋滞や炭素排出量を抑えるロードプライシング施策や、シェアードeスクーター事業の運用改善を図るシェアードモビリティ施策、今回のマルチモダリティ施策へと展開してきました。今後も移動に関わる社会課題解決につながる施策の立案を可能とする技術として研究開発を進めていきます。
また、当社が開発した様々な先端技術を試せる環境であるFujitsu Research Portalで、ソーシャルデジタルツイン™の技術公開を1月19日から開始しました。第一弾として、様々な都市でのシェアードモビリティの導入効果を検証できるデジタルリハーサル技術を公開し、2024年度には、今回開発した複合型行動選択モデル技術やこれまで取り組んできたロードプライシング施策の技術などについても順次追加公開していく予定です。
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
注釈
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注1Fujitsu Research Portal:
本ポータルサイトは、アカウント登録をすることで当社の先端技術をトライアル利用できるものとして、2023年6月より社外に公開。本ポータルサイトを通じて当社の先端技術を、法人に限らず個人の利用者にも公開する。
関連リンク
本件に関するお問い合わせ
E-mail:contact-social-digital-twin@cs.jp.fujitsu.com
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