PRESS RELEASE

2025年3月27日
富士通株式会社
株式会社ヘッドウォータース

富士通とヘッドウォータース、日本航空客室乗務員のレポート作成業務効率化に向け業務特化型オンデバイス生成AIソリューションの実証実験を実施


富士通株式会社注1(以下、富士通)と、AIソリューション事業を手掛ける株式会社ヘッドウォータース注2(以下、ヘッドウォータース)は、日本航空株式会社注3(以下、JAL)様の客室乗務員が行う引き継ぎレポート作成業務において、生成AIソリューションを活用して効率化を図る実証実験を実施しました。

JAL様では、客室乗務員から空港地上スタッフへの引き継ぎのためのレポート作成における業務効率化が課題となっています。そこで富士通とヘッドウォータースは、クラウド環境へのネットワーク接続が必要となる従来の大規模言語モデル(LLM)に代わり、オフライン環境での性能に強みを持つ小規模言語モデル(以下、SLM)であるマイクロソフトの「Phi(ファイ)」を活用し、フライト中の機内においてタブレット端末上でチャット形式でのレポート作成が可能な生成AIソリューションのプロトタイプアプリを開発しました。これにより両社は、従来と比較してレポート作成業務を効率化できることを確認し、JAL様のさらなる顧客サービス向上への貢献を目指しています。

本ソリューションに関する共同実証の概要

1. 実証期間:

2025年1月27日から2025年3月26日まで

2. 実施場所:

東京都大田区羽田空港3-6-8 テクニカルセンター ほか

3. 実証内容:

本実証では、客室乗務員がタブレット端末上でチャット形式で入力した情報に基づき、引き継ぎレポートを自動で生成し、レポート作成にかかる時間を大幅に削減することを確認しました。富士通は、AIサービスである「Fujitsu Kozuchi」を通じて社内外の実践の中で培った業務に特化した生成AIモデルの開発ノウハウを生かして、JAL様の過去のレポートを元に、「Phi」を客室乗務員の業務に特化したモデルへファインチューニング注4しました。

ヘッドウォータースは、オフライン環境のデバイス上でも稼働する業務特化型生成AIアプリケーションを開発し、量子化技術注5による処理の軽量化によって、タブレット端末上での動作を最適化しました。また、ヘッドウォータースは、AIコンサルタントによる伴走型支援を通じて、AI導入におけるワークフロー分析からPoCの実施・評価、アジャイル開発の進行管理を実施したほか、AIエンジニアが「Fujitsu Kozuchi」のファインチューニング環境を構築し、お客様の利用環境に最適化するための技術支援を行いました。


4. 検証項目と評価結果:

  • レポート生成およびファインチューニングの精度:
    生成されたレポートにおいて、文章がJAL様の業務用語が学習された自然な表現であり編集が容易であることや、スムーズな英訳により業務負担が軽減されたことを確認
  • 作業時間の短縮:
    既存アプリと比較して、レポート作成にかかる作業時間および修正発生率が削減できたことを確認

今後について

富士通とヘッドウォータースは、JAL様における本システムの本番運用に向け段階的な検証を実施し、JAL様が運用する生成AIプラットフォームへの導入を目指します。また、業務特化したSLMを「Fujitsu Kozuchi」の生成AIとして活用し、オフライン環境で動作するオンデバイス型・エッジ型・オンプレミス型での提供を目指します。両社は今後、AIを活用したJAL様のさらなる業務改革を支援することで、課題解決を通じて顧客サービス向上に貢献していきます。



富士通株式会社 グローバルソリューションビジネスグループ クロスインダストリーソリューション事業本部 本部長 宮田伸一のコメント

日本航空株式会社様の客室業務における生成AI活用事例を発表できることを嬉しく思います。本共同実証はオフライン環境下での生成AI活用の促進に寄与するものであり、ネットワークの使用が容易でない様々な業種や職種の業務を変革する可能性を秘めています。このような意義のある共同実証の実施は、株式会社ヘッドウォータース様の卓越した提案力と富士通の技術力が組み合わさることで実現できたことだと思います。今後も、強固なパートナーシップをもって、お客様ビジネスの拡大と社会課題の解決に取り組んでいきたいと考えています。

株式会社ヘッドウォータース 代表取締役 篠田 庸介のコメント

このたび、富士通株式会社様、日本航空株式会社様と共に、生成AIを活用した客室乗務員によるレポート作成業務の効率化に向けた実証に取り組めたことを、大変光栄に思います。本プロジェクトでは、通信環境が限られる航空機内でも生成AIを活用できるよう、小規模言語モデル(SLM)をオフライン対応でタブレット端末に最適化するという新たな挑戦に取り組みました。 その結果として、引き継ぎレポートの作成時間や修正負担の削減といった明確な成果が得られ、現場に根ざした生成AI活用の可能性を強く実感しています。また、この取り組みを実現できたのは、日本マイクロソフト株式会社様の高い技術力とご支援の賜物であり、心より感謝申し上げます。今後も富士通様と連携し、日本航空株式会社様の業務改革とサービス向上に向けた生成AIの実運用を、引き続き全力で支援してまいります。

日本航空株式会社 執行役員 デジタルテクノロジー本部長 鈴木 啓介氏のコメント

この度、富士通様とヘッドウォータース様との協力により、客室乗務員の業務効率化を目指した生成AIソリューションの実証実験を実施できたことを大変嬉しく思います。生成AIの導入により、引き継ぎレポート作成業務を効率化し、客室乗務員の負担を軽減することで、お客さま一人ひとりに対するよりきめ細やかな対応が可能となり、さらなる顧客サービスの向上に貢献できることを期待しています。

日本マイクロソフト株式会社 執行役員 常務 クラウド&AIソリューション事業本部長 岡嵜 禎氏のコメント

日本航空株式会社様における航空機内(オフライン)でのSLM活用について、「Fujitsu Kozuchi」と連携した事例として公開できることを心から感謝申し上げます。このプロジェクトは弊社内においても最先端の取り組みとなりました。富士通株式会社様、株式会社ヘッドウォータース様の高い技術力と強固なパートナーシップがあってこそだと思います。
今後の JAL-AI の発展と、より一層の空の安全、日本ならではのホスピタリティに寄与できると感じております。

商標について

Microsoftは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

注釈

  • 注1
    富士通株式会社:
    本店:神奈川県川崎市、代表取締役社長:時田 隆仁
  • 注2
    株式会社ヘッドウォータース:
    本社:東京都新宿区、代表取締役:篠田 庸介
  • 注3
    日本航空株式会社:
    本社:東京都品川区、代表取締役社長 グループCEO:鳥取 三津子
  • 注4
    ファインチューニング:
    公開されている学習済のモデルに独自のデータを追加で学習させ、回答の質や精度・性能などを向上する技術
  • 注5
    量子化技術:
    モデルリソースを効率化し、メモリ使用量を削減することで、計算を高速化する技術

本件に関するお問い合わせ

富士通株式会社
株式会社ヘッドウォータース
広報担当
電話:03-6258-0525
E-mail:info@ml.headwaters.co.jp



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