PRESS RELEASE

2024年7月4日
富士通株式会社

オーストラリア国立大学と量子コンピューティング分野のイノベーションと人材育成を推進する覚書を締結


Fujitsu Australia Limited(以下、富士通オーストラリア)注1は、オーストラリア有数の高等教育機関であるThe Australian National University(以下、オーストラリア国立大学)注2と、量子コンピューティング分野のイノベーションと人材育成を推進する覚書を2024年7月3日に締結しました。本覚書に基づき、富士通オーストラリアは、日本に設置された富士通の量子シミュレータなどの量子コンピューティング技術により、オーストラリア国立大学の研究者の教育プログラムの開発を支援します。さらに将来的に両者は、量子計算分野における共同研究組織を設立し、オーストラリアの研究者や政府および業界の専門家が量子コンピュータ技術を開発できるよう支援するため、オーストラリア国立大学内に量子コンピュータを設置するための検討を進めていきます。オーストラリア国立大学内に設置予定の量子コンピュータは、オーストラリアの専門家に新興技術を活用できる環境を提供し、暗号、材料科学、量子シミュレーションなどの分野での高度な研究を可能にするものです。

富士通オーストラリアは、オーストラリアの量子研究と産業を繋ぎ、量子コンピューティング分野への投資、成長を加速させ、世界との競争を目指すオーストラリアの国家量子戦略に基づき、持続可能な世界のために、安全で責任あるデジタル技術を創造するオーストラリア国立大学のビジョンを支援し、オーストラリアと全世界へ貢献していきます。

富士通は、量子コンピューティング分野において、超伝導量子コンピュータと量子シミュレータを連携させたハイブリッド量子コンピューティングプラットフォームの開発や量子化学計算分野をはじめとする量子アプリケーションの開発を進めるとともに、日本ベンダーとして初めて商用量子コンピュータシステムを受注しており、さらに、国立研究開発法人理化学研究所注3様と協力して2025年3月に256量子ビット、2026年度には1,000量子ビット超の超伝導量子コンピュータを開発する計画を策定しています。

富士通株式会社 執行役員 EVP Asia Pacificリージョン
Graeme Beardsell(グレーム・ベアードセル)のコメント

富士通では、コンピューティングの将来に向けたイノベーションを強化しており、量子コンピューティング技術においても継続的な投資を行い、他者との戦略的なコラボレーションを活用して、世界初の誤り耐性量子コンピュータ注4の開発に向けた世界的な競争の最前線に立っています。

オーストラリアは、量子コンピューティング分野に対する明確な国家戦略があり、富士通はそれに貢献していきます。私たちは量子コンピューティング技術を開発するだけでなく、それらをもとに、企業や研究機関とのコラボレーションを促進しており、次の量子コンピューティング技術のブレークスルーは、世界中の優秀な研究者のネットワークからもたらされると信じています。

オーストラリア国立大学 副学長(研究・イノベーション担当) Lachlan Blackhall(ラックラン・ブラックホール)教授のコメント

富士通オーストラリアとの覚書締結は、量子コンピューティングを含む新技術に関する高等教育を推進するオーストラリア国立大学の指針に基づくものであり、オーストラリア国内での量子コンピューティング分野の研究者育成を促進するものです。オーストラリア国立大学は、本覚書の締結が同大学の強みである量子光学と量子アルゴリズムの研究の発展につながることを期待しています。さらに本覚書は、基礎量子物理学分野の研究を支援することにもつながり、これは量子コンピューティング技術の可能性を広げ、量子コンピューティング技術を実用化するために大きく貢献するものであると考えています。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

注釈

  • 注1
    Fujitsu Australia Limited:
    本社:豪州シドニー、CEO Graeme Beardsell
  • 注2
    The Australian National University:
    本部:豪州キャンベラ、総長 Julie Bishop
  • 注3
    国立研究開発法人理化学研究所:
    本部:埼玉県和光市、理事長 五神 真
  • 注4
    誤り耐性量子コンピュータ:
    一般的に量子ビットにはエラーの問題があり、高精度な計算を長時間行うことができません。この課題に対し、エラーの影響を制御して正確な量子計算を行うことができる量子コンピュータを開発する試みがあり、それが誤り耐性量子コンピュータと呼ばれています。

関連リンク

当社のSDGsへの貢献について

2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)は、世界全体が2030年までに達成すべき共通の目標です。当社のパーパス(存在意義)である「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」は、SDGsへの貢献を約束するものです。

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