PRESS RELEASE

2023年9月15日
富士通株式会社
The Linux Foundation

富士通の自動機械学習技術とAI公平性技術が、Linux Foundationのオープンソースプロジェクトとして始動

富士通株式会社注1(以下、富士通)は、世界中の開発者の技術活用によるAIのさらなる普及と発展を目的に、The Linux Foundation注2(以下、Linux Foundation)に対し、これまで独自開発してきた自動機械学習技術とAI公平性技術をオープンソースソフトウェア(OSS)としてプロジェクト提案し、それぞれ新プロジェクト「SapientML(セイピエントエムエル)」と「Intersectional Fairness(インターセクショナル フェアネス)」として2023年8月24日までに承認されました。これら2つのAI技術は、2023年9月19日からスペイン・ビルバオ市で開催される「Open Source Summit Europe 2023」にてLinux Foundationプロジェクトとして正式に始動し、世界中のOSS開発者とともに、継続的な技術発展に向けたコミュニティ活動(ハッカソンなど)を実施していきます。

2つの新プロジェクトは、誰もが最新のAIを簡単かつ安全に使える世界を目指すAIの民主化を強く支援するものであり、富士通とLinux Foundationは、これらのプロジェクトを通じてAI技術の進展に貢献するだけでなく、技術の品質向上や適用ユースケースの開拓を進め、世界の技術者とオープンにAIの民主化を推進していきます。

背景

近年、AI技術は急速な発展を遂げ、様々な産業や社会課題の解決に貢献する一方で、AI技術の開発や運用には高度な専門知識が求められるほか、AI技術の公平性に関する懸念も増しており、技術の普及と発展に向けて、オープンに世界中の技術者へ共有されるプラットフォームが求められています。

富士通は、2014年から2022年10月までのAI関連発明において日本で最も多い970件の特許を保有しており、2023年4月には、先端AI技術を迅速かつ安全に試すことができるAIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi (code name) - Fujitsu AI Platform」を公開するなど、より幅広い分野のお客様やパートナーへAI技術を提供してきました。また、Linux Foundationは、非営利の技術コンソーシアムとして、オープンテクノロジーの技術発展を目的に、年間数十件の厳選された技術をOSSプロジェクトとして承認しています。

今回富士通は、Linux Foundationにて自動機械学習技術とAI公平性技術をOSS化し、世界中の開発者がソースコードレベルで富士通の技術にアクセスし広く利用できるようにすることで、技術の進化や新たなアプリケーションの開発を加速するとともに、AI倫理の領域で特に重要となる公平性に関する課題も解決していきます。

2つのAIプロジェクトについて

1. 高速に説明性の高いAIモデルを作成可能にする自動機械学習技術プロジェクト「SapientML」:

表データから説明付きの機械学習モデル作成コードを高速に自動生成する自動機械学習技術(AutoML)を開発するプロジェクトです。本プロジェクトにより開発された自動機械学習技術を活用することで、データサイエンティストは高精度なモデルを瞬時に作成できるだけでなく、生成されたコードを使って、試行錯誤しながら、より高精度なモデルに作り変えることが可能になります。

図1.「SapientML」で開発される、コード生成を特徴とするAutoML技術 図1.「SapientML」で開発される、コード生成を特徴とするAutoML技術

2. 人が気づきづらいバイアスを検知・改善するAI公平性技術プロジェクト「Intersectional Fairness」:

AIには、学習データの偏りなどが原因で、ある特定のグループに対して意図せず不公平な結果を導き出してしまう問題があります。本プロジェクトでは、これまで見過ごされてきた、年齢や性別、国籍などの複数の属性が特定の条件で組合わされた時に現れる交差バイアスも容易に検知・改善するAI公平性技術を開発します。

例えば、あるテストの合格率(図2)について、年齢と性別を組合わせて分析すると、グループに所属する人数の違いが原因で若年女性の合格率が33.3%と、残りのグループの合格率と比較して極端に低くなっていますが、これは属性を組合わせてはじめて顕在化するバイアスです。このようなバイアスに対してAI公平性技術を用いることで、グループごとのバイアスの調整策を作成し、その調整策をグループ全体の観点から再調整し合格ラインを決定する手法を用いることで、精度とのバランスを保ちながらこのバイアスを緩和でき、公平な結果を出力するAIかどうかを判別することが可能になります。

図2.「Intersectional Fairness」プロジェクトを通じて検出・改善が可能になる、気づきづらい交差バイアスの例 図2.「Intersectional Fairness」プロジェクトを通じて検出・改善が可能になる、気づきづらい交差バイアスの例

なお、富士通は、これまで独自に開発してきた自動機械学習技術、AI公平性技術について、各種AI技術やGUIなどとともにそれぞれFujitsu AutoML、Fujitsu AI Ethics for Fairnessとして「Fujitsu Kozuchi (code name) - Fujitsu AI Platform」上で提供しており、今後、それぞれのプロジェクトにおける技術アップデートを「Fujitsu Kozuchi (code name) - Fujitsu AI Platform」へも順次反映していきます。

富士通株式会社 執行役員 SEVP CTO, CPO(兼)システムプラットフォームCo-Head Vivek Mahajanのコメント

数多くのAI技術がOSSとして公開され、大きな革新を生んでいます。今回、富士通が築き上げてきたAI技術の成果を「SapientML」と「Intersectional Fairness」としてLinux FoundationとともにOSS化することで、より一層AIの進歩と普及に貢献し、サステナブルな世界の実現を目指します。

The Linux Foundation, Executive Director, Jim Zemlinのコメント

富士通の自動機械学習技術とAI公平性技術のOSS化は、AIの技術進歩と普及に大いに貢献すると確信しています。Linux Foundationはこの2つのプロジェクトを大いに歓迎し、一緒にAIの未来をつくっていくことを楽しみにしています。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

注釈

  • 注1
    富士通株式会社:
    本社 東京都港区、代表取締役社長 時田 隆仁
  • 注2
    The Linux Foundation:
    所在地 米国カリフォルニア州、Executive Director Jim Zemlin

関連リンク

本件に関するお問い合わせ

富士通株式会社
The Linux Foundation
Digital Communications Manager
Noah Lehman
E-mail:nlehman@linuxfoundation.org



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