PRESS RELEASE

2021年4月13日
富士通株式会社

気象庁様の「地域気象観測システム」などの中枢システムを刷新し、同庁のシステムを集約する仮想化基盤「気象庁情報システム基盤」上で統合運用開始

当社は、気象庁(本庁所在地:東京都港区、長官:長谷川 直之)様の全システムを統合運用するための仮想化基盤「気象庁情報システム基盤」上で、「地域気象観測システム」(通称:「アメダス」、注1)、「気象情報伝送処理システム」(以下、「アデス」、注2)、「潮位データ総合処理システム」(注3)を運用するため、3システムを刷新の上、「気象庁情報システム基盤」上に移行しました。新システムは、2021年3月より、気象庁様により運用が開始されました。

仮想化基盤上に全業務システムを集約統合するための「気象庁情報システム基盤」は、2020年に当社が構築して以降、順次、業務システムの移行が開始されており、このほど、大規模な中枢システムである、気象観測データの収集、計算、配信を担う「アメダス」、防災気象情報を国内の行政機関や報道機関などに配信するネットワークである「アデス」、および高潮や津波などに関するリアルタイムな情報配信を担う「潮位データ総合処理システム」を全面移行しました。

気象庁様は、仮想化基盤へのシステム移行により運用負荷やコストの削減、システム開発スピードの向上を実現するとともに、防災や減災に向けたデータ利活用を加速させ、気象予測の精度向上など、気象業務をより強化していく予定です。

当社は、本システムを通じて、気象庁様における国民の安全や日常生活に不可欠な防災気象情報の正確かつ迅速な提供や一層の業務効率化に貢献していきます。

背景

気象庁様は、気象、地震、津波、火山、海洋などの観測データを国内外の気象機関などから収集、解析の上、作成した防災気象情報を、防災機関や報道機関、国民などへ提供することにより、災害対策や交通の安全確保などに貢献しています。

これまで気象庁様は、当社が構築した「アメダス」や「アデス」、「潮位データ総合処理システム」のほか、業務ごとにシステムを整備し、大規模災害に備え東西2局(注4)にシステムを分散配置の上、運用していましたが、運用コストの増大や、運用管理の複雑化、また、新システム開発期間の長期化や最新技術への適応の遅れなどの課題が生じていました。

これらの課題を解決するため気象庁様は、2020年3月に、当社が構築した多様な業務システムを仮想化基盤に集約統合するための「気象庁情報システム基盤」を導入し、各業務システムを2020年10月より順次移行しており、このたび「アメダス」や「アデス」、「潮位データ総合処理システム」などの大規模システムについても全面移行し、運用が開始されました。

「気象庁情報システム基盤」および移行システムの特長と移行による効果

「気象庁情報システム基盤」により、各システムの運用管理体制を一元化できるほか、コスト削減、システムの高度化、さらにはセキュリティ基準の統一による24時間無停止の安定稼働を実現しています。同一基盤で運用されるため、新機能や新システムの開発期間の短縮や、他システムとの容易な連携が可能になりデータ利活用を加速できます。

また、「アメダス」、「アデス」、「潮位データ総合処理システム」の各システムについても、「気象庁情報システム基盤」への移行により以下の効果が期待できます。

  1. 「アメダス」
    「アメダス」は、気象台や測候所などを含む全国約1,300か所の「アメダス」観測所から降水量、風向・風速、気温、相対湿度などの気象観測データを最短1分ごとに自動受信し、処理された気象観測データは、防災気象情報の発表に利用されています。今回のシステム基盤への移行により、近年の災害の局地化、激甚化に伴う気象観測データ量の増加に合わせて柔軟にシステムリソースを追加でき、迅速かつ的確な防災気象情報の発表に貢献します。
  2. 「アデス」
    「アデス」は、国内外の気象機関などとのデータ交換、および気象庁様が作成した様々な予報や注意報、警報、震度速報などの防災気象情報を国内の行政機関や報道機関などに配信するネットワークの中枢を担う基幹システムです。今回のシステム基盤への移行により、「アメダス」や「潮位データ総合処理システム」、気象衛星などから収集される気象観測データの増大や、スーパーコンピュータシステムの計算能力の向上に伴い必要とされている「アデス」のデータ処理能力を大幅に向上させ、逐一更新される気象情報を的確かつ機動的に配信することを可能にします。
  3. 「潮位データ総合処理システム」
    「潮位データ総合処理システム」は、観測された潮位データを集約・処理し、高潮・津波などに関するリアルタイムな情報配信や、外部機関などとのデータ交換を行うシステムです。今回のシステム基盤への移行により、地震や津波、台風などによる高潮の警報や注意報に必要不可欠なデータの安全かつリアルタイムな配信に貢献します。
図. 「気象庁情報システム基盤」および移行システムのイメージ図. 「気象庁情報システム基盤」および移行システムのイメージ

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

注釈

  • 注1
    地域気象観測システム:
    Automated Meteorological Data Acquisition Systemを略し、「アメダス」という通称で呼ばれている。気象状況を時間的、地域的に細かく監視するために、24時間365日、気象台や測候所などを含む全国約1,300か所の観測所から降水量、風向・風速、気温、相対湿度などの観測を自動的に行い、観測データの収集・計算・配信を担うシステム。
  • 注2
    アデス:
    Automatic Data Editing and Switching Systemを略し、「アデス」という通称で呼ばれている。国内外の気象機関などとのデータ交換、および気象庁様が作成した様々な予報や注意報、警報、震度速報などの防災気象情報を国内の行政機関や報道機関などに配信するネットワークの中枢を担う基幹システム。
  • 注3
    潮位データ総合処理システム:
    観測された潮位データを集約・処理し、高潮・津波などに関するリアルタイムな情報配信や、外部機関などとのデータ交換を行うシステム。
  • 注4
    東西2局:
    東京都清瀬市と大阪府大阪市。

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