PRESS RELEASE
2021年3月4日
富士通株式会社
洪水時の河川水位を予測する「AI水管理予測システム」を販売開始
過去の雨量や水位のデータが少量でもリアルタイムに予測を実現
当社は、過去の雨量や水位データと気象関連機関が配信する数時間先の気象データ(降雨予測)から、洪水時の河川水位を予測するシステム「FUJITSU Public Sector Solution Social Century Resilience AI水管理予測システム powered by Zinrai」(以下、「AI水管理予測システム」)」を開発し、2021年3月4日より販売開始します。
本システムは、雨量や水位などの過去の観測データを機械学習させた水位予測モデル(数理モデル)により、河川測量が実施されていない地点や、水位計などの観測設備が近年整備され水位データが少ない中小規模の河川についても、リアルタイムで水位予測を可能にしました。また、河川改修や洪水などに伴う環境変化に対しても、変化後の雨量や水位の少量のデータを用いて再学習させることで、水位予測モデルを短期間で最適化することができます。
本システムにより、自治体では、迅速かつ的確に現場出動や避難勧告発令の意思決定が可能になるほか、企業では自社の水防活動など、水害における防災や減災に向けた取り組みを大幅に強化することができます。
当社は、本システムをはじめとするAIを活用した様々なソリューションの提供を通じて気候変動対策に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
背景
近年、ゲリラ豪雨や台風などにより河川が氾濫するなど深刻な被害が多発しています。特に自治体の管理する中小河川においては、集中豪雨の影響で、水位が急激に上昇し短時間で被害が拡大する災害が発生しており、水害対策が急務となっています。中でも地域住民に対して避難指示を行う自治体においては、気象予測のみならず今後の降雨による河川の状況変化を迅速に把握するニーズがより高まっています。
従来の河川水位予測では、河川測量データや過去の雨量および水位、流量などの観測データを用いますが、中小規模の河川や水位計が新規に設置された場所では、これらのデータ量の不足などから、水位予測が困難でした。
上記課題を解決するため、当社は、水文学(注1)における流域からの雨水の流出を表現した流出関数法による関数を作成し、過去の雨量や水位データを用いた機械学習により最適なパラメーターを導き出す水位予測モデル(数理モデル)を、株式会社富士通研究所(注2)(以下、富士通研究所)と共同で構築の上、本水位予測モデルを用いて河川水位の予測を可能とする「AI水管理予測システム」を開発し、自治体や企業向けに提供を開始します。
「AI水管理予測システム」の特長
「AI水管理予測システム」は、過去の雨量、水位データを機械学習させた水位予測モデルを用いて、現在の雨量、水位データとシステム内で作成した予測雨量を基に、6時間先までの水位をリアルタイムに予測するシステムです。
河川測量データや大量の過去の観測データを必要としないため、河川測量が実施されていない地点や、水位計などの観測設備が整備されて間もない地点の河川についても水位予測が可能です。本技術は、流量観測などのデータを用いた標準的な水位予測の方法と同等の精度が得られることを、比較検証により確認しています。
本システムにより、迅速な現場対応や避難勧告発令など、防災や減災に向けた適切な意思決定を支援します。
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AI予測機能で、わずかな過去の雨量、水位データから河川水位予測をリアルタイムに実現
AI予測機能は、流域における雨水の流出を表現した流出関数法をベースに、過去の雨量や水位データを機械学習した水位予測モデル(数理モデル)を活用します(当社と富士通研究所が共同開発)。「AI水管理予測システム」に学習モデルとなる本水位予測モデルを組み込み、予測対象の水位局と関連する雨量局の現在の水位、雨量データ、および気象庁から受信する予報雨量を基に本システムで変換された関連雨量局地点の予測雨量から、10分ごとに6時間先までの予測水位をリアルタイムに算出します。
また、河川改修や洪水などに伴う環境変化に対しても、変化後の少量の雨量や水位のデータを再学習させることで、水位予測モデルを短期間で最適化することができます。 -
気象庁雨量データ変換機能により、予報雨量を関連雨量局地点の予測雨量にリアルタイムに変換
気象庁雨量データ変換機能により、気象庁からオンラインで受信する降水ナウキャストや降水短時間予報(注3)の1kmメッシュごとの予報雨量の位置情報をもとに、リアルタイムに関連雨量局地点の予測雨量に変換します。この予測雨量をもとに、AI予測機能により水位を予測します。 -
コンテンツ作成機能で水位予測結果を可視化し、迅速で的確な意思決定を支援
コンテンツ作成機能は、データベースから取得した水位予測結果を自動でグラフ表示する機能です。各水位局の基準水位(注4)の超過予測を危険度予測マップとして表示、可視化することで、現場出動などの対応や避難勧告発令に向けた迅速、的確な意思決定を支援します。 -
注1水文学:
自然界における水の循環を中心概念とする学問分野。 -
注2株式会社富士通研究所:
本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 原 裕貴。 -
注3降水ナウキャストや降水短時間予報:
気象庁が発表している降水予報。降水ナウキャストは1時間先まで、降水時間予報は15時間先まで(本システムでは6時間先までを利用)を予報するもの。 -
注4基準水位:
水防対応や住民避難の発表の目安として河川管理者が設定した水位。 - 「過去の少ない雨量・水位データで河川の水位を予測できるAI技術を開発」(2019年8月16プレスリリース)
- 「安全・安心で豊かなくらしを支える社会システム: レジリエンス社会」紹介ページ
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0120-933-200(通話無料)受付時間: 9時~17時30分(土曜日・日曜日・祝日・富士通指定の休業日を除く)
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販売価格と提供開始日
製品名 | 販売価格(税別) | 提供開始日 |
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Social Century Resilience
AI水管理予測システム V1 |
600万円 | 2021年3月15日 |
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
注釈
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