PRESS RELEASE
2020年9月17日
横浜市政策局共創推進課
国立大学法人東京大学
富士通株式会社
「ウィズコロナ時代の社会課題をデータ活用と公民連携によって解決するための連携協定」を
横浜市、東京大学、富士通株式会社が締結
本日、横浜市(市長 林文子)、国立大学法人東京大学(総長 五神真)、富士通株式会社(本社 東京都港区、代表取締役社長 時田隆仁)は、相互に連携・協力し、官民のデータを活用することで、ウィズコロナ時代の社会課題を解決すると共に、市民目線による新しい生活様式やビジネスモデルを創発することを目指し、「ウィズコロナ時代の社会課題をデータ活用と公民連携によって解決するための連携協定」(以下 本協定)を締結しました。
1. 経緯
横浜市、東京大学大学院工学系研究科大澤研究室(以下、東京大学大澤研)、富士通株式会社(以下、富士通)は、平成30年度より、超高齢・人口減少社会など横浜市が抱える社会課題に対してサーキュラー・エコノミーPlus(注1)という視点から新たなビジネスモデルを構築することを目指して、東京大学大澤研独自のチャンス発見方法であるデータ活用型ワークショップ「IMDJ」(注2)を活用し、「データジャケット」を用いたデータにもとづく「共創ラボ」(注3)を繰り返し実施し、さまざまな市民のイノベーションシンキングを支援してきました。
令和2年度に入り、市民の間で新型コロナウィルス感染症が急速に拡大するなかで、感染症から市民の命や暮らしを守りながら、地域経済を持続可能な形で活性化していくことが自治体にとって喫緊の社会課題となっています。
横浜市と東京大学大澤研は、計算科学研究に基づいて、個人が家にとじこもる"Stay Home"から人々が確かめ合いながら繋がる"Stay with Your Community"という暮らし方に移行してゆく働き方を市民に伝える共創ラボを進めてきました。そして、共創ラボの参加者ひとりひとりが、個人の生活者視点で情報を持ち帰ってきました。
そこで、3者はこれまでの研究・検討の成果を活かし、データ連成による未来地域社会の価値化というビジョンを共有しながら、ウィズコロナ時代の社会課題の解決に寄与する新しい生活様式やビジネスモデルを協働で創発するため、このたび協定を締結しました。
2. 本協定の内容
3者は、上記の協定の趣旨を実現するため、以下の3点について共同で検討・検証します。
- 社会課題を解決し、新しい生活様式やビジネスモデルを創発するための手法の活用・普及
東京大学大澤研が開発した「IMDJ」を活用したワークショップを実施し、市民目線による新しい生活様式やビジネスモデルの創発を目指します。
- 社会課題を解決し、新しい生活様式やビジネスモデルを創発するための共創のプラットフォームやコミュニティの形成
横浜市が構築した「共創ラボ」や「リビングラボ」(注4)、データ活用型ワークショップ「IMDJ」をコアとし、株式会社富士通研究所(本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 原裕貴)が開発中のイベント連動型マッチングサービス(注5)などを用いて形成を進めます。
- プラットフォームやコミュニティの運営を支える安全・安心な通信交流環境の構築
富士通がDFFT(注6)を支える技術として開発中のデータ流通基盤などを活用し、住民と地域企業、自治体が安全・安心な環境のもとで情報を共有できる新たなビジネスモデルの構築を目指します。
3. 本協定の進め方
本協定は、横浜市が新型コロナウィルス禍を乗り越えるために公民連携で構築したメディアである「#おたがいハマ」(注7)を活用するなど、1. 2. 3.の取組を有機的に結びつけ、総合的に展開します。また、他の自治体や企業における同様の取組と積極的に連携すると共に、協定の成果については、広く社会全体に対して発信していきます。
4. 本協定への期待
- 横浜市政策局 データ活用推進等シニアディレクター 岡﨑 洋子
東京大学大澤研究室、富士通株式会社とは、これまでもオープンデータの利活用に関する共創ラボの取組を重ねてきました。ウィズコロナ時代を迎え、市民のいのちと暮らしを守りつつ地域経済を活性化させるための新しい生活様式やビジネスモデルが求められる中、本協定締結を機に、これまで以上に多様な民間主体との公民連携の取組が推進されることを大いに期待しています。また、市民の皆さまにとって、より参画、交流しやすい対話の場となるよう、ICTを活用したプラットフォーム等の構築を進めていきます。
- 国立大学法人東京大学大学院工学系研究科 教授 大澤 幸生
横浜市は、共創的なリビングラボの考え方を取り入れ独自に発展させてきた地方自治体として、世界が注目しています。これによって市民生活に開かれた行政をなすのみならず、市民自身が声を出し、市民の市民による市民のための事業を生み出すイノベーター市場として都市の役割を果たしてきました。この横浜市とのコラボに、東京大学大澤研究室の「データジャケット」と「社会モデリング」の技術を投入することによって実効性のあるニューノーマルを生み出し、これを市民が暮らしと働きの場に持ち帰るサイクルを作りたいと思います。
- 富士通株式会社 東日本ビジネス本部 神奈川支社長 渡辺 利政
ウィズコロナ時代の社会課題解決に向けて、これまで公民連携に積極的に取り組まれてきた横浜市と連携を開始し、当社のイベント連動型マッチングサービスやデータ流通基盤をはじめとする最新のICT活用を通じて、官民のデータ活用と公民連携による新たな生活様式やビジネスモデル創発に貢献していきます。この協定による社会課題解決モデルが横浜市から全国へ広がり、安心かつ安全なデータ利活用が促進されることを期待しています。
以上
注釈
- 注1 サーキュラー・エコノミーplus:
- サーキュラー・エコノミー(循環経済、CE)は、従来廃棄されていた製品、活用されていなかったものを「資源」と捉え、有効に活用し、またその寿命の延伸を図ることで、それらの価値を目減りさせずに永続的に再生・再利用し、環境にも経済にも持続可能性を持たせる新しい経済活動です。「デジテクによって無駄を富に変える儲かるエコ」とも呼ばれ、EUではSDGsの浸透と共に、CEの考え方に基づく経済・社会活動が急速に発展しています。これに対して横浜市では、市内各地のリビングラボが中心となって、資源や製品に限らず、「ひと」と「まち」の持続可能性とエンパワーメントにも着目し、それらを総合的にプロモーションする社会経済モデルを「サーキュラー・エコノミーplus」として提唱し、公民連携で「誰一人として取り残さない持続可能な未来」を目指す活動を行っています。
- 注2 IMDJ:
- Innovators Marketplace on Data Jacketsの略。東京大学大学院工学系研究科の大澤幸生教授が開発したデータ市場におけるデータ利活用を支援するワークショップ型手法です。世の中に存在する共有可能・不可能を問わず様々な形式のデータをデータジャケット(データの概要情報)化することにより、誰が・どこに・どんなデータを持っているのか知ることが可能となり、データ市場に関わるさまざまなステークホルダー(データ保有者、利用者、分析者など)が、データを用いた課題解決の検討を通じて、データの価値発見と交換・売買を促進します。商標としては大澤幸生と早矢仕晃章(東京大学大学院工学系研究科助教)の共有としています。
- 注3 共創ラボ:
- 横浜市が提供する共創・オープンイノベーション推進の新たな仕組みです。特定の社会的課題の解決に向け、多様な主体が参画した公民対話を通じて、具体的な公民連携事業を創出する実験的活動の場となっています。
- 注4 リビングラボ:
- 身近な地域の課題をテーマとして、住民を中心に様々な知見を有する企業、大学等と連携して課題解決のための対話を行う場です。参加者の現状認識の共有化のため、官民データを活用して課題の可視化を進めながら、自由にアイデアを出し合うことで、新たな解決策を見出していくことが期待されています。現在、横浜市内では、15か所以上でエリアの名を関したリビングラボの取組が介護や教育など様々なテーマのもと、活動しています。
- 注5 イベント連動型マッチングサービス:
- オープンイノベーションなどのイベント参加者をリアルタイムに結びつけ、具体的な目的を実現するためのチームを生み出すデジタルサービスです。具体的には、イベントの参加者が入力した自己紹介文から興味やスキルを表すキーワードをAIが自動抽出し「タグ」として登録することで、参加者の興味やスキルに沿った適切なパートナー候補をアプリ上で紹介します。これにより、イベントの時間内にマッチングからチーム形成までを迅速に実施し、その後のチームでの活動へスムーズに発展可能です。
- 注6 DFFT:
- Data Free Flow with Trust (信頼性ある自由なデータ流通)の略。プライバシーやセキュリティ・知的財産権に関する信頼を確保しながら、ビジネスや社会課題の解決に有益なデータが国境を意識することなく自由に行き来する、国際的に自由なデータ流通の促進を目指す、という日本政府のコンセプトです。(出典:「デジタル時代の新たなIT政策大綱」)
- 注7 #おたがいハマ:
- 特定非営利活動法人 横浜コミュニティデザインラボ(代表理事 杉浦裕樹)及び、一般社団法人YOKOHAMAリビングラボサポートオフィス(代表理事 河原勇輝)が構築・運営する新型コロナウィルス感染症に対応する共創プラットフォーム。横浜市は、令和2年5月1日に両団体と協定を締結し、活動を支援しています。
関連リンク
- 東京大学大澤研究室:
データ駆動ビジネスの全体設計に取り組む研究室です。データ市場のデザインにより、中身を公開できないデータまで合意の上で予備的邂逅によってコンセプトを共有し、社会的要求にフォーカスを絞ってデータ分析する手法、その結果に基づくビジネスシナリオ策定ツールとして必要な潜在データの検索技術、さらに新しいデータ分析・可視化アルゴリズムの開発を進め、金融、POS、Webテキストや社内評価書、地震からスポーツデータまで幅広く データからのチャンス発見→イノベーションに繋げています。 - 丸の内データコンソーシアム:
東京・丸の内エリアを中心として、データ活用を通じて街や社会に新たな価値を提供することを目的とした共創コミュニティです。企業・組織が持つデータや課題の掛け合わせから新たな価値を創出します。本コンソーシアムは、東京大学大澤幸生教授が異業種間でのアイデア創出やデータ利活用の観点で監修しています。 - #おたがいハマ:
新型コロナウィルス感染症に向き合う産学官民の共創プラットフォーム。
<主なコンテンツ>
- 新型コロナウィルス感染症に関する行政情報の発信
- 横浜市内の飲食店のテイクアウトやデリバリーの紹介「#横濱おうち飯店」
- 地域循環型社会を考え行動するWEBフォーラム「Circular Yokohama 2020」の開催
- SNSを活用した横浜市民のオンラインコミュニティの形成
本件に関するお問い合わせ
横浜市
政策局共創推進課長
小池 道子
045-671-4394
東京大学
大学院工学系研究科
大澤研究室
03-5841-2908
info@panda.sys.t.u-tokyo.ac.jp
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