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PRESS RELEASE

2020年9月10日
株式会社トヨタシステムズ
富士通株式会社

トヨタシステムズと富士通、
「デジタルアニーラ」を活用し大規模物流の効率化を共同で実証

300万を超える物流ルートから有効なルートを求解

株式会社トヨタシステムズ(代表取締役社長:北沢宏明、以下 トヨタシステムズ)と富士通株式会社(代表取締役社長:時田隆仁、以下 富士通)は、富士通の組合せ最適化問題を高速に解く量子コンピューティング技術「デジタルアニーラ」を活用し、自動車製造に必要な部品の物流ネットワークを最適化する実証を共同で行いました。

実証では、数百を超える仕入れ先から部品を仕入れ、数か所の中継倉庫を通り、数十の工場へ配送する300万以上のルートを探索する問題に対して「デジタルアニーラ」で計算し、トラック数、総走行距離、仕分け作業などを含めた物流コストの最適化を行いました。その結果、大量の最適化計算を非常に短時間で実施できることが確認でき、これによりこれまで見つけられなかった有効な物流ルートの発見、積載効率の向上、トラック数や総走行距離の効率化などにより物流に関わるコストを約2%~5%削減できる可能性があることを実証しました。

今後、実際の物流業務に適用することを目指し、さらなる検証と実用化を進めていきます。

背景

近年、物流は社会を支えるインフラとして重要度を増している反面、ドライバー不足・交通渋滞・CO2排出量の増加などの課題を抱えています。一方、生産拠点である工場への必要な部品の物流管理という既存業務はサプライチェーンの根幹であるとともにますますの効率化とコスト削減が求められています。

トヨタシステムズは、トヨタ自動車株式会社およびそのグループを技術力と生産性でサポートするITソリューション企業として2019年1月に設立され、量子コンピューティングの活用についても会社設立以前の2018年より富士通と研究を推進してきました。

このたび、自動車製造に関わる大規模な物流ネットワークの最適化に富士通の「デジタルアニーラ」を適用した結果、従来の最適化エンジンでは実現できなかった大量のルート計算を非常に高速に実施できることを実証しました。

共同実証の概要

物流業界においては、従来手法では問題規模が大きくなると計算時間が膨大となり、手作業による調整を要していましたが、今回、300万以上のルート候補がある大規模物流ネットワークに対し、富士通の「デジタルアニーラ」を適用し、効果算出を実施しました。

  1. 実証テーマと活用技術

    数百を超える仕入れ先から部品を仕入れ、数か所の中継倉庫を通り、数十の工場へ配送する300万以上のルートのうち、最も物流コストが小さくなるルートを算出します。物流コストは、トラック数、総走行距離、荷物仕分けの作業量から算出します。

    図1 大規模物流ネットワーク(イメージ)
    図1 大規模物流ネットワーク(イメージ)

    今回、実際の物流業務に適用するため、富士通と株式会社富士通研究所(代表取締役社長:原裕貴)が2018年に開発した大規模問題求解技術(図2左)(注1)に加え、以下の2つの技術を組み込んだシステムを開発し、今回の実証に適用しました。

    • 大域的探索技術:局所解群から効率的に脱出しながら広範囲に探索する技術(図2中央)
    • 動的多点探索技術:探索の途中状態に応じてダイナミックに開始地点を決定する技術(図2右)

    図2 今回適用した「デジタルアニーラ」の新たな求解技術
    図2 今回適用した「デジタルアニーラ」の新たな求解技術
    拡大イメージ

  2. 実証結果

    実証の結果、300万以上のルート候補から、全体の物流コストが削減できる新たなルートを、30分以内で計算することができました。

    今回の実証結果で発見した新たなルートで輸配送した場合のシミュレーション(試算)では、従来手法と比較して約2~5%のコスト削減効果を見込んでいます。

今後について

今回の成果をもとに、両社は、「デジタルアニーラ」を自動車製造に関わる物流ルート計算に実適用することを目指し、さらなる検証と実用化を進めていきます。

自動車業界においては、CASE(コネクティッド、自動化、シェアリング、電動化)と呼ばれる新しい領域が拡大し自動車のあり方が大きく変化する中で、今までになかった技術革新とそれによる新たなモビリティサービスの創出が求められており、トヨタシステムズは、今回蓄積した技術をもとに自動車業界における量子コンピューティングの活用を推進し、新しいモビリティサービス創出や社会課題解決を目指していきます。

富士通は、「デジタルアニーラ」の創出する新たなソリューションによりトヨタシステムズの活動を支援し、自動車業界のデジタル革新に貢献していきます。

また、富士通は、本実証で用いた大規模組合せ問題を扱うことができる技術を適用した「デジタルアニーラ クラウドサービス」を2020年のうちにサービス提供を開始し、様々な業種・業務領域への適用拡大を目指します。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 大規模問題求解技術:
「中分子創薬へ適用可能な組合せ最適化問題を解く技術を開発」(2018年9月18日プレスリリース)
問題の特性に応じて必要部分を抽出し「デジタルアニーラ」で処理した後、全体に戻すフローを複数回行う中で、最適な解を導き出す方法を採用し、大規模な問題への適用を可能としている。

関連リンク

本件に関するお問い合わせ

富士通コンタクトライン(総合窓口)
電話 0120-933-200
受付時間: 9時~17時30分(土曜日・日曜日・祝日・富士通指定の休業日を除く)


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