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PRESS RELEASE (導入事例)

2020年4月22日
富士通株式会社

JAXA様の新スーパーコンピュータシステムを受注

スーパーコンピュータ「富岳」の技術を生かし、航空宇宙研究におけるさらなる国際競争力の強化に貢献

当社はこのほど、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(所在地:東京都調布市、理事長:山川 宏 以下、JAXA)様の新スーパーコンピュータシステムを受注しました。本システムは2020年10月より稼働予定で、当社の「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX1000(エフエックスセン、以下 PRIMEHPC FX1000、注1)」で構成される大規模な数値シミュレーション向けの計算システムでは、現行システムの約5.5倍となる19.4ペタフロップス(注2)の理論演算性能を有する見込みです。また、様々な計算ニーズに対応可能な汎用システムでは、当社のPCサーバ「FUJITSU Server PRIMERGY(プライマジー)」シリーズを465台導入します。

本システムは、JAXA様におけるハイ・パフォーマンス・コンピューティング(以下、HPC)の基盤として幅広く活用され、航空宇宙研究における国際競争力の強化に貢献していきます。また、新たに衛星観測における大規模データ解析基盤や、共同研究におけるAI計算処理基盤としてなど、幅広い利用が期待されています。

背景

宇宙開発や航空技術、関連基盤技術の研究に取り組むJAXA様では、これまで航空機やロケットなどの研究における流体力学や構造力学などの数値シミュレーション技術の発展を目的に、スーパーコンピュータシステムを活用してきました。また、近年では、従来の数値シミュレーションに加え、衛星が収集した地球観測データを研究者や一般利用者が活用できるように加工したり、ディープラーニングをはじめとするAIの計算に活用されたりと、システムがHPC分野における役割を広げつつあります。

JAXA様は、現在、当社の「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX100」3,240ノードで構成される計算システム「SORA-MA(注3)」や、大容量の記憶媒体によりさまざまなデータの保存や管理を行う「J-SPACE(注4)」などからなるスーパーコンピュータシステム「JSS2(注5)」を運用しています。

新スーパーコンピュータシステムの特長

「JSS2」の後継となる本システムでは、大規模な数値シミュレーション向けの計算システムとして、当社と理化学研究所(所在地:埼玉県和光市、理事長:松本 紘)様が共同開発しているスーパーコンピュータ「富岳」の技術を活用した「PRIMEHPC FX1000」5,760ノードを導入し、シミュレーションに多用される倍精度(64ビット)での理論演算性能において、現行システムの約5.5倍となる19.4ペタフロップスを有する見込みです。また、大容量メモリやGPU(注6)を搭載するなど、様々な計算ニーズに対応可能な汎用システム部分として、当社のPCサーバ「FUJITSU Server PRIMERGY」シリーズ合計465ノードをあわせて導入します。ほかにも、約10ペタバイトの高速アクセス記憶装置を含む合計約50ペタバイトの大容量ファイルシステムを有する、高い実効性能と使いやすさを兼ね備えたシステムとなる予定です。

汎用性の高いArmアーキテクチャを採用したCPU「A64FX」を搭載したスーパーコンピュータ「PRIMEHPC FX1000」の導入により、幅広いソフトウェアが利用可能になるとともに、JAXA様での研究成果を世の中に広く活用してもらうことにも貢献します。

今後について

今回構築するシステムは、従来の数値シミュレーション分野で航空宇宙研究におけるさらなる国際競争力の強化に貢献するだけでなく、JAXA様がこれまで部門ごとに管理・保持していた衛星の観測データなどを集約・分析する大規模データ解析基盤や、共同研究や設備供用におけるAIの計算処理基盤など、JAXA様におけるHPC基盤として幅広く活用が進められる予定です。

また当社は、1970年代よりJAXA様にスーパーコンピュータシステムを納入してきた中で培った経験を生かして、JAXA様の課題を解決しJAXA様の目指す理念の体現に貢献するとともに、「PRIMEHPC FX1000」のグローバルな提供を通じて、社会的課題の解決や最先端研究の加速、および企業競争力の強化などに貢献していきます。

実際のフライト環境を忠実に再現し、航空機の周辺に発生する空間の渦を計算
実際のフライト環境を忠実に再現し、航空機の周辺に発生する空間の渦を計算(注7

ロケット打ち上げ時のエンジン排気噴流や音響波の発生・伝播メカニズムを計算
ロケット打ち上げ時のエンジン排気噴流や
音響波の発生・伝播メカニズムを計算

(※いずれも現行システム「JSS2」でのシミュレーション画像)

今回導入する「PRIMEHPC FX1000」※1ラック(384ノード)のイメージ
今回導入する「PRIMEHPC FX1000」
※1ラック(384ノード)のイメージ

新スーパーコンピュータシステムの主な構成

計算システム

システム構成 機種名 PRIMEHPC FX1000
ノード数 5,760
理論演算性能 19.464ペタフロップス(倍精度)
総主記憶容量 180テラバイト
インターコネクト TofuインターコネクトD
ノード構成 CPU A64FX
理論演算性能 3.3792テラフロップス
主記憶容量 32ギガバイト

汎用システム

ノード構成(注8 XLノード Lノード Mノード Sノード
機種名 PRIMERGY RX2540 M5 PRIMERGY RX2540 M5 PRIMERGY CX2570 M5 PRIMERGY RX2540 M5
ノード数 2 8 34 421
CPU インテル® Xeon® Gold 6240L プロセッサー x 2 インテル® Xeon® Gold 6240 プロセッサー x 2 インテル® Xeon® Gold 6240 プロセッサー x 2 インテル® Xeon® Gold 6240 プロセッサー x 2
理論演算性能 2.99テラフロップス 2.99テラフロップス 2.99テラフロップス 2.99テラフロップス
主記憶容量 6テラバイト 1.5テラバイト 384ギガバイト 192ギガバイト
GPU NVIDIA® QUADRO® P4000 x 1 NVIDIA® QUADRO® P4000 x 1 NVIDIA® Tesla® V100 x 4 NVIDIA® QUADRO® P4000 x1
FP32演算性能 5.3テラフロップス 5.3テラフロップス 15.7テラフロップス 5.3テラフロップス
Deep Learning性能 125テラフロップス

並列ファイルシステム

容量 50.5ペタバイト

JAXA セキュリティ・情報化推進部 スーパーコンピュータ活用課長 藤田直行様からのコメント

JAXAが長年に渡り行っている航空宇宙分野の研究開発には、大規模な数値シミュレーション計算環境が必要かつ重要です。現行システムの「JSS2」は研究開発の進展に大きく貢献しました。今回導入するシステムは、大規模化に強みをもつ「富岳」の技術を活用した「PRIMEHPC FX1000」によるさらなる数値シミュレーションの性能強化に加え、AIなどの新しい分野における研究でも活躍してくれることを期待しています。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX1000:
Arm®v8-A命令セットアーキテクチャーをスーパーコンピュータ向けに拡張した「SVE (Scalable Vector Extension)」を採用したCPU「A64FX」を搭載。高い電力あたり性能とスケーラビリティを実現。
注2 ペタフロップス:
PFLOPS(Peta Floating-point Operations Per Second)というコンピュータの処理能力の単位で、1秒間にできる浮動小数点演算の回数を示す。ペタは1,000兆(10の15乗)を表す。
注3 SORA-MA:
Supercomputer for earth Observation, Rockets, and Aeronautics(Main)の略称。「JSS2」におけるメインシステムであり、理論演算性能3.49ペタフロップスの計算性能を有する。高度にチューニングされたプログラム資産を高並列かつ大規模に実行することが可能。
注4 J-SPACE:
Jaxa's Storage Platform for Archiving, Computing, and Exploringの略称。3PBのディスクと60PBのテープ媒体をHigh Performance Storage System(HPSS)により階層管理し、多様なデータをアーカイブ可能。
注5 JSS2:
JAXA Supercomputer System Generation 2の略称。JAXA様において2代目となるスーパーコンピュータシステム。2016年4月から運用している。
注6 GPU:
Graphic Processing Unitの略称。画像処理に利用されるハードウェアを画像処理だけでなく数値計算にも応用する。高い演算性能を持ち、スーパーコンピュータでも利用が進んでいる。
注7 
文部科学省が推進する「ポスト『京』(『富岳』)で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題に関するアプリケーション開発・研究開発」の重点課題8「近未来型ものづくりを先導する革新的設計・製造プロセスの開発」におけるサブ課題D「航空機の設計・運用革新を実現するコア技術の研究開発」の取り組み。
注8 ノード構成:
XLノード、Lノード: 並列化されていない専用アプリケーションを実行するノード。主記憶装置の容量によりXLまたはLの二種類がある。
Mノード: AIやDeep LearningなどのGPUが得意とする計算処理を行うノード。
Sノード: アプリケーションを高並列で実行するノード。市販アプリケーションなど一般的なものが対象。

関連リンク

本件に関するお問い合わせ

TCソリューション事業本部
TCビジネス統括部 第二ビジネス部
電話 03-6252-2550(直通)


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