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PRESS RELEASE (共同研究)

2019年11月29日
株式会社富士通研究所
愛知県がんセンター

愛知県がんセンターと富士通研究所、がんゲノム医療を加速するAI技術の開発に向けて包括的な共同研究契約を締結

AI技術の活用により情報解析を効率化し、がんゲノム医療の普及に貢献

株式会社富士通研究所(注1)(以下、富士通研究所)と愛知県がんセンター(注2)は、このたび、AI技術を活用することで、がんゲノム情報解析を効率化し、がんゲノム医療の普及に貢献することを目的に、包括的な共同研究契約を締結しました。

本共同研究では、富士通研究所がこれまで培ってきたゲノム医療におけるAI技術と愛知県がんセンターのがんゲノム医療の研究や臨床から得た知見や課題、および同センターが保有する大規模なゲノムデータ・診療データを活用し、がんゲノム医療に資する各種のAI技術を開発します。

両者による共同研究の成果は、愛知県がんセンターにおける先進的ながんゲノム医療の研究、および連携する医療機関でのがんの診断や治療に活用していくことで、がんゲノム医療の普及に貢献します。

背景

がんゲノム医療では、がん患者の遺伝子変異を明らかにすることで、病気のなりやすさ、薬の反応性や副作用などを予測して、患者ごとに最適な医療を提供することを目的としています。日本においては、2019年6月よりがん遺伝子パネル検査が健康保険適用になったため、今後さらにがんゲノム医療の対象となる患者が増加していくことが予想され、がんゲノム医療の現場においてより正確かつ迅速な病気の診断や治療法の選択をアシストする技術の開発が求められています。

富士通研究所は、富士通株式会社(注3)が日本医療研究開発機構(以下、AMED)「臨床ゲノム情報統合データベース整備事業」の「ゲノム医療を促進する臨床ゲノム情報知識基盤の構築」(注4)に参画し開発してきたデータベースを活用し、東京大学医科学研究所(注5)(以下、医科研)との共同研究において、急性骨髄性白血病の治療方針の検討作業を効率化、高精度化するAI技術を開発(注6)してきました。今後、対象とするがん種を複雑なゲノム変化をもつ固形がんにまで拡げ、患者個別のがん診療を広く可能にしていくためには、より大規模なゲノムデータ・診療データを活用した検証が必要となっています。

がんゲノム医療拠点病院として、厚生労働大臣から指定を受けている愛知県がんセンターは、2019年3月に設立したがんゲノム医療センターにおいて、がん患者のがん遺伝子パネル検査の結果をその後の診療につなげていく体制を整えるとともに、愛知県がんセンターと連携する東海地域の病院へ高度ながんゲノム医療を広く展開していくことを目指しています。がん遺伝子パネル検査結果の解釈は、ゲノム医療の専門医らにより構成されるエキスパートパネルが行っていますが、各症例に対し適切な治療方針を立てるためには多くの労力が必要であり、遺伝子検査の件数が増加していく中で、各医師の負担が増大していることが問題となっています。このため、がん遺伝子パネル検査により同定された遺伝子異常の意義づけや、検査結果と診療データを統合した新規治療法推定などのがんゲノム医療を支援する技術の開発は喫緊の課題です。

共同研究の概要

富士通研究所と愛知県がんセンターは、富士通研究所が医科研との共同研究において開発したがんゲノム医療を効率化するAI技術と、愛知県がんセンターが所有する主に固形がんのゲノムデータ・診療データを用いて、ゲノム医療の臨床でボトルネックとなっているがん遺伝子パネル検査結果の解釈を効率化する技術を確立し、患者の遺伝子変異と病気との関係性を明確化する機能の高度化を図ります。これにより、対象とするがん領域を拡大し、患者ごとに最適ながんゲノム医療の実現を目指します。

両者の役割

富士通研究所

  • AI技術を用いた疾患領域ごとの臨床情報やゲノム情報のデータベース構築・統合に必要となる要素技術の開発。
  • がんゲノム医療における診断・治療法選択、および、新規治療法などの知識発見を支援する新たなAI技術の開発。

愛知県がんセンター

  • 個人情報保護に配慮した、患者ごとのがん遺伝子パネル結果および診療データの提供。
  • 固形がんを含む様々ながん症例に関する遺伝子検査結果の解釈、検討方法、治療選択ノウハウの提供。
  • 開発したAI技術の検証。

今後について

富士通研究所と愛知県がんセンターは、共同研究の成果を、これまで開発済みのがんゲノム医療AI技術とともにがんゲノム医療を支援する機能群として集約し、愛知県がんセンターと連携する東海地域の病院へ展開していきます。また、各医療機関の患者から取得した様々な症例のがんゲノムデータを共通の参照データベースに登録し、継続的にデータベースを増強していくことで、より網羅的で信頼性の高い治療法の選択が可能な統合機能へと発展させていきます。両者は、本共同研究の取組みを通じて、がんゲノム医療のさらなる高度化と普及に貢献していきます。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 株式会社富士通研究所:
本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 原裕貴。
注2 愛知県がんセンター:
所在地 愛知県名古屋市、 総長 高橋隆。
注3 富士通株式会社:
本社 東京都港区、代表取締役社長 時田隆仁。
注4 日本医療研究開発機構(AMED)「臨床ゲノム情報統合データベース整備事業」:
政府のゲノム医療実現推進協議会の中間とりまとめを踏まえ、ゲノム情報と疾患特異性や臨床特性などの関連について日本人を対象とした検証を行い、臨床および研究に活用することができる臨床情報と遺伝情報を統合的に扱うデータベースを整備するとともに、その研究基盤を利活用した先端研究開発を一体的に推進する事業。
注5 東京大学医科学研究所:
所在地 東京都港区、所長 山梨裕司。
注6 急性骨髄性白血病の治療方針の検討作業を効率化、高精度化するAI技術を開発:
新しいAIによるがんゲノム医療の効率化を東大医科研との共同研究で実現(2019年11月6日プレスリリース)

本件に関するお問い合わせ

株式会社富士通研究所
人工知能研究所
電話 044-754-2652(直通)
メール qa_faco2019@ml.labs.fujitsu.com

愛知県がんセンター
リスク評価センターおよびがんゲノム医療センター センター長兼
研究所副所長兼がん予防医療研究領域 分子遺伝学分野 分野長
井本逸勢
電話 052-764-9888
メール iimoto@aichi-cc.jp


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