PRESS RELEASE
2018年9月19日
富士通株式会社
株式会社富士通研究所
学校法人早稲田大学
富士通研究所と早稲田大学、「デジタルアニーラ」に関する包括的連携活動協定を締結
実社会の課題を解決する組合せ最適化問題への適用を促進
株式会社富士通研究所(注1)(以下、富士通研究所)と学校法人早稲田大学(注2)(以下、早稲田大学)は、このほど富士通株式会社(注3)(以下、富士通)の組合せ最適化問題を高速に解く計算機アーキテクチャー「デジタルアニーラ(注4)」の共同研究に関して包括的連携活動協定を締結しました。早稲田大学の「グリーン・コンピューティング・システム研究機構」内に、実社会の組合せ最適化問題を「デジタルアニーラ」で解決するためのソフトウェア開発を行う共同研究拠点として「Fujitsu Co-Creation Research Laboratory at Waseda University」を設立しました。今後、早稲田大学の全研究を対象に、研究テーマを広く募集し、金融、デジタルマーケティング、物流など様々な分野で「デジタルアニーラ」を用いた研究を進めていきます。更に共同研究で得られた成果は、富士通の「デジタルアニーラ」事業に取り込み、実社会の問題解決を促進し、社会や経済の発展に貢献します。
背景
実社会には、医療、金融、物流、公共政策など様々な分野に、これまで人間が行ってきた複雑な意志決定や、膨大な学習用入力データに基づいた最適な解の選択など、現在のコンピューティング技術では実用的な時間で解くことができない問題が膨大に存在します。
このような問題に対して、富士通研究所は、組合せ最適化問題を高速に解く計算機アーキテクチャー「デジタルアニーラ」を開発し、2018年5月に富士通よりサービス提供を開始しています。デジタルアニーラは、従来の半導体技術を用いて、実社会における組合せ最適化問題を解くことができる計算機アーキテクチャーです。
早稲田大学は、「グリーン・コンピューティング・システム研究機構」を2011年に設立し、産学連携研究に積極的に取り組んでおり、量子アニーリング研究や組合せ最適化問題の研究においても第一線でリードしています。
共同研究概要
このたび富士通研究所と早稲田大学は、両者の研究を融合させ実社会の組合せ最適化問題に適用するソフトウェア開発に関する連携活動協定を締結し、「Fujitsu Co-Creation Research Laboratory at Waseda University」を設立しました。今後、研究・開発・人材育成などに対する共通の認識を醸成し、2019年4月より共同研究を開始します。
「Fujitsu Co-Creation Research Laboratory at Waseda University」での共同研究は、早稲田大学の全研究を対象に研究テーマを広く募集し、「デジタルアニーラ」を用いて、金融、デジタルマーケティング、物流など様々な応用分野における共同研究を実施していきます。
富士通研究所および富士通は、アーキテクチャーやハードウェアを含めた「デジタルアニーラ」の技術開発や機能向上を進めるとともに、得られた研究開発成果を事業に取り込み、実社会の問題解決の促進に活用します。早稲田大学は、高度な学術的研究を活かして、実社会の問題に適用可能なソフトウェアの研究開発を進め、課題解決に幅広く適応できる機能を拡張していきます。
今後、3者で最初に取り組むテーマ候補として、金融(株価の変動予測)、デジタルマーケティング(データ分析)、物流(配送最適化)などがあります。
金融分野の株価の変動予測では、与信評価などで使用される財務諸表の数値やテキストデータの特徴量を導入したクラスタリング手法による分析、為替のアービトラージ計算への適用などがありますが、精度の良い計算を行うには理論やハードウェアのさらなる高速化や高精度化など多くの課題があります。
またデジタルマーケティング分野では、マーケティング効果を最大化するために、新たなデータ分析手法の構築が期待されています。例えば、顧客の行動情報をもとに、よりよい提案をするためには、多数の最適化パラメータから構成される組合せ最適化問題を解く必要があります。しかもリアルタイムに最適な情報を顧客に提示するには、問題を数秒単位で解かなければなりません。
さらに物流分野においては、物流コストの削減は最重要課題であり、物流網の見直しや配送の最適化が大きく貢献します。配送最適化は、配送指定時間や車両数などのさまざまな制約条件があり、交通情報が常に変化していく中で組合せ最適化問題として解くことが必要となります。
「デジタルアニーラ」の拡張と応用ソフトウェアの開発により、これらの分野における実問題が解けるようにするとともに、その他の様々な分野で取り組みを進めることで、「デジタルアニーラ」の技術を発展させ、実社会への適用を拡大していきます。
さらに「デジタルアニーラ」に関し富士通研究所と2017年度に戦略的パートナーシップを締結したUniversity of Toronto (注5)や組合せ最適化問題を抱える企業との連携を行い、「デジタルアニーラ」コミュニティの構築を進め、新しいICTビジネスの創出と社会・経済の発展に貢献します。
以上
注釈
- 注1 株式会社富士通研究所:
- 本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 佐々木 繁
- 注2 学校法人早稲田大学:
- 所在地 東京都新宿区、総長 鎌田 薫
- 注3 富士通株式会社:
- 本社 東京都港区、代表取締役社長 田中達也
- 注4 デジタルアニーラ:
- http://pr.fujitsu.com/jp/news/2016/10/20-1.html
- 注5 University of Toronto:
- 所在地 カナダ オンタリオ州 トロント市、学長 Meric S. Gertler
本件に関するお問い合わせ
株式会社富士通研究所
デジタルアニーラプロジェクト
044-754-2049(直通)
da_press@ml.labs.fujitsu.com
学校法人早稲田大学
グリーン・コンピューティング・システム研究機構
03-3203-2764
gcs-staff@list.waseda.jp
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