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PRESS RELEASE (技術)

2017年11月1日
株式会社富士通研究所
富士通株式会社

商船三井様、宇部興産海運様とAIを活用した船舶性能推定技術を実証

実海域データでの実証により、船舶性能を誤差1.5%以下の高精度で予測することに成功

株式会社富士通研究所(注1)(以下、富士通研究所)は、国立大学法人東京海洋大学様(以下、東京海洋大学様)と共同で開発した、船の速度や燃料消費量など船舶性能の推定技術(注2)の実証を株式会社商船三井様(以下、商船三井様)、宇部興産海運株式会社様(以下、宇部興産海運様)と行いました。その結果、外航・内航の航路いずれにおいても誤差1.5%以下での船舶性能の推定が可能であることを実証し、様々な気象・海象条件における本技術の実用性を確認しました。本技術により、運用者は燃費を削減する航路を正確に予測して燃費削減につなげることが可能となります。

富士通株式会社(以下、富士通)は、本技術を、位置情報を活用したクラウドサービス「FUJITSU Mobility Solution SPATIOWL(フジツウ モビリティ ソリューション スペーシオウル)」のメニューの一つとして搭載し2018年中のサービス提供を目指します。

本検証の詳細は、11月8日(水曜日)から9日(木曜日)までドイツのミュンヘンで開催予定の「Fujitsu Forum 2017 Munich」にて展示を行います。

背景

気象・海象によって変動する船の速度や燃料消費量など船舶性能を正確に把握できれば、航路上の気象・海象条件に応じて、燃費や所要時間の面で最適な航路を知るウェザールーティングが実現できます。例えば、最短経路より遠回りをしてでも波・風を避けた方が燃費の良くなる経路などを事前に知ることができます(図1)。富士通研究所は、2016年5月に東京海洋大学様と共同で、船舶性能の高精度な推定技術を開発しています。本技術は、富士通のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」を活用した、富士通研究所独自の高次元統計解析技術により高い推定精度を実現するものです。

図1 ウェザールーティングのイメージ図
図1 ウェザールーティングのイメージ図
(水色は波が穏やかな海域、オレンジ色は波がやや高い海域、ピンク色は波が高い海域を表す)

課題

本技術に対して、富士通研究所は、東京海洋大学様の小型練習船で収集した近海での運航データを用いた検証により、船舶性能を高精度に推定できることを確認しています。しかし、本技術の実用化に向けて、より様々な気象・海象条件のもとで、実海域を実際の商船が運航したデータを用いて推定精度を検証する必要がありました。

技術実証の内容

今回、東京海洋大学様の技術支援により、商船三井様、宇部興産海運様の実運用中の商船が集めた運航データを用いて高次元統計解析技術に基づく船速、燃料消費量の予測を行い(図2)、実測値との誤差を検証しました。

今回検証に使用した運航データは以下の通りです。

  1. 商船三井様
    船種  :  外航船
    データ  :  風向、風速、主機回転数、燃料消費量など30項目
    期間  :  2015年10月12日から2015年12月13日
  2. 宇部興産海運様
    船種  :  内航船
    データ  :  風向、風速、主機回転数、燃料消費量など14項目
    期間  :  2016年7月29日から2016年8月22日

図2 高次元統計解析技術を適用した主機回転数・風速に対する予測船速の例(水色の点は実測値を表す)
図2 高次元統計解析技術を適用した主機回転数・風速に対する予測船速の例
(水色の点は実測値を表す)

技術実証の方法

検証に使用した運航データ全体からランダムに全体の9割分のサンプルデータを選択して学習用データとして利用し、残りのサンプルデータを予測用データとして利用して平均絶対誤差率(注3)を求めました。この誤差評価を10回繰り返し、それらの平均を実測値との推定誤差の結果としました。

なお、船速についての誤差評価を行う際は、船速以外のデータと船速データとの関係を学習し、その学習結果と船速以外のデータから船速を予測しました。燃料消費量についての誤差評価も同様に行いました。

技術実証の結果

本技術実証の結果、推定誤差1.5%以下で船舶の性能を予測することが可能であることを確認しました(表1)。

表1 船舶性能の推定誤差
  商船三井様 宇部興産海運様
船種 外航船 内航船
船速の精度(注4 1.4% 1.1%
燃料消費量の精度(注5 0.8% 0.2%

船速および燃料消費量の実験結果の一部を図3および図4に示します。図3(a)および図4(a)は実測値と予測値の時系列を表しており、実測値と予測値がほぼ一致することから、予測精度が高いことが確認できます。また、図3(b)および図4(b)は実測値と予測値の分布を表しています。図に示されるように、赤線の近辺に分布するため、安定した予測精度を実現できていることが確認できます。

図3 実験結果の一例(船速)
図3 実験結果の一例(船速)
拡大イメージ

図4 実験結果の一例(燃料消費量)
図4 実験結果の一例(燃料消費量)
拡大イメージ

本技術を用いて船舶の実海域性能を正確に把握することで、ウェザールーティングを高精度化して燃費削減効果を向上させることができます。

今後

富士通は、本技術を、位置情報を活用したクラウドサービス「FUJITSU Mobility Solution SPATIOWL」のメニューの一つとして搭載し2018年中のサービス提供を目指します。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 株式会社富士通研究所:
本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 佐々木繁。
注2 船舶性能の推定技術:
「運航データを活用して船舶の燃費性能を高精度に推定」(2016年5月10日プレスリリース)
注3 平均絶対誤差率(MAPE:Mean Absolute Percentage Error):
以下の式で求められる誤差指標。Tは予測データのサンプル数、tはT個のサンプルのうち何番目のサンプルであるかを示す番号、xtはt番目のサンプルの予測に用いる入力データ、f(xt)はxtに対する船速あるいは燃料消費量の予測値、ytはt番目のサンプルの船速あるいは燃料消費量の実測値を表す。

注4 船速の精度:
1分ごとに実際の船速を計測したものと本技術で推定した船速の誤差の割合。
注5 燃料消費量の精度:
1航海中に実際に使われた燃料の量と本技術で推定した量の誤差の割合。

本件に関するお問い合わせ

株式会社富士通研究所
モビリティ研究所
電話 044-754-2444(直通)
メール fj-shipict@ml.labs.fujitsu.com


プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。