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PRESS RELEASE

2017年4月11日
株式会社富士通マーケティング
富士通株式会社

水資源機構様、緊急時の防災業務に対応するIoTを活用した職員支援システムを稼働

琵琶湖の内水排除において、安全・迅速・確実な機械設備の運転操作を実現

株式会社富士通マーケティング(本社:東京都港区、代表取締役社長:藤田正美、以下 富士通マーケティング)は、独立行政法人水資源機構(本社:埼玉県さいたま市、理事長:甲村謙友、以下 水資源機構)様の管理所のひとつである琵琶湖開発総合管理所(所在地:滋賀県大津市、総合管理所長:宮川省三)様に、富士通株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:田中達也、以下 富士通)と共同開発したIoTを活用した排水機場の職員支援システムを導入し、琵琶湖開発総合管理所様が管理する14カ所の排水機場にて4月1日に運用を開始しました。

琵琶湖開発総合管理所様は、ゲリラ豪雨や台風などの緊急時に必要とされる機械設備の運転操作において、専門職員の不在や、定期的な人事異動により防災対応経験者がいなくなることなどを想定し、ほかの職員や未経験者でも確実に現場作業を実施する必要があると考えられています。

富士通グループは、人を中心としたデータ活用に着目し、高精度なセンシングと高度な解析技術を特長とするヒューマンセントリックなIoTを、お客様のデジタル革新を実現するデジタルビジネス・プラットフォーム「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc(フジツウ デジタル ビジネス プラットフォーム メタアーク)」(注1)で展開しています。今回提供する職員支援システムにおいても、タブレットやヘッドマウントディスプレイを活用する富士通グループのシステムを組み合わせることにより、IoTによる安全・迅速・確実な運転操作を実現しました。

職員支援システムにより、タブレットやヘッドマウントディスプレイのカメラでARマーカーを読み取って作業場所を特定し、ディスプレイに表示される直感的で分かりやすいカード形式の作業手順に従うことで、不慣れな職員でもミスや迷いなく作業できるようになります。手順通りに作業できない場合などは、遠隔支援機能により、専門職員が防災本部やほかの排水機場から現場の様子をカメラ映像で確認し、音声やディスプレイを通して作業を指示することも可能です。

富士通グループは、水資源機構様の安全で確実な防災業務を支援し、日々の保全業務においてもIoTの活用を提案していきます。

背景

水資源機構様は、7つの水系(利根川、荒川、豊川、木曽川、淀川、吉野川、筑後川)で52施設(30ダム、水路総延長3,030km)を管理しています。国民生活・経済にとって重要な水に携わる政策実施機関として、河川の氾濫被害から地域を守るとともに、安定した水を供給することによって、安全で豊かな社会づくりに貢献しています。また、2016年度よりダムや水路の管理、操作、運転などの維持管理分野でもICT技術を活用し、効率化および高度化を図る取り組み「i-Construction & Management」を推進しています。

水資源機構様の管理所の中で、琵琶湖周辺を管轄している琵琶湖開発総合管理所様は、14カ所の排水機場において、ポンプ設備やゲート設備など多数の機械設備を管理しています。ゲリラ豪雨や台風などにより急激に増水した際には、河川の氾濫を軽減するための内水排除(注2)で、多くの設備を同時に操作する必要があります。有事の際に在籍する限られた人員で対応するためには、専門職以外の職員でも安全・迅速かつ確実に排水のための現場作業に対応できることが課題でした。そこで、琵琶湖開発総合管理所様は、「i-Construction & Management」の一環として、排水機場の運転操作をIoTで支援可能なタブレットとヘッドマウントディスプレイを活用した職員支援システムを導入しました。

職員支援システムの構成

  • 作業指示システム

    作業指示を1ステップずつ直感的で読みやすいカード形式でディスプレイに表示し、運転操作の手順確認を行えるほか、手順どおりに作業を進めることで作業結果が自動で記録されます。作業指示システムはタブレットでもヘッドマウントディスプレイでも利用できるため、作業場所や内容に応じて適切な端末を選ぶことができます。

  • AR統合基盤「FUJITSU Software Interstage AR Processing Server(インターステージ エーアール プロセッシングサーバ )」

    タブレットやヘッドマウントディスプレイのカメラで、設備に貼付されたARマーカーを認識することで、対象の設備を特定し、設備に応じて関連情報を表示することができます。薄暗い場所や斜めの位置からでも精度良く認識できるマーカー認識技術により、円滑な現場作業を実現します。

  • 遠隔支援システム

    ヘッドマウントディスプレイからの現場のカメラ映像と音声を遠地でリアルタイムに共有し、専門職員が一般職員の現場作業を遠隔で支援します。また、カメラ映像に印を書き加えて現場のディスプレイに表示させ、作業箇所を指示することも可能です。

  • 作業情報管理システム「FUJITSU Enterprise Application AZCLOUD SaaS teraSpection(アズクラウド サース テラスペクション)」

    作業指示システムと連携し、現場の作業結果をクラウドに記録します。管理者は、クラウドに蓄積された履歴を閲覧することで、その作業が正しく実施されたか確認できます。また、作業履歴は報告書として任意フォーマットで出力することができます。

図. 職員支援システムのイメージ
図. 職員支援システムのイメージ

職員支援システムの特長

  1. 職員全員が同じ品質による運転操作が可能

    今回、作業指示システムから送られてくる作業指示を、直感的で分かりやすいカード形式で作成しました。この作業指示を表したカード(以下、ミッションカード)は、1ステップごとに構内図や設備写真を使って音声ガイダンス付きで手順を表示します。職員はタブレットやヘッドマウントディスプレイに表示されたミッションカードを確認することで、ミスや迷いなく作業を行えます。また、指示内容を音声ガイダンスで聞けるため、画面を注視せずに作業することも可能です。ヘッドマウントディスプレイの場合は作業終了時に口頭で「はい」または「次」と返事をすることで音声認識され、次のミッションカードが自動で表示されるため、一貫してハンズフリーでの作業を実現します。

    設備操作時には、設備に貼り付けられているARマーカーを内蔵カメラが読み取り、対象設備が正しいかどうかのチェックを行うことができます。

    写真1. ミッションカードの表示イメージ
    写真1. ミッションカードの表示イメージ

    写真2. 作業指示システム利用イメージ
    写真2. 作業指示システム利用イメージ


  2. 遠隔支援の仕組みにより作業のつまずきを解消

    ミッションカードの手順通りに作業できず、「いいえ」と回答した際には、内容によって自動的に遠隔支援システムが起動します。防災本部やほかの排水機場にいる専門職員が現場の様子をヘッドマウントディスプレイやタブレットからのカメラ映像で確認し、音声やディスプレイへの書き込みを通して作業を指示することが可能です。

    写真3. 遠隔支援システム利用イメージ
    写真3. 遠隔支援システム利用イメージ

  3. 作業報告書の自動作成により効率化を実現

    ミッションカードには、作業結果を記録する指示が含まれており、職員は現場でミッションカードどおりに作業を進めることで、適切なタイミングで作業記録を残すことができます。また、ARマーカー認識時には自動的に対象設備の写真が撮影され、作業結果の記録に掛かる職員の負担を軽減します。

    作業記録は作業場所と紐づけて管理されるため、作業情報管理システムから排水機場の地図を表示し、作業場所を表すピンを選択すれば作業履歴が閲覧できます。これらの作業履歴は事前に登録されている任意フォーマットで出力できるため、運転操作の報告を迅速かつ正確に実施することができます。

今後について

水資源機構様は、今回の職員支援システムで利用している作業情報管理システム「FUJITSU Enterprise Application AZCLOUD SaaS teraSpection」を日々の保全業務にも活用し、点検チェックシートの作成やデータの可視化、予兆診断分析(健全性評価)など、今後も様々な設備管理へと活用範囲を広げることを検討しています。

富士通グループは、水資源機構様の業務を支援するとともに、電力会社やプラントメーカーなどに適用を拡大し、現場作業のさらなる革新をICTでサポートしていきます。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 MetaArc:
クラウド、モバイル、ビッグデータ、IoT、AIなどの最先端技術と、当社SEの知見・ノウハウを融合したデジタルビジネス・プラットフォーム。
注2 内水排除:
洪水時には河川が増水し、支川からの水が河川に排水できなくなり、支川周辺の水があふれて浸水被害が生じることがある。そこに停滞した水を内水といい、この水を排除することを内水排除という。

関連リンク

本件に関するお問い合わせ

株式会社富士通マーケティング
お客様総合センター
電話 0120-835-554(フリーダイヤル)
受付時間: 9時~17時30分 (土曜・日曜・祝日 年末年始を除く)


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