PRESS RELEASE
2017年2月27日
FDK株式会社
株式会社富士通研究所
高エネルギー密度を有する全固体リチウムイオン電池用正極材料を開発
全固体電池の開発を加速
FDK株式会社(代表取締役社長:望月道正、以下「FDK」)と株式会社富士通研究所(代表取締役社長:佐々木繁、以下「富士通研究所」)は共同で、全固体リチウムイオン電池(以下「全固体電池(注1)」)の正極材料として、高エネルギー密度を有する「ピロリン酸コバルトリチウム(Li2CoP2O7)」を開発いたしました。
この材料を用いることで、より高い電圧と容量を持つ全固体電池の実現が可能となります。
近年、電池に対する要求仕様はますます多様化しており、特に高エネルギー密度化や安全性に対する関心が高まっています。リチウムイオン電池をはじめとする既存電池の改良も盛んにおこなわれておりますが、一方で既存電池を超える性能を有する可能性のある各種の次世代電池の開発も進められており、全固体電池は安全性の高い次世代電池として注目されています。FDKは高エネルギー密度、安全性、長寿命などの特徴を有する電池として全固体電池の開発を進めております。
電池が有するエネルギーは電圧と容量の積で規定され、高いエネルギー密度を有する電池の実現には、高電位、高容量な電極材料の開発が必要になります。
今回、全固体電池の開発を進めているなか、FDKのCAE(Computer Aided Engineering)技術、および富士通研究所の材料形成技術の活用により、既存のリチウムイオン電池の正極材料に比べて、約1.5倍のエネルギー密度を有する全固体電池の正極材料「ピロリン酸コバルトリチウム(Li2CoP2O7)」の開発に成功いたしました。
FDKおよび富士通研究所は、本材料を全固体電池に採用した場合、本材料が既存のリチウムイオン電池の正極材料に比べて約2倍のエネルギー密度で動作する能力をもつことも材料計算により見出しており、今後さらなる本材料の能力の引き上げを図るとともに、IoT(Internet of Things)、ウェアラブル、モバイルなどの機器で小型かつ安心・安全にご利用いただける全固体電池として、早期に市場投入できるよう引き続き開発を進めてまいります。
なお、本材料、技術については、3月1日(水曜日)から3日(金曜日)まで東京ビッグサイトで開催される「第8回国際二次電池展」のFDKブースにて資料展示いたします。
[特性] | |
図1:開発品の充放電挙動 黒線は充電曲線、赤線は放電曲線を示す。既存のリチウム二次電池系では不可能な5V以上の電圧で充放電動作が可能。 |
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・正極材料として最高水準のエネルギー密度 本開発品 Li2CoP2O7 :860Wh/kg 既存材料 LiFePO4 :530Wh/kg 【実用値】 既存材料 LiCoO2 :570Wh/kg 【実用値】 |
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図2:開発品と既存材料とのエネルギー密度比較 |
以上
注釈
- 注1 全固体電池:
- 全固体電池は電解液の代わりに、固体内でイオンを移動できる固体電解質を使用した電池です。電池の材料が固体のため液漏れがない、高温環境下など既存電池が使用できない環境下でも使用でき、高電圧化・大容量化しやすい次世代電池として、開発が進められております。
FDKは、全固体電池のなかでも全固体リチウムイオン電池の開発を進めております。電解液を使用した既存のリチウムイオン電池は、主に可燃性の有機系材料を使用していますが、FDKは、この固体電解質の中でも可燃性のない酸化物系材料を用いて、安全性の高い全固体リチウムイオン電池の開発を進めております。
本件に関するお問い合わせ
FDK株式会社
広報・IR室
03-5715-7402
株式会社富士通研究所
デバイス&マテリアル研究所
046-250-8244(直通)
battery@ml.labs.fujitsu.com
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