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PRESS RELEASE (技術)

2016年9月9日
国立研究開発法人情報通信研究機構
富士通株式会社

医療現場で多言語音声翻訳の実証実験を開始

病院内の様々なシーンにおいて端末を操作することなくハンズフリーでの会話が可能に

国立研究開発法人情報通信研究機構(本部: 東京都小金井市、理事長: 坂内 正夫、以下、NICT)と富士通株式会社(本社: 東京都港区、代表取締役社長: 田中 達也、以下、富士通)は、多言語音声翻訳システムを活用した実証実験を、2016年11月から2017年度末までの期間に行います。これは、「総務省委託研究開発・多言語音声翻訳技術推進コンソーシアム、以下、多言語音声翻訳技術推進コンソーシアム」()の取り組みの一環として、2015年10月から東京大学とNICTが行っている多言語翻訳の臨床試験に、2016年11月から富士通が加わり実施するものです。

近年、訪日外国人の増加に伴い、病院を訪れる外国人患者が増加しており、多言語による会話の支援が課題となっています。本実証実験では、現在、臨床試験で使用しているNICTが開発した多言語音声翻訳アプリ「VoiceTra(ボイストラ)」の技術を基に、医療分野の専門用語を強化し、病院内の様々なシーンでの利用において音声認識や翻訳の精度を高めた新たな多言語音声翻訳システムと、株式会社富士通研究所(本社: 神奈川県川崎市、代表取締役社長: 佐々木 繁、以下、富士通研究所)が開発した、騒がしい環境でも人の音声を判別し翻訳の開始と終了の検出ができる音声解析技術と、話者の位置を音声により認識して適切な言語に切り替えるハンズフリー技術を用いて、実際の医療現場で臨床試験を行い、その有効性などを検証します。

背景

近年の訪日外国人の増加に伴い、言葉の壁を感じずに自由にコミュニケーションが可能となる多言語音声翻訳システムの実用化が期待されています。多言語音声翻訳技術推進コンソーシアムでは、総務省の「グローバルコミュニケーション計画の推進 -多言語音声翻訳技術の研究開発及び社会実証- (Ⅰ.多言語音声翻訳技術の研究開発)基本計画書」に基づき、様々な研究開発や各種分野での実証実験の取り組みが行われています。

医療の分野においても、病院を訪れる外国人患者の増加に伴い、医療者と様々な言語を話す患者が会話をする機会が増えています。医療機関の現場では、受付を始め、検査、診察、病棟、会計など、様々なシーンで、医師、看護師、事務職員などの医療者が外国人患者とコミュニケーションを行う必要があり、多様な言語での会話や専門用語に対応しなければならないという課題に直面しています。これらの課題を解決するため、医療現場における多言語対応の音声翻訳技術の実現が期待されています。

実証実験の概要

  1. 実施期間

    2016年11月~2018年3月

    本実証実験は、2015年10月から既に東京大学とNICTが行っている多言語翻訳の臨床試験(倫理申請10704)に、2016年11月から富士通が加わる形で実施します。

  2. 実施場所

    本臨床試験に関する臨床研究計画を院内倫理委員会で許可を受けた病院。

  3. 対象者

    実際の外国人患者と医療者の一部の方を対象とした臨床試験を実施します。

  4. 実施内容

    本実証実験では、NICTは、既に実用化している多言語音声翻訳アプリ「VoiceTra」の技術を基に、医療分野の専門用語を強化し、対応する会話の数を増加させ、音声認識や機械翻訳の精度をさらに高めた新たな多言語音声翻訳システムを適用します。また、富士通は、富士通研究所が開発した周囲の騒音の大きさと人の音声の周期性の強さの相対関係に基づいて、騒がしい環境でも人の音声を判別し、翻訳の開始と終了の検出ができる技術と、端末のマイクに話しかけるだけで話者の位置を音声で認識して、日本語から多言語へ、また多言語から日本語へ、自動で切り替えることができるハンズフリー技術を適用します。ハンズフリーを実現させることで、患者および医療者の負担を軽減させます。

    本実証実験を通じて、医療現場における多言語翻訳技術の有効性の確認と会話データの収集や仕様の検証を行い、システム改善に向けた取り組みを行います。

    ハンズフリー多言語音声翻訳システム
    ハンズフリー多言語音声翻訳システム

今後について

今後、両者は本実証実験の成果を踏まえ、中国語など、当該システムの対応言語を広げていきます。

商標について

VoiceTraは、NICTの登録商標です。

以上

注釈

 総務省委託研究開発・多言語音声翻訳技術推進コンソーシアム:
訪日外国人等が「言葉の壁」を感じることなくコミュニケーションすることを可能とする多言語音声翻訳技術について、2015年から5ヵ年を目途に技術研究・開発を実施し、2020年までに社会実装の実現を目指すことを目的に2015年10月26日に設立。

コンソーシアム設立に関する報道発表資料
「総務省委託研究開発・多言語音声翻訳技術推進コンソーシアム」の設立について(2015年10月26日)

本件に関するお問い合わせ

国立研究開発法人情報通信研究機構
先進的音声翻訳研究開発推進センター
隅田 英一郎
電話 0774-98-6350
メール eiichiro.sumita@nict.go.jp

富士通株式会社
ネットワークソリューション事業本部
電話 044-280-9846(直通)
メール fj-tagengo_press@dl.jp.fujitsu.com


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