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PRESS RELEASE (技術)

2016年3月10日
株式会社富士通研究所
富士通研究開発中心有限公司

多種多様なIoTデバイス管理を容易にするプラットフォームを開発

共通APIによりエコシステム形成を加速し、サービスの安定運用を実現

株式会社富士通研究所(注1)(以下、富士通研究所)と富士通研究開発中心有限公司(注2)(以下、FRDC)は、今後様々な展開が予定されるIoTサービスの運用管理において、多種多様なセンサーやデバイス、ゲートウェイ機器の動作状態や接続するネットワークの状態を一元管理し、安定的な運用を可能とするためのソフトウェアプラットフォームを開発しました。

今回開発したプラットフォームでは、障害の原因分析に必要なIoTデバイスやネットワークの稼働状況などの監視情報を一元管理可能にするための、共通API(Application Programming Interface)を規定し、この共通APIとIoTデバイスとのインターフェースの差異をプラグイン形式で吸収する機能を実現しました。

これにより、IoTデバイスやネットワークの遠隔監視や障害分析ツールの開発が容易になるとともに、デバイス選択の自由度が向上し、システムが大規模化した場合の柔軟性も高まるため、安定運用に大きく寄与します。

また、富士通研究所とFRDCは本プラットフォームに実装した監視情報の共通APIについて、国際標準化に向けた活動を進め、IoTサービスの運用管理をより容易にするためのエコシステム構築を目指します。

開発の背景

現在、道路や橋梁などの社会インフラにセンサーを設置して保守管理を行なったり、室内の温度、湿度、照度などの環境や消費電力をモニターしてエアコンや照明を制御するなど、IoTシステムの実用化に向けた取り組みが進んでいます。今後、IoTの普及が進み、膨大な量の多種多様なデバイスがネットワークに接続され、常時、あらゆる場所で人々の安心・安全に欠かせないサービスを提供する新たな社会インフラとして広がっていくことが期待されています。

課題

IoTの実用化が進み、膨大な数や種類の機器を接続してサービスが提供されるようになると、これらの機器をクラウド上にある運用管理ダッシュボードなどから遠隔で管理し、機器の故障やネットワークのトラブルを迅速に把握するなどの効率的な対応が求められます。

しかし、IoTデバイスとゲートウェイ機器やこれらを結ぶネットワーク機器などのIoTのフロントエンド部分を構成する機器の運用管理では、それぞれの機器からの収集可能な情報の形式が定まっておらず、公開されていない情報も多いため、障害が発生した場合の状況の把握や、問題の特定、対策に手間がかかるといった課題がありました。

開発した技術

今回、IoTデバイスと、ゲートウェイ機器やこれらを結ぶネットワーク機器から構成されるシステムの運用情報を一元管理し、障害分析を可能とするソフトウェアプラットフォームを開発しました。(図1)

図1 開発したソフトウェアプラットフォーム
図1 開発したソフトウェアプラットフォーム

図2 無線通信にBluetooth/Wi-Fiを使った場合のアダプター処理の例
図2 無線通信にBluetooth/Wi-Fiを使った場合のアダプター処理の例

本技術の特徴は以下の通りです。

  1. プロトコルの差異を吸収するプラグイン形式のアダプター

    開発したソフトウェアプラットフォームでは、様々なIoTデバイスやネットワーク機器などの監視情報を共通の手順で取得するためのIoTフロントAPIを規定しました。このIoTフロントAPIと各機器が持つAPIとのプロトコルの差異やデータ形式の差を吸収するアダプター機能を、入れ替えや追加が可能なプログラム(プラグイン)として実現しました。なお、ここで収集する情報は、過去のトラブル対応実績などから障害分析に必要な情報を抽出して規定しました。

  2. 障害分析APIの提供

    IoTフロントAPIから得られる情報をデータベースに集約し、障害分析APIによりトラブル分析を可能とするIoTフロント情報管理機能を実装しました。これにより、システムを構成する各機器の種類に関わらない遠隔の運用管理サービスや分析ツールを提供できます。

本ソフトウェアプラットフォームは主にゲートウェイ機器上で動作し、ゲートウェイ機器とIoTデバイスはアダプターを介してWi-FiやBluetoothなどの近距離無線で接続されます。

なお収集する情報のうち、無線の障害監視に関するAPIについては、IEEE802.1CFでの標準化を推進しています。

効果

本技術により、多種多様な機器を活用したIoTシステム構築に際して、監視ツールや障害分析ツールを容易に開発・提供できるようになるため、遠隔監視によるIoTサービスの迅速な運用管理を実現します。

今後

今後、富士通研究所とFRDCは接続デバイスや無線方式を追加し、規模を拡大した実証実験を進め、2016年度末の製品化を目指します。また、本プラットフォームに実装した運用監視に関する共通APIについて、国際標準化に向けた活動を進め、IoTサービスの運用管理をより容易にするためのエコシステム形成を加速します。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 株式会社富士通研究所:
本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 佐相秀幸。
注2 富士通研究開発中心有限公司:
本拠地 中国北京、董事長 佐々木繁。

本件に関するお問い合わせ

株式会社富士通研究所
ネットワークシステム研究所
電話 044-754-2667(直通)
メール iot-front-pf-query@ml.labs.fujitsu.com


プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。