PRESS RELEASE
2015年11月2日
富士通株式会社
当社が培ったAI技術を「Human Centric AI Zinrai」として体系化
お客様のイノベーションを創出するAI活用コンサルティングサービスを提供
当社は、このたび、30年以上にわたり培ってきたAI(人工知能)に関する知見や技術を「Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」(以下、Zinrai)として体系化し、各種商品・サービスへの実装を開始します。
「Zinrai」は、当社グループが取り組んできた「知覚・認識」や、「知識化」、「判断・支援」、そしてそれらを高度化し成長させる「学習」などのAIに関する研究開発の結果である技術やノウハウを結集し、体系化したものです。
同時に、AIを活用した業務変革やイノベーションの創出を専任のコンサルタントが強力に支援するAI活用コンサルティングサービスを提供します。その推進組織として、「AI活用コンサルティング部」を11月1日付けで設立しました。今後、「Zinrai」を様々な業種アプリケーションやミドルウェアなどの商品・サービスに実装していく予定です。その第一弾として、「Zinrai」の機械学習技術を組み込んだビッグデータ利活用ソリューション「FUJITSU Business Application Operational Data Management & Analytics」(以下、ODMA)の新サービスを開発中です。さらには、当社のデジタルビジネス・プラットフォーム「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc」上で、「Zinrai」の技術をサービスとして展開していきます。
当社は、AIを人の生活や社会をより豊かなものにするための重要な技術として捉え、継続的な技術開発を進めるとともに、様々な分野に応用することで、お客様の業務変革や新しいビジネスの創造へ貢献していきます。
開発の背景
昨今、お客様の現場業務の変革やイノベーションによる新規ビジネスの創出に向けてICT活用のニーズが飛躍的に高まっており、その中でも特にAIの導入に注目が集まっています。
当社グループは株式会社富士通研究所(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長:佐相秀幸)が中心となり、1980年代より継続的にAIの実用化に向けた研究開発に取り組んできましたが、今般、これまでに培ったAIの知見や技術を「Zinrai」として体系化しました。
「Zinrai」は、先端研究から得た知見やノウハウをベースに、知覚・認識、知識化、判断・支援の機能と、それらを高度化し成長させる学習機能で構成されます。当社グループは、人の生活や社会をより豊かなものにするために、あらゆるICT環境へのAI導入を強力に推進します。
図. 「Human Centric AI Zinrai」構成要素一覧
「Zinrai」について
「Zinrai」は、今後大きな発展が期待されている脳科学に関する研究から得た知見や、人の生活や社会にAIを導入する際の社会受容性向上に向けた研究、さらにはスーパーコンピュータをも活用したシミュレーションの先端研究から得られる知見やノウハウをベースに、それぞれの要素の連動性までも考慮した当社グループのAI技術の集合体です。人の生活や社会を豊かにするために、100件を超える特許技術(注1)を結集させています。以下3つの要素で構成し、それぞれが「学習」により高度化し、成長していきます。
- 知覚・認識
人のように五感を駆使し、人の感情・気付き・気配りまでも処理する感性メディア技術
適用例: 振り込め詐欺検知、「人の気持ち理解」による顧客対応サービスの向上と自動化 など - 知識化
人が理解する知識のみならず、機械処理できる知識を創り出す技術
適用例: 診療時の意思決定支援、金融監督業務の改善 など - 判断・支援
スーパーコンピュータをも活用して社会やビジネス上の課題を数理的に解決する技術
適用例: 空港における混雑緩和、津波浸水シミュレーター など
今後、様々な商品・サービスに「Zinrai」を実装していく予定であり、クラウド環境、オンプレミス環境でAIをご利用いただけるようになります。
当社グループのこれまでの実績
当社グループは、1985年に商品化した日本初のAI搭載コンピュータ「FACOM α(ファコム アルファ)」(注2)など、30年以上にわたりAIの実用化に向けて研究・開発を続けてまいりました。
最近では、2012年9月より国立情報学研究所(注3)様の人工頭脳プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」(注4)に数学チームとして参画しています。今回「Zinrai」で整理した構成要素のひとつである「判断・支援」機能をベースに、2013年10月には、”東大模試”(注5)で偏差値約60を達成するなど、2021年の東京大学入試突破を目指し、さらなる知識の拡充や構文・文脈解析の自動化を進めています。
また、2013年8月には、「Zinrai」の「知覚・認識」機能と「学習」機能を融合することで、脳の神経細胞を模したニューラルネットワークの最新技術であるDeep Learningの活用による手書き文字認識技術を開発し、2015年9月には、中国語の手書き文字認識率において、人間の認識率相当(注6)を上回る96.7%を達成しました。
このように、「Zinrai」の構成要素は、様々な分野ですでに適用されており、本日、体系化し、応用分野を明確にしたことで、今後、人の生活と社会を豊かにすべくさらにAI導入を加速してまいります。
新サービス・ソリューション
AI活用コンサルティングサービス
PoC(Proof of Concept)やPoB(Proof of Business)を通じて、お客様とのイノベーション共創を実現するAI活用コンサルティングサービスを提供します。本サービスは、当社のAI専任コンサルタントがお客様の経営課題やニーズなどをヒアリングし、「Zinrai」の技術をもとに最適なAI活用シナリオを立案することで、お客様と共にイノベーションの実現を目指します。
本サービスの提供にあたり、当社は11月1日付で、当社グループのAI関連研究者や技術者、キュレーターなど200名を統括する新組織として「AI活用コンサルティング部」を設立しました。今後、AIビジネスの成長にあわせ継続的に体制を拡大していきます。
<今後の予定>
Operational Data Management & Analytics 予兆監視
ビッグデータ利活用ソリューション「ODMA」において、「Zinrai」の構成要素である機械学習機能を実装し、機器やサービスの異常予兆を高精度で検知する「ODMA 予兆監視」を開発中です。本ソリューションの適用により、IoT技術を活用した工場やプラントの設備保全を自律化し、運用継続性をさらに向上させるなど、お客様業務の効率化を強力に支援します。ODMAは、継続的に「Zinrai」を実装したソリューションを提供予定であり、さらなるAIの導入範囲拡大に向け商品を強化していきます。
エンドースメント
人工知能は、私どもが20年ほど前に提唱した日本発、世界初の学問領域「発見科学」と密接な関連を保ちながら発展しており、非常に多くの注目と期待を集めています。これまでに培ってきた人工知能関連技術を集結し成長させることで、日本発、世界初の商品やサービスを創出し、人の生活や社会を豊かにするICT企業として富士通が世界に存在感を示していくことを期待しています。
九州大学 名誉教授 (前総長) 有川 節夫
販売価格および提供時期
サービス名 | 販売価格(税別) | 提供時期 |
---|---|---|
AI活用コンサルティングサービス | 個別見積 | 2015年12月 |
販売目標
2018年度までに、「Zinrai」関連ソリューションで累計500億円。
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
注釈
- 注1 100件を超える特許技術:
- 1985年以降、国際特許分類カテゴリ「G06N(特定の計算モデルに基づくコンピュータ・システム)」に申請・登録されている当社特許技術。
- 注2 FACOM α:
- 1984年7月に発表されたLisp言語高速処理用専用コンピュータ。
- 注3 国立情報学研究所:
- 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(所長 喜連川優)。
- 注4 人工頭脳プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」:
- 国立情報学研究所の新井紀子教授を中心として、1980年以降細分化された人工知能分野の研究を再び統合することで新たな地平を切り拓くことを目的に、2011年にスタートしたプロジェクト。目標は、2016年までに大学入試センター試験で高得点をマークし、2021年に東京大学入試を突破することであり、教科ごとにチームを編成。
- 注5 ”東大模試”:
- 代々木ゼミナール(学校法人高宮学園 代々木ゼミナール、理事長 高宮英郎)が実施。
- 注6 人間の認識率相当:
- 文書画像処理分野の国際会議(ICDAR 2013)主催の手書き文字(中国)認識コンテストで提唱された認識率。
関連リンク
- 富士通のビッグデータ
- デジタルビジネス・プラットフォーム「MetaArc(メタアーク)」
- FUJITSU Business Application Operational Data Management & Analytics
本件に関するお問い合わせ
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