PRESS RELEASE
2015年5月12日
富士通株式会社
通信キャリアのネットワークサービス創出を支援する
「ネットワークDevOpsソリューション」を体系化
SDN・NFV技術を活用し、柔軟なシステム改善や運用が可能
当社は、これまでクラウド領域で実践してきたDevOps(DevelopmentとOperationsを組み合わせた混成語、注1)の経験・ノウハウとSoftware-Defined Networking(以下、SDN、注2)とNetwork Functions Virtualisation(以下、NFV、注3)技術を統合した製品・サービス群を、通信キャリア向けのネットワーク開発および運用管理システムの領域に対して「ネットワークDevOpsソリューション」として体系化しました。また、広域仮想ネットワーク関連製品群である「FUJITSU Network Virtuora(以下、Virtuora)」シリーズの新製品「Virtuora OM」「Virtuora RV」と、「Virtuora NC」の機能エンハンスをあわせてグローバルに提供します。
「ネットワークDevOpsソリューション」は、ネットワークサービスの企画・設計・開発から導入・運用・監視までの、通信キャリアにおけるライフサイクルを総合的に支援するプラットフォームとサービス・ソリューションを体系化したものです。この体系に基づき、当社のネットワーク基盤・管理の製品群、および協業パートナーの製品群を組み合わせることで、お客様自身によるシステム改善や柔軟な運用管理が可能になり、新サービス創出のライフサイクルを早く回すことができます。
これにより、通信キャリアはネットワークサービスに対して市場ニーズの変化へスピーディーに対応できるとともに、継続的なサービス改善により、サービス品質が向上でき、IoT時代に向けたネットワーク利用者の多種多様なニーズへの対応や新たなネットワークサービスの創出が可能となります。
当社は今後も、ネットワークサービスの全ライフサイクルをトータルに支援し、IoT時代に向けたイノベーションの加速に貢献していきます。
背景
通信キャリアにおいて、これまで提供してきたネットワークサービスの品質の維持と、新しいニーズへの素早い対応の両立が課題となっています。
当社のクラウド領域では、開発と運用が一体となってシステム開発を実施していくDevOpsが実践され、新しいサービスの提供に従来何か月もかかっていたものが、日単位のレベルに短縮可能となってきています。
そこで、ネットワークサービスにおいても、SDNやNFV技術の進展により、IoT時代に向け、迅速で柔軟な新サービスの提供が求められています。
図1 「ネットワークDevOpsソリューション」が想定するライフサイクル
ネットワークDevOpsソリューション体系
当社はこのたび、通信キャリア向けに新しいネットワークサービスを創出する「ネットワークDevOpsソリューション」を新たに体系化しました。
「ネットワークDevOpsソリューション」は、これまで当社が培ってきた以下の主な技術とDevOpsの経験を統合し、サービス企画・開発から導入・運用までのライフサイクルを総合的に支援するプラットフォーム、サービスとソリューションを体系化したものです。この体系は、当社のICT基盤全体をネットワークワイドに最適化するアーキテクチャー「FUJITSU Intelligent Networking and Computing Architecture」における広域ネットワーク領域に適用するものです。
体系図は、通信キャリアにおけるライフサイクルを軸に、2014年に発表した「Virtuora」シリーズなどの製品や基盤などのネットワークプラットフォームと、すでに通信キャリア向けに提供しているNI/SIサービス、および上記二つを基盤に今後お客様のニーズにあわせて提供するネットワークソリューションの3つの領域に提供している製品・サービス群をまとめたものです。
[主な技術一覧]
- 基幹業務システムのモダナイゼーション技術(ITサービス領域)
- アジャイル開発技術(クラウド領域)
- ネットワークの抽象化・モデル化技術
- SDNやNFVといったネットワーク仮想化技術
- ポリシーベースのネットワーク最適化技術
図2 「ネットワークDevOpsソリューション」体系図
NFVライフサイクル管理ソフトウェア「Virtuora OM」、「Virtuora RV」の新規提供(新規)
お客様のネットワークを汎用PCサーバ上で仮想化し、インフラ構築からサービスの導入・運用までトータルでサポートし、サービス導入期間短縮を実現するNFVライフサイクル管理ソフトウェア製品「Virtuora OM」および「Virtuora RV」を新規提供します。
「Virtuora OM」は、クラウド環境にある汎用PCサーバ上の仮想的なリソースであるVMや仮想化されたネットワーク機能であるVNF(注4)の構成を集中管理・制御するソフトウェアです。通信サービスを選択的につなぐ当社独自のサービスチェーニング(注5)によるオンデマンドなネットワークサービスの構築や、保守運用をGUI画面で可視化するなど、高い専門知識がなくても仮想ネットワークの運用を高品質かつ効率的に行うことができます。
「Virtuora RV」は、「Virtuora OM」が設定した情報に基づき、クラウド運用管理ソフトウェア「OpenStack(注6)」やハイパーバイザ「KVM(注7)」と連携し、VNFやネットワークサービスに対して、仮想的なリソースを提供する仮想化基盤ソフトウェアです。業界標準の「OpenStack」や「KVM」で提供されないOSなどのインストール自動化機能や、VNFに対するCPUコアの固定割り当て機能を提供し、インフラ導入作業を簡易化し、導入期間の短縮や導入ミスの防止、安定したサービス運用を実現します。
図3 お客様ネットワークの構造と新製品・機能エンハンスの位置づけ
広域仮想ネットワーク運用制御・管理ソフトウェア「Virtuota NC」の機能エンハンス
「Virtuora NC」は、ネットワークの構成情報を集中管理し、仮想ネットワークの最適な経路設計、経路情報の通信機器への設定などを一元的に行う集中管理型ソフトウェアです。
今回、パケットとトランスポートの両ネットワークの統合管理・運用を実現する機能を新たに提供します。新機能では、両ネットワークにわたる回線空き状況の確認や開通依頼などの業務が軽減され、運用コストの削減とサービス提供までの期間を短縮することが可能です。
また、新たなサービス提供に必要なネットワーク設定を、お客様自身でプログラミング可能なSDK(注8)を提供します。これによりマルチベンダー環境において、最適な経路設計から通信機器の設定までを自動化し、お客様の環境に合ったネットワーク設定を従来の3分の1の時間で行うことが可能となります。
図4 マルチレイヤー環境における運用業務の効率化
販売価格、および出荷開始時期
製品名 | 販売価格(税別) | 販売開始時期 |
---|---|---|
FUJITSU Network Virtuora OM | 2,200万円より | 2015年5月 |
FUJITSU Network Virtuora RV | 550万円より | 2015年5月 |
FUJITSU Network Virtuora NC(機能エンハンス) | 1,300万円より | 2015年5月 |
販売目標
2017年度末までに売上150億円(当社の決算期は3月末日です)
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
以上
注釈
- 注1 DevOps:
- 開発(Development)と運用(Operations)が協力することで頻繁なリリースを可能とするソフトウェア開発手法。
- 注2 SDN:
- Software Defined Networkingの略称。ソフトウェアにより、構成や機能を定義・制御することが可能なネットワークを構築する技術全般の事。
- 注3 NFV:
- Network Functions Virtualisationの略称。既存網のネットワーク機能を仮想化する技術全般の事。
- 注4 VNF:
- Virtual Network Functionの略称。仮想化されたネットワーク機能。
- 注5 サービスチェーニング:
- ネットワークに複数存在する機能(ネットワークアドレス変換、ファイヤーウォール、不正侵入監視、セション制御、コンテンツ配信など)をサービスごとに選択して利用する事。
- 注6 OpenStack:
- 2010年にRackspace HostingとNASAによって始められたIaaSクラウドコンピューティングプロジェクト。
- 注7 KVM:
- Kernel-based Virtual Machineの略称。Linux上で仮想化環境を利用するためのソフトウェア。
- 注8 SDK:
- Software Development Kitの略称。ソフトウェア技術者が使用する開発ツール、およびライブラリ群の事。
- 注9 OTN:
- Optical Transport Networkの略称。
- 注10 トランスポート管理制御装置 / トランスポート機器:
- トランスポート管理制御装置としてNETSMART1500、トランスポート機器としてFLASHWAVE 9500のOTN機能を使用することで実現可能です。
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