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PRESS RELEASE （技術）

2014年11月17日
株式会社富士通研究所

モノに情報を付与できるLED照明技術の開発に成功

実世界の様々なモノでICTの付加価値向上を実現

11月19日（水曜日）・20日（木曜日）にドイツ・ミュンヘンで開催される展示会「Fujitsu Forum 2014」に本技術を出展する予定です。

開発の背景

近年、スマートデバイスの普及やクラウドにアクセスするための通信環境の整備が進むにつれて、ユーザーがいつでもどこでも目の前のモノについてその場で検索して関連情報を入手する場面が一般化してきました。実世界の様々なモノをネットワークサービスに繋ぐ試みが増えており、それを支える従来技術として、NFCタグやQRコードなどの識別情報をモノに直接貼り付ける方法があります。また、モノに情報を貼り付けるのではなく、その位置に情報サービスを関連づける方法として、GPS（Global Positioning System）のような直接的に位置情報を取得する手段や、Bluetooth、超音波、可視光通信などを用いて、電波、音、光などを利用する方法もすでに実用化されています。

課題

識別情報をモノに直接貼り付けると、美観を損ねたり対応機種が限られたりするという課題があります。一方、モノの位置を利用すると、店舗やコーナーごとのエリア単位の情報をユーザーに配布するのには適している反面、目の前にある商品など個々のモノ単位で異なる情報を付与するといった、より細かい個体の情報配信への適用は難しい場合がありました。

開発した技術

今回、LED照明から発する光の色を人の目には見えないレベルで変化させ、その光を照射したモノにID情報を付与する技術を開発しました。

開発した技術の特長は以下のとおりです。

1. 色変調による情報埋め込み技術

   カラーLEDはRGBの3色の光を合成して様々な色の光を照射することが可能です。RGBの各色成分から発する光の強弱を時間方向で制御し、わずかに変化させることによってモノを識別するID情報を表現します。

   1つのLED照明につき、1つのID情報を付与します。

   
   図1 色変調による情報の表現と受信

2. 反射補正技術

   光がモノの表面で反射する際に反射率に応じて光の一部が吸収されたり、反射したりします。RGBの各波長に埋め込んだ信号は、反射時に一部が吸収されることによって弱くなってしまうことがあるため、カメラで撮影した映像に対して反射を考慮した補正を行うことによって、情報の検出精度を高めることに成功しました。

   
   図2 反射補正による高精度化

効果

本技術により、光を照射されたモノや人物に例えばスマートフォンをかざすだけでモノにID情報を付加することが可能となり、IDに対応する関連情報をスマートフォン経由で取得できます。これにより、例えば以下のような様々なサービスへの展開が可能になります。

• 商品にスマートフォンをかざすだけで、商品情報を提供し、将来的には自動決済や配送なども実現可能
• 博物館、美術館で展示物にスマートフォンをかざすだけで解説動画をストリーミング再生
• 舞台上のタレントにスマートフォンをかざすだけで歌っている楽曲をダウンロード
• 観光地の歴史的建造物や看板などにスマートフォンをかざすだけでより詳しい情報や解説を母国語で表示

また、本技術はLED照明に限らず、例えば、プロジェクターの照明に応用することも可能です。

今後

富士通研究所は、様々な設置環境で評価検証するとともに本技術の精度をさらに向上し、2015年度中の実用化を目指します。

注釈

注1 株式会社富士通研究所：

代表取締役社長 佐相秀幸、本社 神奈川県川崎市。

関連リンク

• テレビ映像を携帯電話で撮影するだけで情報の取得を可能にする新しい通信技術を開発（2012年6月4日 プレスリリース）
• PC画面を携帯電話やタブレットで撮影するだけでファイルの転送を可能にする技術を開発（2013年1月21日 プレスリリース）
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