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PRESS RELEASE (サーバ)

2014年3月26日
富士通株式会社

理化学研究所 放射光科学総合研究センター様にて
新スーパーコンピュータシステムが稼働

X線自由電子レーザー施設SACLAの解析を加速する「PRIMEHPC FX10」

当社はこのほど、独立行政法人 理化学研究所 放射光科学総合研究センター(所在地:兵庫県佐用郡佐用町、センター長:石川 哲也、以下、理研)様より受注した新スーパーコンピュータシステムの構築を完了しました。

新システムの中核には、当社のスーパーコンピュータ「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX10(フジツウ スーパーコンピュータ プライムエイチピーシー エフエックステン」(以下、PRIMEHPC FX10)が採用され、理論演算性能90.8テラフロップス(以下、TFLOPS)(注1)を実現し、2014年4月より稼働開始予定です。

理研様は現在、X線自由電子レーザー(XFEL)施設SACLA(注2)から得られる膨大な実験データをスーパーコンピュータ「京(けい)」(注3)などで解析することを計画し、ナノ物質の構造や機能の解明に取り組まれています。

このたび採用された「PRIMEHPC FX10」では、「京」を使った詳細解析の前にターゲットの絞込みなどの事前解析を行うとともに、実験データの特性に合わせた解析ソフトウェアの開発を行います。これにより、「京」におけるデータ解析が効率化され、ナノ物質の構造解析に要する時間を大幅に短縮することが可能となります。新材料開発やバイオ分野での産業応用など、研究成果創出の加速に貢献することが期待されています。

「PRIMEHPC FX10」
「PRIMEHPC FX10」

新スーパーコンピュータシステム導入の背景

SACLAでは世界最短波長(0.06ナノメートル)かつ10フェムト秒(100兆分の1秒)という短パルスの強力なX線レーザー光を発振させることができるため、原子や分子の瞬間的な動きを観察することが可能です。これにより、これまで未知の世界であった原子・分子レベルでの物質の構造や性質を調べることができます。

このSACLAから得られる実験データは、1実験あたり最大100テラバイト(以下、TB)に達する膨大なものであり、詳細な解析には大規模な計算環境が必要なことから、「京」を利用することが計画されています。

このたび「PRIMEHPC FX10」は「京」による計算の前に行う解析システム向けに導入されました。「PRIMEHPC FX10」は「京」で利用するアプリケーションと互換性があるため、実験データの特性に合わせた解析ソフトウェアの開発や、「京」を利用した詳細解析にかけるターゲットの絞込みを可能とし、ナノ物質の構造・解析時間の大幅な短縮を実現します。例えば、SACLAで取得される100万枚にもおよぶ2次元パターンを分類する解析では、既設のスーパーコンピュータでは2週間の解析時間がかかるところを「京」を利用することにより4時間まで短縮できる見込みです。

新スーパーコンピュータシステムの概要

「PRIMEHPC FX10」は、「京」に適用した当社スパコン技術をさらに向上させて開発した高性能、高拡張性、高信頼性、かつ省電力性に優れたスーパーコンピュータです。本システムは、「PRIMEHPC FX10」4ラック、384ノード構成で、理論演算性能90.8TFLOPSを実現しています。また、HPCミドルウェアとして、「Technical Computing Suite」、ログインノードなどとして、PCサーバ「FUJITSU Server PRIMERGY RX300 S8(フジツウ サーバ プライマジー アールエックス300 エスエイト)」11台をあわせて導入されます。ストレージとしては、合計容量600TBとなるストレージシステム「FUJITSU Storage ETERNUS DX80 S2(フジツウ ストレージ エターナス ディーエックス80 エスツー)」を導入、そのファイルシステムは高性能スケーラブルファイルシステムソフトウェア「FEFS(エフ・イー・エフ・エス)」(注4)によって構築されます。

今回導入するスーパーコンピュータシステムの仕様は以下のとおりです。

新システムの主な構成
計算ノード 「PRIMEHPC FX10」
ラック数 4
計算ノード数(CPU数) 384(384)
理論演算性能 90.8TFLOPS
総主記憶容量 12TB
インターコネクト Tofuインターコネクト(6次元メッシュ/トーラス)
ログインノード/管理サーバ群 「PRIMERGY RX300 S8」 11台
制御サーバ共有ディスク 「ETERNUS JX40」 1台
ローカルファイルシステム 「ETERNUS DX80 S2」 13台
100TB
グローバルファイルシステム 「ETERNUS DX80 S2」 5台
500TB
ファイルシステム 「FEFS」

今後の展望

先端基盤施設であるSACLAと「京」の効率的な連携によって、世界最先端の研究インフラを日本の産業界に提供することが可能となり、創薬や新材料の開発、燃料電池から「超」集積回路開発まで、様々な分野でのイノベーション創出が期待されています。

当社は新システムを通じて30年以上にわたるHPCサポートで蓄積したノウハウを活かし、理研様のあらゆる研究開発・解析業務をトータルでサポートしてまいります。

独立行政法人 理化学研究所 放射光科学総合研究センター グループディレクター 矢橋 牧名様からのコメント

SACLAは供用開始後2年が経過し、様々な実験が順調に立ち上がってきました。高い加速器技術・光学技術によって構成されるSACLAは、世界で最も安定なXFELと評価されており、XFEL光の試料への命中率(ヒット率)も、当初の予想をはるかに上回っています。目下の最大の課題は、日々生み出される膨大なデータに対する迅速な解析の実現です。「PRIMEHPC FX10」の導入により、解析時間の劇的な短縮とともに、「京」とSACLAという我が国の2つの国家基幹技術の融合利用が進展し、幅広い学術・産業におけるイノベーション創出につながることが期待されます。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 テラフロップス:
Tera FLoating-point Operations Per Secondの略。Teraは1兆(10の12乗)のことで、毎秒1兆回の実数演算ができることを表します。
注2 X線自由電子レーザー(XFEL)施設SACLA:
国家基幹技術の一つとして整備された、物質の原子レベルでの構造およびその超高速動態・変化を解析できる世界最先端の研究施設。平成24年3月から供用運転を開始。
注3 スーパーコンピュータ「京(けい)」:
文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」プログラムの中核システムとして、理研と富士通が共同で開発を行い、2012年9月に共用を開始した計算速度10ペタフロップス級のスーパーコンピュータ。
注4 「FEFS(エフ・イー・エフ・エス)」:
「FEFS」の名称は「Fujitsu Exabyte File System」の頭文字に由来。10万ノード規模で共有できる高性能分散ファイルシステム。

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