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PRESS RELEASE

2014年3月20日
公益財団法人九州先端科学技術研究所
富士通株式会社
株式会社富士通研究所

次世代のエクサスケールスパコンに向けた
プログラム高速化をビッグデータ分析で実現する技術を共同開発

公益財団法人九州先端科学技術研究所(所在地 福岡市早良区、理事長 貫 正義、以下 ISIT)、富士通株式会社(本社 東京都港区、代表取締役社長 山本正已、以下 富士通)、株式会社富士通研究所(本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 富田達夫、以下 富士通研究所)は、産学官連携の共同研究を実施し、次世代のエクサスケールスーパーコンピュータ(注1)に向けたユーザープログラムの高速化に関して、ビッグデータ解析による自動高速化手法を確立し、従来の人手による高速化手法と比べて平均65%以上の実行速度高速化を実現する技術を開発しました。

従来、ユーザーが経験を元に試行錯誤でプログラムの最適化オプションを決めていたため、限られた時間で高性能を引き出すことが困難でした。本技術では、これまでにコンパイル、実行された多種多様なユーザープログラムの特徴、用いた最適化オプションの組合せ、そしてユーザープログラムを実行した際の性能を蓄積して活用することで人手によらないプログラム高速化を実現しています。これにより、スーパーコンピュータの資源を無駄なく活用することが可能になります。

今回開発した技術は、ユーザーが記述したプログラムをコンピュータが実行できる形式に翻訳するコンパイラと呼ばれるシステムソフトウェアに関わるものです。コンパイラは、プログラムを高速化するための様々な最適化手法を有していますが、適用する最適化手法は、一般的にユーザーからの指示(最適化オプション)に基づいて決定します。最適化オプションを指定する方法では、数百万通りの膨大な最適化オプションの組合せの中から的確な組合せを選択する必要があります。しかし、限られた時間の中でユーザーが最適な組み合わせを見出すことは事実上不可能であり、ユーザーは経験を元に試行錯誤で最適化オプションを決めていました。このため、最高性能を出すことが困難であったり、ユーザーの経験の差でプログラムの性能に差が生じたりといった問題がありました。

そこで、ユーザーに代わって最適化オプションの指定を自動的に行う技術を開発しました。その原理は、これまでにコンパイル、実行された多種多様なユーザープログラムを対象に、その特徴、用いた最適化オプションの組合せ、そしてそのユーザープログラムを実行した際の性能を蓄積し、これらのデータをビッグデータとして機械学習で分析することで、これからコンパイルしようとする新たなユーザープログラムにとって最良の最適化オプションの組合せを推定します。この技術はユーザープログラムの高速化を図る上で画期的(注2)なものであり、これまでの実験により従来の人手による最適化オプション指定に比べて、平均で65%、最大で3倍以上もの高速化が可能であることが確認できました。

本技術の中で、ユーザープログラムの特徴決定とシステム試作は九州大学の村上研究室とISITのシステムアーキテクチャ研究室が共同で実施しました。また、ビックデータ解析に基づいて実施されるユーザープログラムの解析と最適化技術には富士通および富士通研究所の技術が適用されています。

今後、ISIT、富士通、および、富士通研究所は実用化に向けて開発した技術を関連研究機関の試用を通して、データの蓄積を増やして予測の精度を更に向上させ、引き続き、我が国のスーパーコンピュータ開発、利活用技術の研究開発を推進していきます。

商標について

記載されている商品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 エクサスケールスーパーコンピュータ:
各国で2020年頃の稼働を目指して検討が進められている次世代スパコン。エクサは1兆の100万倍。
注2 画期的:
他に類似の技術として、仏INRIA研究所のcTuningプロジェクトがある。
http://ctuning.org

本件に関するお問い合わせ

公益財団法人九州先端科学技術研究所
トルヴェ、吉松、土岩
電話 092-852-3453 または 092-852-3451
メール compiler@isit.or.jp

株式会社富士通研究所
ICTシステム研究所 データプラットフォーム研究部
電話 044-754-2632(直通)
メール ml-compiler@ml.labs.fujitsu.com


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