このページの本文へ移動
  1. ホーム >
  2. プレスリリース >
  3. 富士通研究所と台湾の工業技術研究院が防災に関する共同研究を開始

PRESS RELEASE (技術)

2014年1月8日
株式会社富士通研究所
工業技術研究院

富士通研究所と台湾の工業技術研究院が防災に関する共同研究を開始

自律型センサーネットワーク技術を応用し、安心安全な社会の実現に貢献

株式会社富士通研究所(本社:神奈川県川崎市、代表取締役社長:富田達夫、以下 富士通研究所)と台湾の研究機関である工業技術研究院(本部:台湾新竹県竹東鎮、院長:徐爵民)は、防災分野において人手を介さずに機器同士が情報伝達を行う自律型センサーネットワーク技術に関する共同研究を開始しました。

現在、世界各地で自然災害が発生し大きな問題となっていますが、従来の減災・防災に関連するレーザー計測などの技術では測定機器のコストやメンテナンスの手間から限られたエリアの測定しかできないという課題がありました。

本共同研究は、自律型センサーネットワーク技術の防災システムへの適用を想定しています。多数の無線センサーが連携し、一部のセンサーが発電量不足や故障により機能しなくてもシステムが継続的に動作可能で、広域かつ網羅的に環境データを取得する技術開発を行います。さらに地すべりや土砂災害などを対象に減災・防災試験システムを構築し、実証実験を行っていきます。

工業技術研究院について

工業技術研究院(Industrial Technology Research Institute、以下ITRI)は、1973年に設立された台湾政府直轄の組織で、応用研究、技術開発を行う研究開発センターです。国内外の主要機関、企業との積極的な交流活動を展開し、先進的、革新的な技術創出に貢献しています。

背景と課題

近年、風水害などによる自然災害が世界各地で発生しています。従来の防災・減災に関連する技術では、例えば地すべりなどに対する地質のデータ収集や、予兆の分析手法として、レーザー計測や、斜面を掘削して高精度ひずみ計を埋設した測定分析を行う技術などがありました(図1) 。

しかし、測定機器自体が高価なことに加え、配線や設置、電池交換などの手間がかかるため限られたエリアの測定しかできず、結果的に広域で網羅的なデータを取得することができませんでした。

図1:従来の技術による測定
図1:従来の技術による測定

共同研究の概要

富士通研究所とITRIは、測定地域を面として広域かつ網羅的にデータを収集する技術開発を行います。自己発電を行う多数のセンサーが無線で結合され、自律的に連携するM2M(注1)ネットワークにより、崩落が発生しそうな場所のデータを収集するシステムを開発します(図2)。

図2:自律型センサーネットワークシステムによる測定
図2:自律型センサーネットワークシステムによる測定

ITRI

主にセンサーノード開発を担当し、センサー・通信ネットワーク・無線ソフトウェア・電力制御の研究開発を行います。センサーノードを地すべりが発生しそうな場所に多数配置し、サーバに送信されたデータを現地大学の土木工学の専門家の協力を得ながら分析を行います。自主開発したソーラーアンテナの技術を用い、効率のよい通信と発電の両立を実現します。

富士通研究所

主に多数のセンサーノードを自律制御するソフトウェア開発を担当し、遠隔制御やセンサー間の通信エラー回避の研究開発を行います。組み込みソフトウェアや分散処理の技術により、無線通信時のノイズやセンサー故障が発生しても周りのセンサー同士が連携できる仕組みを構築します。これにより環境変化に起因する故障に強いシステムを実現します。

富士通研究所とITRI双方の技術の長所を融合することで、自律型センサーネットワーク技術を確立し、将来、防災・減災に関するデータ収集と分析システムへの活用に限らず、幅広く応用を行っていきます。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 M2M:
Machine to Machine。ネットワークにつながれた機械同士が人間を介さずに情報交換して動作するシステム。

本件に関するお問い合わせ

株式会社富士通研究所
ユビキタスプラットフォーム研究所 アンビエントプラットフォーム研究部
電話 044-754-2781(直通)
メール m2m-disaster-prevention@ml.labs.fujitsu.com

工業技術研究院
情報通信研究所
電話 +886-3-591-4545(直通)
メール alicepai@itri.org.tw


プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。