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PRESS RELEASE (技術)

2014年1月27日
富士通株式会社

(本資料は、Fujitsu Laboratories of America, Inc.が発行したプレスリリースの抄訳です。)

検索を知識に繋げる新しい学習手法である
キュレーション・ラーニングと支援プラットフォームを開発

[米国カリフォルニア州サニーベール発 1月24日] Fujitsu Laboratories of America, Inc. (注1)は、ICTを活用したコミュニケーション能力や批判的思考力など、これからの情報化社会に求められるスキルを養うための新たな学習手法であるキュレーション・ラーニングと支援するプラットフォームを開発しました。

本手法は、学習者が単に情報の獲得だけではなく情報を知識に変えていくことを目的として、能動的に「さがす」「まとめる」「ひろげる」といったサイクルを回しながら学習を行います。Fujitsu Laboratories of America, Inc.では、検索や分析など開発技術の精度をさらに向上させ、大学や企業で活用可能な大規模なオンライン学習システムへの適用を推進します。

本手法の詳細は、1月22日(水曜日)から米国・ラスベガスで開催される国際会議「ASTD (American Society for Training and Development) 2014 TechKnowledge® Conference」にて発表します。

開発の背景

近年、21世紀の教育のあり方を変える大きな潮流として、インターネットを活用した場所と時間を選ばないオープンエデュケーションや学習者中心の学びのスタイルが北米を中心に注目されています。Fujitsu Laboratories of America, Inc.では、ICTの活用により、批判的思考力、コミュニケーション能力、コラボレーション能力、情報リテラシーといった21世紀型のスキルや創造力やイノベーションを起こすことができる力の養成を目指し、教育分野におけるヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティの実現に向けた研究を2011年より推進してきました。

課題

MIT(Massachusetts Institute of Technology)(注2)とFujitsu Laboratories of America, Inc.は共同で初等・中等の理数系教育に関する調査研究を実施し、その一環として教職員や教育行政職員を主な対象としたインタビューやアンケートを米国で行いました。その結果、米国だけでなく世界の初等・中等の理数系教育において、教師の指導力向上を目指した教師教育の重要性が明らかになりました。また、日本においても、理数系教育を中心に批判的思考力など、高次の学習スキルの育成が教育目標として掲げられるようになりました。しかしながら、これら21世紀型のスキル向上を一貫してサポートできるプラットフォームはこれまでありませんでした。

開発した技術

MITとの共同研究の結果をもとに、ウェブ上で学習者が自分の興味・関心に基づいて自発的に必要な情報を効率良くさがすと共に、各自が自分の考え・意見を加えてまとめ、まとめた結果をほかの学習者にひろげて相互に学びあう、キュレーション・ラーニングを支援するプラットフォーム(図1)を開発しました。教師がこのプラットフォームを活用することにより、学習者の能動的な授業への参加と授業中または授業外での生徒の批判的思考力、コミュニケーション能力、ICTリテラシーなど、21世紀型のスキルで求められる能力の醸成を促します。

開発したプラットフォームの主な機能は以下のとおりです。

  • 検索先のカスタマイズ: 授業目的に沿ったコンテンツのみを効率的に収集することで、学習者に適したコンテンツのみを検索する機能。
  • まとめた結果の検索: ウェブからの検索結果に加え、学習者がまとめた結果も検索可能とすることで、より価値の高いコンテンツを見つける機能。
  • 多様な形式のコンテンツに対応したまとめの作成: SNS、ブログ、ビデオ、写真などの様々な形式のコンテンツをキュレーション・リストに追加し、学習者自身の意見や考えを付箋として貼り付けて、まとめを作成する機能。
  • グループによる協働作業: 1つの課題に対し、複数の学習者が協力してまとめを作成する機能。
  • 習得した知識の可視化: 学習者がまとめた結果を分析し、学習トピックをキーワードレベルで可視化することで、習得した知識を容易に把握する機能。
  • 学習コミュニティー: 学習者の学習記録をもとに興味や嗜好の近い学習者を推薦し、学習コミュニティー形成をサポートする機能。

図1 キュレーション・ラーニングを支援するプラットフォーム
図1 キュレーション・ラーニングを支援するプラットフォーム

効果

キュレーション・ラーニングによって以下のスキル向上が期待できます。

  • さがす: データの価値・意義を見いだす力、複数の領域から概念を理解する力、データの選別・概念化(テーマ、トピック探し)、分析、批判的思考、デザイン思考・問題解決力の育成など
  • まとめる: 探した情報に基づいた異文化の理解や学習する能力、創造力など
  • ひろげる: コミュニケーション能力、コラボレーション能力、問題解決能力

Fujitsu Laboratories of America, Inc.は、2012年度から2013年度にかけて、カリフォルニア大学バークレー校のアスリート学生を対象としたチュータリング・プログラムやカリフォルニア州における公立大学の授業でキュレーション・ラーニングの適用実験を行いました。その結果、ウェブ上の学習コンテンツを組み合わせて再利用し、特定の学習者のニーズに特化した教材を簡単にまとめたり、複数の学習者が協働でまとめを作成することによって、従来と比較して、より短時間で品質の高い教材を作成できることが明らかになりました。まとめの共有により学習者間のコミュニケーションも活性化し、従来の演習課題と比較して学習者の意欲向上にもつながりました。

また、上記の北米における大学だけでなく、弊社の社内業務においても、キュレーション・ラーニングの適用実験を行っています。

これらのキュレーション・ラーニングの実践や適用実験にて得られた効果や気づきに関し、人材開発・組織開発に関する世界最大の組織であるASTDの「ASTD 2014 TechKnowledge® Conference」にて発表します。

今後

Fujitsu Laboratories of America, Inc.では、適用実験の結果を元にプラットフォーム上に蓄積されるデータを活用した学習者行動分析技術を開発・実装していく予定です。今後は、富士通のお客様である大学や企業における大規模なオンライン学習システムへの適用を推進していきます。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 Fujitsu Laboratories of America, Inc.:
President & CEO木村康則、米国Sunnyvale, CA。
注2 Massachusetts Institute of Technology:
学長L. ラファエル・ライフ(L. Rafael Reif)、所在地 マサチューセッツ州ケンブリッジ市。http://web.mit.edu/

本件に関するお問い合わせ

株式会社富士通研究所
ソーシャルイノベーション研究所 第二ソリューション研究部
電話 044-754-2674(直通)
メール fla_curation@us.fujitsu.com


プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。