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PRESS RELEASE (ソフトウェア)

2013年12月10日
富士通株式会社

世界初!磁界シミュレータ「EXAMAG LLGシミュレータ V1」を販売開始

磁性体の微細な構造を解析する大規模なマイクロマグネティックシミュレーションを実現

当社は、大規模な並列計算に対応した世界初(注1)の磁界シミュレーションパッケージソフトウェア「FUJITSU Manufacturing Industry Solution EXAMAG LLGシミュレータ V1」(注2)を、本日より販売開始します。

本製品は、当社と株式会社富士通研究所(注3)が長年培ってきた大規模な並列計算の技術を適用するとともに、マイクロマグネティックス(注4)の手法と有限要素法(注5)を組み合わせ、複雑な形状の磁性材料を従来の数十倍の体積に対してPCサーバ上で解析することが可能になりました。

また、本製品を、新規磁性材料の開発やHDD用磁気ヘッドやメモリデバイスといった磁気デバイスの設計に活用することで、物理的な試作の回数の削減や、環境負荷低減への貢献が期待されます。

磁性材料は、HDD用磁気ヘッドやメモリデバイス、DC/DCコンバーター、非接触給電といった磁気デバイスに幅広く用いられております。それらのデバイスの高機能化や高効率化の要求から磁性材料の特性を考慮した最適設計が大きな課題となっています。例えば、HDD用磁気ヘッドは、記録と再生の能力のみならず安定性も非常に重要であり、磁性材料の磁気的な特性に加えてデバイスの微細な形状をも含めた解析が必要とされています。

磁性体の中の微細構造を解析できるマイクロマグネティックスの手法は、このような解析には最適な手法です。しかし、本手法は、磁性材料を数原子程度の非常に小さな領域に分割する必要があるだけでなく、従来は、直交格子が用いられていたため複雑な形状を持った対象の計算には限界があり、十分活用することができませんでした。

これらの課題に対応するため、本製品においては、大規模な並列計算の機能を実装するとともに、複雑な形状の磁性材料を扱えるよう本手法に有限要素法を組み合わせ、大規模なマイクロマグネティックシミュレーションの実行を可能としました。

EXAMAG LLGシミュレータ V1の特長

  1. 大規模な並列計算機能の実装

    マイクロマグネティックス計算において磁性材料の微細構造を考慮した解析を行うには、計算領域をナノメートルオーダー(注6)の非常に小さな領域に分割する必要があります。このため、計算時のメモリ使用量が膨大になるだけでなく、計算にも多大の時間を要していました。磁性材料の微細構造の解析を行うため、本シミュレータではMPI並列計算(注7)を実装しました。これにより、高速計算が可能となるだけでなく、複数のPCサーバのメモリを有効活用でき1000万格子を超える大規模計算も可能となりました。

  2. 有限要素法をベースとしたマイクロマグネティックス計算
    図1. 磁気ヘッドの微細構造のモデル
    図1. 磁気ヘッドの微細構造のモデル

    従来のマイクロマグネティックス計算では直交格子が用いられていました。このため、複雑な形状を持った対象を精度良く計算するには限界がありました。今回、有限要素法を採用することにより、直交格子では表現が困難な磁性材料の微細構造や、複雑形状を有する磁気デバイスの最適設計に向けた解析が可能となりました。

販売価格および提供時期

販売価格および提供時期
ソフトウェア名 販売価格(税別)※ 提供時期
EXAMAG LLGシミュレータV1 4並列 300万円 2013年12月10日より
EXAMAG LLGシミュレータV1 8並列 570万円
EXAMAG LLGシミュレータV1 16並列 800万円

※年間ライセンス + 年間サポート(保守)での提供価格。16並列超の価格については、以下の《本件に関するお問い合わせ》までお問い合わせください。

動作環境

ハードウェア  :  「FUJITSU Server PRIMERGY」などのIAサーバ(PCサーバ)
CPU  :  Intel® Core™2 1.8GHz以上
メモリ  :  4GB以上
OS  :  Red Hat® Enterprise Linux® 6.0以上

商標について

記載されている商品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 世界初:
2013年12月当社調べ。
注2 LLGシミュレータ:
ランダウ(Landau)-リフシッツ(Lifshitz)-ギルバート(Gilbert)の3名の物理学者に由来する磁化の運動方程式をLLG方程式といいます。本製品はこの方程式に基づくシミュレータです。
注3 株式会社富士通研究所:
代表取締役社長 富田達夫、本社 神奈川県川崎市。
注4 マイクロマグネティックス:
磁性材料の内部の微細な磁化状態を解析する手法。計算機シミュレーションにおいては磁性材料を数原子程度の領域に分割する必要があるため膨大な計算時間を要します。
注5 有限要素法:
数値解析手法のひとつ。構造解析や電磁界解析で広く適用されています。
注6 ナノメートル:
1ナノメートルは100万分の1ミリメートル。
注7 MPI並列計算:
MPI(Message Passing Interface)ライブラリによって、ネットワークで接続された複数の計算機上で並列計算を行う方法です。

本件に関するお問い合わせ

次世代テクニカルコンピューティング開発本部
電話 044-754-8768(直通)
メール examag@cs.jp.fujitsu.com


プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。