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PRESS RELEASE (技術・導入事例)

2013年11月15日
富士通株式会社

世界初!スマートメーター向け通信技術が国際標準化推進団体の承認を取得

関西電力様の大規模スマートメーターシステムに導入、安定稼働を実現

当社が2009年に開発したアドホック通信技術(注1)が、世界で初めて(注2)、スマートメーター向け無線通信のデータ転送技術として、インターネット技術標準化団体のIETF(注3)でRFC(注4)承認されました。

各家庭に設置することを想定したスマートメーターは、様々な設置環境下においても安定した通信接続の維持が必要といった技術的課題がありました。こうした課題を解決し、ラストワンマイルの構築を容易にする技術が、当社アドホック通信技術です。

本技術は、スマートメーターなどの通信システムに組み込まれることを目的とした、設定することなくネットワークを自動構築する自律分散型ネットワーク技術です。これにより、既存の通信技術では難しかった大規模でも安定した無線ネットワーク通信が可能となります。

スマートメーターの導入で先行する関西電力株式会社(本社:大阪市北区、取締役社長:八木 誠、以下、関西電力)様では、本技術を活用して、電気使用量の収集や開閉器制御などを可能とする双方向通信を実現しています。本技術は、すでに関西電力様の200万台を超える大規模スマートメーターシステムに導入され、安定的に稼働しています。これにより、関西電力様は、検針業務などの効率化に加え、電気使用量のきめ細かな見える化サービスの提供などを実施しています。

本技術が、今回のRFC承認により国際的にオープン標準として認められたことで、これまで以上に、当社は国内外の電力会社様や機器メーカー様にアドホック技術「WisReed(ウィズリード)」として、積極的な提案活動をしていきます。

当社アドホック通信技術について

当社アドホック通信技術は、通信機器に組み込まれ、設定しなくても通信機器同士がお互いを自動的に認識し、ネットワークを形成できる、新しい通信技術です。

従来の無線アドホック通信技術では、個々の通信機器が通信経路を自動的に発見してネットワークを構築する際に使用する制御パケットが、ネットワーク帯域を圧迫し、通信ができなくなる問題を抱えていました。今回、当社の独自アルゴリズムを加えることで、1つの集約装置に対する通信機器の接続可能台数を、従来の数十台程度から、1,000台以上にまで増やすことができるため、集約装置の台数を大幅に削減することが可能となりました。また、ネットワークや通信機器の障害時やトラフィック増大時に、個々の機器が自律的に迂回経路を選択することができるため、通信を自動的に修復・維持することができます。

当社アドホック通信技術イメージ図

IETFとRFC承認の意義

IETFは、インターネット技術の標準化を推進する任意団体であり、IETFで承認された技術仕様は、RFCとして公式に文書化・公開されます。

当社アドホック通信技術は、IETF関係者による相互接続試験を通じ、通信品質が安定しない無線ネットワーク環境においても、データ到達率が従来技術より高く、スマートメーターなどの大規模ネットワークに適したデータ転送技術としてその有用性と技術仕様の完成度が評価され、このたび、研究成果を公開する「Experimental RFC(注5)」として承認されました。

今回の承認により、国内外の多くの電力会社様や機器メーカー様が標準仕様を閲覧・活用することができるようになり、本技術方式を実装した通信機器間で相互接続が可能となります。

関西電力様のスマートメーターシステムについて

スマートメーター
スマートメーター

関西電力様は、お客様サービスの向上や業務運営の効率化を目指し、1999年に、業界でいち早くメーターに通信機能を持たせ、検針業務の自動化やメーターの開閉業務を遠隔で実施するスマートメーターシステムの研究・開発に着手されました。2008年からは、当社アドホック通信技術を活用したスマートメーターの試験導入を開始しています。これまで200万台以上のスマートメーターを導入され安定的にシステムが稼働しており、最終的には約1,300万台の導入を目指されます。

関西電力様は、本システムにより、家庭ごとの電気使用量データを30分ごとに遠隔収集することを実現しました。データセンターにて、収集した電気使用量データを元に、お客様の契約内容に応じた電気料金を計算するとともに、電気使用量の見える化サービスなどによるお客様サービスの向上に活用されています。また、電気使用量のデータを活用することで設備投資の抑制にも取り組まれています。

今後の取り組み

当社は今後も、国内外の複数の電力会社における実証実験の実績を元に、電力会社様のスマートメーターの展開に貢献していきます。さらに、災害や構造物の監視など、センサーネットワーク分野への活用など様々な社会システムを支えるスマートネットワークの実現に向け、実フィールドでの実績を積み上げながら技術の汎用性と信頼性を向上させ、本技術方式のさらなる普及を目指していきます。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 アドホック通信技術:
通信機器同士が自動的にネットワーク網を構築し、バケツリレー式にデータを目標まで伝達する通信技術。
注2 世界で初めて:
Low power and Lossy Network(低消費電力&高パケット損失ネットワーク)におけるデータ転送技術におけるマルチホップデータ転送技術において世界初。
注3 IETF:
Internet Engineering Task Forceの略称。インターネット技術タスクフォース。インターネット技術の国際標準を議論し、策定している組織。
注4 RFC:
Request for Commentsの略称。IETFにより策定された技術仕様の保存、公開形式のこと。
注5 Experimental RFC:
インターネットに関連する様々な研究成果や実験結果のうち、公開して共有すべきだと思われる内容を示す分類においてRFCを取得したもの。

関連リンク

本件に関するお問い合わせ

富士通コンタクトライン
電話 0120-933-200
受付時間: 9時~17時30分(土曜日・日曜日・祝日・年末年始を除く)


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