このページの本文へ移動
  1. ホーム >
  2. プレスリリース >
  3. 世界初!汎用的な10Gbps用の部品で100Gbpsの高速通信を実現する光伝送技術を開発

PRESS RELEASE (技術)

2013年3月14日
株式会社富士通研究所
富士通研究開発中心有限公司

世界初!汎用的な10Gbps用の部品で100Gbpsの高速通信を実現する光伝送技術を開発

次世代データセンター向け400Gbpsイーサネット用トランシーバの実現が可能に

株式会社富士通研究所(注1)と富士通研究開発中心有限公司(注2)は、汎用的な毎秒10ギガビット(Gbps)用の部品で100Gbpsの高速通信を実現する光伝送技術を世界で初めて開発しました。

従来、データの伝送速度を向上するためには高速化に対応した部品が必要となり、汎用的な部品を用いることができませんでした。また、これまでの単純な変復調方式を用いた伝送方式では高速化に限界がありました。今回、デジタル信号処理を用いたDMT(Discrete Multi-Tone)変復調方式(注3)を適用することで汎用的な10Gbps用の部品で1チャネルあたり100Gbpsの伝送を実現しました。

本技術を4チャネル構成の光送受信器に適用することで、次世代データセンターでの適用が期待されている400Gbpsイーサネット用トランシーバの実現が可能となり、クラウドサービスを支えるデータセンターの処理能力の向上(データ転送の高速化)が期待されます。

本技術の詳細は、3月17日(日曜日)から米国カリフォルニア州アナハイムで開催される国際会議「OFC/NFOEC2013(Optical Fiber Communication Conference and National Fiber Optic Engineers Conference)」にて発表し、同展示会の富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社ブースで” DMT Modulation Format 400GbE Transmission Demonstration”として動展示を行います。

開発の背景

近年、クラウドコンピューティング、クラウドサービスの普及に伴い、データセンターにおいてもデータ処理能力やデータ伝送速度の向上がより一層求められています。データ伝送に使用される光送受信器は、現在4チャネルの構成で100Gbpsを伝送するトランシーバが実用化されていますが、次世代データセンター向けには400Gbpsイーサネット用のトランシーバの実現が期待されています。


図1 本技術の適用範囲

課題

データの伝送速度を向上するためには送信回路や受信回路を高速化する必要があります。しかし、従来の技術では、高速化に対応した電子部品、光部品が必要となり、汎用的な部品を用いることができませんでした。また、光信号のオン/オフをデジタル信号の1/0に対応させる単純な変復調方式を用いているため高速化には限界がありました。

開発した技術

今回、デジタル信号処理を用いたDMT変復調方式を適用することで、汎用的な10Gbps用の直接変調レーザー部品で1チャネルあたり100Gbpsの伝送を実現しました。開発した技術の特長は以下の通りです。

  1. DMT変復調方式

    xDSL(注4)などで使用されているDMT変復調方式を、世界で初めて100Gbps超の光通信に適用しました。DMT技術はデータを多数のサブキャリア(搬送波)に分割し、それぞれのサブキャリアに多値変調を用いることで高速伝送を実現するという特長があります(図2)。各サブキャリアのパワー、多値度の最適化を実現するために、システムを立ち上げる際に光送受信器間で受信状況の確認を行い、送受信器および回線の特性に合わせて各サブキャリアに割り当てるパワーおよび多値度の最適化を実施するアルゴリズムを開発しました。

  2. 既存汎用部品のすり合わせ技術

    既存の汎用部品を用いて、DMT変復調方式を実現する技術を開発しました。例えば、特性的に十分な線形性が保てないような部品であっても、あらかじめその特性を把握し補正しながら利用することで線形性があるのと同じように使いこなすことを実現しました。

本技術を4チャネル構成の光送受信器(図3)に適用することで、次世代データセンターでの適用が期待されている400Gbpsイーサネット用トランシーバの実現が可能となります。


図2 DMT変調技術


図3 想定する4チャネル光送受信器構成

効果

今回開発した技術を用いることで、汎用的な部品を用いて100Gbpsの高速通信を実現でき、クラウドサービスを支えるデータセンターの処理能力の向上(データ転送の高速化)が期待されます。

今後

実用化に向けて、DMT変復調部の集積化の検討、すり合わせ技術のさらなる改善などを進めていきます。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 株式会社富士通研究所:
代表取締役社長 富田達夫、本社 神奈川県川崎市。
注2 富士通研究開発中心有限公司:
董事長 佐々木繁、本社 中国北京市。
注3 DMT(Discrete Multi-Tone)変復調方式:
データを多数のサブキャリア(搬送波)に分割し、それぞれのサブキャリアに多値変調を用いることで高速伝送を実現する方式。
注4 xDSL:
電話線を用いて高速デジタルデータ通信を実現する技術。

本件に関するお問い合わせ

株式会社富士通研究所
ネットワークシステム研究所 フォトニクス研究部
メール fjl_dmt@ml.labs.fujitsu.com


プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容、お問い合わせ先などは、発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。